構造改革全般

2009/01/07

渡辺喜美氏の7つの提言

ニュース、テレビは、渡辺喜美氏の7つの提言について「衆院の早期解散」と「定額給付金見直し」の二つしか取り上げない。

以下、渡辺氏の「麻生総裁への提言」は、自民党が進めようとしてきた構造改革路線の一環としてのものである。渡辺氏が異分子なのではなく、かつて有権者の審判を受けた正統な自民党の主張だったのである。金融の安定化・公正なルール整備は、渡辺氏が行革・金融担当相の頃からずっと訴え続けていることである。渡辺氏が離党する理由はない。福田政権までの構造改革路線を転換するのなら、選挙で審判を受けて国民選択の上で政策を断行するのは当然のことではないか。改革路線からの決別を麻生首相がマニフェストに盛り込んで戦い、選挙に勝てばそれでよし。負ければ反省して出直せばよし。

今のままでは日本は制度疲労によって衰退する。今こそ大胆かつ繊細に改革を進めよ。官僚を使いこなせない麻生政権によって改革は方向転換させられ、地元に媚びる議員達によって為すべき改革はストップさせられてしまった。不況が去った後に残るのは、無能な政治家達と政治不信だけだろう。

安倍政権時代、安倍氏の「構造改革」について、ネットウヨクblogや保守系月刊誌で正しく評価した“安倍信者”はほとんどいなかった。保守論客は「小泉改革の負の遺産を引き継がざるを得なかった気の毒な安倍さんは股裂き状態だった」なんてね。高く評価していたのは屋山太郎氏くらいじゃないか。

麻生首相はまたぶれている。定額給付金は、麻生氏に言わせると、カネ持ちが受け取ることは「さもしい」「矜持の問題」ではなかったのか。高額所得者でなくても、「さもしい」とまで言われて受け取る気にはならない。
ところが、閣僚側から「(景気回復のために)全員受け取る方向」を出されると、またもや麻生首相はそれに引っ張られている。麻生首相は「生活支援」と説明していたにもかかわらず。

政府に施しなどしてもらいたくない。私は税金の還付として受け取る。最初から公明党の「定額減税」でよかったではないか。それよりも正しい景気対策に振り向けて欲しい。

渡辺喜美氏の7つの提言
2009/01/05 
  麻生総裁へ物申す

(略)
 為政者が確乎たる主義・信念に基づいた政策によって政治を動かさぬ限り国家国民は崩壊の危機を免れない。私は政治生命を賭して麻生総理に提言する。

1.衆議院を早期に解散すべきである。総選挙後すみやかに危機管理内閣を立ち上げるべきである。

2.定額給付金を撤回し、2兆円を地方による緊急弱者対策に振り向けるなど、2次補正予算案の修正を国会において行なうべきである。

3.今国会における内閣人事局関連法案の中に、任用・給与制度改革法を入れること。給与法改正を行い、国家公務員人件費を来年度よりカット(目標2割)すべきである。

4.各省による天下り斡旋の総理による承認と、渡り斡旋を容認した政令等を撤回すべきである。雇用能力開発機構を統合する閣議決定を撤回し、福田内閣当時の廃止・解体・整理の方針にそって決定し直すべきである。

5.国家戦略スタッフを官邸に配し、経済危機対応特別予算勘定を創設し、その企画立案にあたらせる。政府紙幣を発行し財源とする。

6.平成復興銀行を創設し倒産隔離と産業再生を行なう。同行において上場株式の市場買取を行い、塩漬け金庫株とする。財源は政府紙幣とする。

7.社会保障個人口座を創設し、国民本位の仕組みを作る。年金・医療・介護のお好みメニュー方式を導入し、納税者番号とセットで低所得者層への給付付き税額控除制度を作る。

以上の提言が速やかかつ真摯に検討及び審議されない場合、私は政治家としての義命により自由民主党を離党する。

衆議院議員 渡辺喜美

3~7は渡辺氏の持論である。行革・金融担当相をコロコロ代えるのではなく、せめて渡辺氏あるいは茂木氏を継続して登用していれば、自民党は挙党一致でもっと効果的な対策を打つことができたはずだ。族体質の旧来型の組織型自民党政治では希望はない!!

麻生命の自民党支持者は自民党を森以前に戻したいのか。高度成長期型の中央集権体制が徐々に疲弊していることになぜ目をつぶるのだ。

構造改革の趣旨が一度たりとも正しく理解されたことはなく、米国の民主党がブッシュ批判の“為にする批判”のために編み出したキャッチコピー“強欲資本主義”なる言葉に左翼・メディアが飛びつき、「市場原理主義」「アメリカ追従」のレッテル貼りが功を奏し、思考停止のウヨクがサヨクに“追従”し、今や既成事実化してしまった。反米ウヨサヨが米国リベラルと歩調を合わせるとは楽しい時代になったものだ。

テレビのニュース番組と新聞紙の社説にさえ目を通していれば「世の中のことをわかっている」と自信満々の年齢層の高い人達は、「批判している自分」に酔っているだけだ。政治が悪い、社会が悪いと怒っていれば理想の社会が目の前に開けるのか。そうではないだろう。政治を変えるのも社会に貧者の一灯を灯すのも私達一人ひとりではないか。主権在民とは、国民一人ひとりが責任を持つという意味なのである。

渡辺氏の提言を一つも読むことなく、具体的な構造改革の中身を調べることもせず、メディアに乗せられて“為にする批判”を正論と信じている人々の投稿意見を読んでみよう。

●右翼雑誌と言われるSAPIOより

首相批判でウケ狙いの世襲タレント議員たち(60歳男性・自由業)

 麻生首相が就任して3ヶ月も経たないうちに、自民若手から公然とポスト麻生論が出ている。その顔ぶれたるや、いつもテレビでおなじみのタレント世襲議員どもだ。曰く「期待はずれだ」「これほど酷いとは」。まるで他人事のようにいうが、彼らこそ五人囃子の御輿を担いだ張本人じゃなかったのか。首相を批判する資格などあるはずもない。それどころか、もっとも信用できない無節操ぶりをさらけ出しただけだ。
 世間から選挙目当ての売名行為だと冷笑されても、世襲の坊ちゃんたちは泥船から必死で逃げようと悪あがきをやめない。自民党を飛び出して新党を作る勇気もないくせに、党首批判でウケようなどとゆめゆめ考えぬことだ。

他の投稿も似たり寄ったり。テレビを教科書にして、左翼コメンテーターの言い分をそのままなぞって口汚く罵っているだけのおじさんだ。60歳でいまだにSAPIO読者というのもイタイ。私は「SAPIOを読んでます」ってちょっと恥ずかしくて言えなかったりする^_^;。SAPIO編集部はこんな悪態文章など載せるなよ。

ウケ狙いの若手議員といえば、私が思い出すのはあの議員・・・。妖怪ジュウマイジタと山本一太氏が評したのが誰を指すのかはわからないが、後●田議員は私も大っ嫌いだけどね。あと大▲議員とか。

●団塊の世代を対象にしているらしい低俗週刊ゲンダイより

懺悔するより日本を変える提言を(37歳男性)

12月27日・1月3日合併号の『中谷巌 小泉改革の大罪と日本の不幸』は、小泉構造改革推進派の一人であった氏だけに、説得力のある内容でした。小泉構造改革は、豊かな中産階級を消し、貧困層を拡大させ、ぬくもりのない社会を作り上げてしまいました。今では雇用問題が急速に拡大し、雇用危機とよばれるまでに至っています。この状況も、構造改革や規制緩和の名の下に非正規社員が大量に生み出されたから。小泉・竹中氏のグローバル資本主義は、国民に痛みを与え、幸せはもたらしてはくれませんでした。中谷氏には、懺悔をするよりも、この日本の状況を変える提言をして頂きたいものです。

参照:『小泉改革の大罪と日本の不幸 格差社会、無差別殺人─すべての元凶は「市場原理」だ』(『週刊現代』12月27日・01月03日号、2008年12月15日発売)

豊かな中流階級はどこへ消えた
 私《中谷巌》はいま、これまでの自分の主張が誤りだったと率直に反省しています。
 1990年代、細川内閣や小渕内閣で首相の諮問機関のメンバーだった私は、規制緩和や市場開放の旗を熱心に振り続けました。
 そして小渕内閣の「経済戦略会議」議長代理として発した提言は、その後、同会議の委員だった竹中平蔵さんによって引き継がれ、彼が小泉内閣で政策立案の中心人物となったときに、小泉構造改革の一環として実現していきました。
 小泉構造改革は日本にアメリカ流のグローバル資本主義を持ち込みました。間接的にですが、その改革に参画した私は、小泉・竹中氏同様、日本社会に構造改革を持ち込んだ張本人なのです。
 しかし、いきすぎた構造改革は日本社会の良き伝統を壊す強烈な副作用を生み出しているように思われます。貧困層の増大、異常犯罪の増加、ぬくもりのある社会の消失などです。「これはいけない」と、私は自らの主張が誤りだったと悔恨の念を持っています。
「すべての改革が不要だった」と言っているわけではありません。ただ、改革は人々が幸せになるための手段です。構造改革で日本人は幸せになれたでしょうか? 多くの人々を不幸に陥れてしまう改革は、改革とは呼べないのです。
(略)

改革を牽引した中谷氏の“懺悔”にウヨもサヨも大喜び。自分の頭で考えないで、そのまま一字一句信じるんだね。象の一部分を触っただけで象の全体を理解したような気になっている盲目の僧達のようだ。

いきすぎた構造改革は日本社会の良き伝統を壊す強烈な副作用を生み出しているように思われます。
行き過ぎも何も伝統を壊すような改革なんてできなかったでしょ。まずは中谷氏の「伝統」が何を指すのか。「副作用」とは何か。中谷氏は答えられない。なぜなら一つ一つの政策についての検証作業を行っている形跡がない。内容が曖昧なまま、言い切るのがはばかられるのか「思われます」と逃げている。この一文だけでも中谷氏は何一つ検証せずに結論だけミスリードしていると判断できる。

中谷氏の「懺悔」は誌面で読んだが、まったく意味不明の論理性のないもので、単に「規制緩和」「市場開放」が間違っていたとレトリックを駆使して言っているだけ。どこがどう間違って、今後どのように修正していくべきか、提言がまったくないので、取り上げる価値もないと思った。小泉氏と竹中氏はスルーして口をぬぐうだろうという保守ブロガーの感想を読んだが、反論する価値もないよ。37歳投稿者の「提言をしていただきたい」に賛成。それにしてもレトリックをそのまま信じ込んでしまう感性がこわい。

無差別殺人まで市場原理ってね・・・。

今年もこんなふうに腹を立てながらブログを書くのかな。疲れる・・・。
正直、ばかばかしくなってきたよ。

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2008/03/24

中央集権の官僚制度が地方の自立を阻む

<公共事業依存体質から抜け出せるか>

道路財源問題は日本の構造改革の本丸だった。成功すれば土建国家日本のあり方は根底から変わる可能性があった。
――特定財源を一般財源化し、環境税化した残りを地域に分割して、地方分権の切り札にする、道路か病院か、地域住民は限られた財源の使い道を自分たちで選択する――
この決戦に、小泉構造改革は戦わずして敗れた。小泉氏にできたことは、公共事業予算の削減、つまり兵糧攻めだけだった。特会と特定財源という本丸の骨格は姿を変えずに残された。

フォーサイト 再膨張「道路利権」という日本の病根/吉野源太郎氏(日本経済研究センター)

小泉構造改革は戦わずして敗れた。
小泉構造改革は戦わずして敗れた。
小泉構造改革は戦わずして敗れた。

公務員改革も特別会計も、足がかりを付けて安倍氏に引き継がれ、さあこれから!という時に、改革のネガキャンが与野党・メディア総力戦で繰り返された。メディアが情報源として頼りにする霞ヶ関の力を思い知らされた。

保守を標榜する政治家は、小泉-竹中改革で日本人の倫理観が崩壊したとまで言う。郵政族と呼ばれた彼らは、たっぷり業界から献金をもらっている。小泉が改革できたのは、業界癒着がなかったから。改革ができるかどうかは、しがらみがあるかないかの違いじゃないのか。

不良債権処理により金融破綻を救ったことと不正の温床だった財投改革をしたこと、あるいは公務員改革、機会の平等を保証する規制緩和がなぜ拝金主義や弱肉強食になるのかよくわからない。

しかし、「格差キャンペーン」は大成功したようで、総裁候補の麻生氏・福田氏は「改革の影の部分に光を当てる」と言って総裁選を戦った。それはたとえば放漫経営で危なくなった会社がリストラで縮小して、少しずつ機動性を回復し、さあこれからプロジェクトを展開という段階で、「リストラは冷酷非情で痛い思いをした。犠牲になった人達をもう一度呼び戻すことが思いやりの改革だ」と言うのと同じである。これからという時に、「また元に戻して新陳代謝を悪くします」と自民党が言ってしまったのだ。官僚と自民党が一体となったそのような体質が地方の自立を阻んでいることに、どうぞ気づいてください。。。と誰にともなく言ってみる。

道路財源死守の東国原知事の宮崎県では、有力建設会社が事実上倒産した。地域経済に与える影響は大きい。地元民は道路より公共事業がほしいのが本音。東国原知事はそれを代弁しているだけである。「高速道路がないから空港まで行くのが大変だ」と言っているが、ホントはちっとも不便してなんかいないと「たかじんのそこまで言って委員会」でばらされていた。(笑)

そして地方がそれほどまでの公共事業依存体質――まるで薬物を打たれ続けたような依存症体質になってしまったのは、霞ヶ関が中央集権で一括管理し、特定財源という建設業への補助金をばらまき続けてきたからである。

田中角栄の日本列島改造論以後、設計図を引くこともできない素人同然の農家さえ建設業に移行していった。小泉氏が特会問題にメスを入れた時、受益者負担の原則などとっくに破綻していたことを私達は知らされた。この特定財源をそろそろ一般財源化し、時代が要請する新たな需要目的に切り替えるべきだという小泉改革は、本来なら国民挙げて支持されてよかったはずである。どうせ利権を作るなら、子育て支援、教育関連、環境に使ってちょうだい。

大規模な道路建設の発注は十年も続かない。補助金にむらがった建設業者を緩やかに淘汰する方策を、地方行政自身が考え始める時期に来ている。依存症から抜け出すまでの痛みを緩和するためにこそ、政府は知恵を使うべきと思う。

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<官僚制度改革>

省庁の官僚達は、時の権力者がクルクル変わっても辞めることはない。権力者にではなく、省に忠義を尽くす。人が就職して会社に入ればその会社の利益のために働く、それと同じ事。官僚が良い悪いと言っているのではない。問題は“制度”そのものにある。

日本にも戦後、時の内閣に忠誠を尽くすべく政治任用制度の議論があった。明治時代は官尊民卑で特権階級化し、しかも責任の所在がうやむやであったのは今の有り様と変わりない。官僚組織はGHQが温存し、占領政策に協力させた。日本の政治家の出処進退が官僚に波及することもなく、行政のプロである官僚が政治家の知恵袋として影響を及ぼす力関係の逆転が、この時期に構築されたわけである。時として政治家を手玉に取って動かせるという意味で、日本の一番の権力者は、実のところ高級官僚ではないかと思ったりする。奇しくも守屋次官が防衛省の天皇などと呼ばれていたように。

この官僚制度がある限り、日本は社会主義体制だと言う人がいる。私もそう思う。渡辺金融・行革担当相は、1940年体制からの脱却と表現する。戦争のための挙国一致・中央集権体制を敷くために、日本は官僚主導の統制型システムを作り上げた。その戦時体制が今日まで続いている。

既得権益と特権意識、官尊民卑そのままに保身――保身という言い方は失礼とは思うが、自分の城を守る意識が働くのは当然である。えてして中にいると見えない。もっともっと国のために働ける優秀な人達なのにもったいないことこの上ないと思う。キャリアだのノンキャリだの、なんの法的根拠もない縛りが一生ついて回ることに疑問を持つ中の人はいないのだろうか。

私が一時期人事院で働いていて感じたことは、彼らは猛烈に真面目に働く優秀な人達だが、民間じゃ常識外れと思われるような優遇面も多々享受しているということだった。民間のような競争原理にさらされていないので、みんな“いい人”で、どんなに忙しくてもほんわかしていた。

(ジャーナリスト白石均氏)

こうした世界で純粋培養された官僚が政策面でも競争やオープンな市場を好まないのは当然だ。そして官僚が最も忌み嫌うものが、彼らの力の最も及ばない外資企業だ。

マッコーリーが日本空港ビルデング(株)の大株主になった時、国交省はあわてて空港の外資規制で「安全保障」を持ち出した。「自民党vs民主党」の対立に目を奪われて「官僚vs政治」「政官業癒着vs構造改革」 に思い至らない保守層は、すぐさま官僚誘導の「安全保障」に反応して、外資はまかりならぬ!とブログなどで大騒ぎしていた。単純というか純粋?正義感が強い?お好きな言葉をお選び下さい。(笑)

マッコーリー社は、天下り官僚に高給を払う不健全さを指摘し、株主への配当を上げるよう求めているという。しごく当然のことなのだが、国交省にしてみれば、大事な城に手を突っ込まれたような危機感を持つだろう。たしかに「天下りが脅かされる彼らにとっての安全保障上の問題」だったかもしれない。

日本型社会主義を善しとする自民党の議員は、「中央集権の大きな政府」指向なので、官僚制度の弊害に目を向けない。官僚がいやがる改革はタブーである。外資も大嫌い。大物政治家ほど政官業の無限スパイラルにはまっているのだから仕方ない。政治家として生きるための生け簀を霞ヶ関が提供しているのである。

池田信夫氏が現在の官僚体制を評して「官僚社会主義」あるいは「官僚封建制」と言っている。参照:さらば財務省!
屋山太郎氏はよく「官僚内閣制」という言葉を使うが、官僚制自体が社会主義の性格を持っているので、官僚封建制という言葉はぴったりだと思う。
勉強もしていない大臣など、手下くらいの扱いじゃない?国交省の冬柴さんを見ていると、国交省役人の腹話術人形のようで、まぬk、、、いやいや悲哀すら感じる。言うことを聞かない舛添氏や渡辺氏は、官僚のリークで散々な目に遭わされる。

公務員改革はどうなるのだろうか。官邸は財務省に囲われてしまっている状態なので、奥の手の議員立法で突破するらしい。志ある議員はまだまだ健在である。続きは次回に。

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2008/02/01

対日投資有識者会議発足。改革は外資嫌いの転換から

対日投資有識者会議の初会合が開かれる<1/30 13:55>

 外国の企業やファンドによる日本株の取得など、海外から日本への投資を増やそうと、内閣府は30日、具体策について話し合う「対日投資有識者会議」の初会合を開いた。
 この会議は、海外から日本への直接投資が対GDP(=国内総生産)比約3%と、先進国の中でけた違いに低く、最低レベルにあることに対応しようというもの。初会合では、「どこの国でも、外資に買われるのは嫌という心情はあるが、日本では合理的な考えではなく、心情がまかり通る」などの意見が出された。

 会議は、今年4月には規制改革や税制の見直しなど対日投資を増やす具体的な対策をまとめ、6月に政府が打ち出す「骨太の方針」に盛り込む予定。

官邸は、経済政策の一環として、もっとこの件をPRしないのかな。外資嫌いの日本人には、あまり大きな声で言いたくないのか。

対日投資 阻害要因分析へ

この会議は、大田経済財政担当大臣が外国資本による対日投資を促進するために設置したもので、初会合には座長の島田晴雄千葉商科大学学長のほか、リシャール・コラス欧州ビジネス協会会長など、内外の有識者が出席しました。会議では、大田経済財政担当大臣が「政府は2010年までに対日投資を倍増する目標を掲げているが、阻害要因となっている税制や規制を整理する必要がある。短期間に集中的に議論し、処方せんを出していただきたい」とあいさつしました。これに対して出席者からは、ドイツが対内投資を進めるため10%の法人税の引き下げに踏み切るケースなどが紹介されました。政府は、少子高齢化が進むなか、海外からの投資を呼び込むことで経済成長を実現する必要があるとしており、会議では今後外国の事例も調査するなどして、ことし4月までに具体策を取りまとめ、政府の経済財政の基本方針「骨太2008」に反映させる考えです。

規制緩和、法人税引き下げ、海外からの投資呼び込み・・・、あ~、「弱肉強食」といってバッシングされる様子が目に浮かぶ。

アメリカのサブプライムローン問題は、影響はあるものの、最近ではデカップリング(非連動)という言葉が多用され、危機感が鎮められている。新興国の経済は堅調で、EUは安定感がある。とはいえ、世界的なリスクマネーの縮小傾向は続くので、しばらくは世界株安に耐えねばならない。

アメリカは今後個人消費の落ち込みで、2008年の成長率は1.5%なんていうお寒い予測まである。FRBが金利を下げ、ブッシュ大統領が減税+ばらまきの景気刺激策を採ったとしても、はじけた資産バブルのマイナス影響をひっくり返すには至らないだろう。担保価値のある不動産価格が上がり続けることは最大の景気刺激だが、必ず破綻することは既定路線だったわけで、FRBの動きは早かった。アメリカ政府は低成長の厳しい舵取りを迫られるのは間違いないが、、モノライン(金融保証会社)の格下げにしても「証券化商品を保証している額はたかが知れている」ので、危機を煽るのは過剰反応という見方が正しいと思う。

アメリカより深刻なのは、日本ではないかという気がしてならない。
サブプライムローン問題が顕在化する前と後では、去年のニューヨーク市場のダウ平均はほぼ3%下落だったのに比べ、日経平均は約23%下落!

以下、野口悠紀夫氏(週刊新潮「日本経済の『円安バブル』は崩壊した」)参照。

破綻しかかっているのは、むしろ日本経済のほうなのだ。

野口氏の解説はいつも説得力があると思う。日本の株価下落の原因は、野口氏によれば「サブプライムローン問題を引き金として円安バブルが崩壊し始めた。それが輸出産業の業績を悪化させると予測され、そのため日本の株価が下落しているのだ。
トヨタ車が売り上げ台数世界一!(あとで訂正)とニュース速報まで出したのは、そのような市場の懸念を払拭させるためだったのか・・・。

日本経済への明るい展望が見られず、実際に外資は逃げている。主要各国中、昨年度の外資受け入れがマイナスだったのは日本一国のみ。これじゃ、あなた、景気はますます底冷えしてきますって。イギリスでは36.6%の直接投資受入額の対GDP比が、日本ではわずか2.2%。(ニュースでは約3%と言っている)

外国の資本に対して、日本は鎖国としか言えない状態を続けているのだ。

日本ではハゲタカの烙印を押されているスティール・パートナーズだが、企業価値に資するものとしてごく当たり前の株主提案をしているに過ぎない。会社を乗っ取る意思はどこをどうみてもない。日本人は、外国の投資ファンドはハゲタカに決まっていると思いこんでいるようだ。お友達になる必要はないが(笑)、過剰な拒否反応は、あらゆる可能性の芽まで摘んでしまう。羮に懲りてもいないのに膾を吹いているのではないか。

テレビでスティール・パートナーズを見た時、村上ファンドと同類と思った。村上氏はつまらないことで足を引っ張られてしまったが、ファンドマネージャーとしては優秀だった。村上氏が「目立ちすぎた」というのは当たっていると思う。

野口悠紀夫氏は、日本はいまだに戦時体制思想から脱却できていないという。

戦時体制思想の基本は、「市場メカニズムは悪であり、組織と賢者の統制によって経済を運営することが善である」というものだ(「武士道がよい」という人さえいる)。

本来は、市場の取引こそ最も公正なものなのだが、そう理解できない。

高度成長期の組織型経営の成功体験を美化するあまり、アメリカ型を排することこそが日本の生きる道と思いこんでいないだろうか。日本は、戦前のほうが政府の介入や統制を嫌う自由主義的思想を強く持っていたと。戦後、強制的に米国型にさせられたのではなく、もともと日本はアングロサクソン的な自由主義(アメリカ人の保守思想=小さな政府)だったということ。右・左の反米さん達は、被害者意識が強すぎるんじゃないか?

国が介入すればするほど政官業癒着構造は進む。それを解くことが戦後レジームからの脱却なのだ。そのために国ができることは、法の整備であり、規制緩和であり、自由競争の保証、そしてセーフティネットの構築である。

野口氏の結論としては

90年代以降の日本経済では、口先だけの「改革」は叫ばれたものの、金融緩和と円安政策に依存して本当の改革を怠った。

そのツケが株価の下落にあらわれている。日銀の低金利政策による円安誘導の限界を見極め、本当の意味で足腰の強い攻めの経済に転じなければ、日本は危ない。

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中国製毒入りギョーザの毒は、小麦粉が原因じゃないかな。同じ製造日のもので毒に当たっているようだから、その日に何があったのか、とにかく原因を早く究明して。

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2008/01/19

道路特定財源にこだわる政府・与党

慰安婦の太鼓持ちマイク・ホンダが来日すれば参議院議長にもてなされ、狂犬シーシェパードが再び実力行使に及んで調査捕鯨が妨害されたかと思えば、欧米諸国では日本調査船がテロリスト呼ばわり。南京虐殺捏造資料館がオープンしても日本政府は見て見ぬふり。国内政治を見てみれば、ガソリン国会とかで炎上間近。

株安止まらず、官製不況の沈滞ムードに外資は逃げ続け、地方改革の処方箋は棚上げ状態。健全な保守だか正しい保守だかに期待しようにも、相変わらずこの調子。
(SAPIOの巻頭言)平沼氏「小泉・竹中の改革路線が日本社会にもたらしたのは、“グローバリズム”の名を借りた、アメリカにとって都合のいい経済システムだ。(略)(その結果)地方は衰退し、格差は拡大した。安倍晋三・前首相は保守の気概を持っていたが、この路線を踏襲したため、7月の参院選で大敗してしまったのだ

その安倍氏は、平沼さんの嫌いな改革を主導する塩崎氏、菅氏、渡辺氏らと会合を持って「福田首相は役人の言いなり」と記者にリーク。秘密会合でもなんでもない。少なくとも安倍氏は「変えるべきこと」と「変えてはならぬこと」をはっきりと示してきた。ところが、サムライとその仲間達は、国際市場が一体化して連関していることをどうしても認めたくないらしい。

マッカーサーを叱りとばした男として有名な白洲次郎は、日本経済発展のために貿易を重視して通産省設立に尽力した。そして石油産業の外資提携を進めようとした時、猛反発を食らった。白洲は自由競争の重要性と外資を積極的に導入することが日本経済にとっていかにプラスになるかを知っていたのだ。アメリカ追従だったかといえば、断じて違う。GHQの横暴と戦い、吉田茂がGHQを恩人と呼んだのに対し、吉田の側近として現場で実際に戦った白洲は、「マッカーサーを絶対に許さない」という日本人としての矜持を保っていた。政治の表舞台には立たなかったが、もし白洲が今に生きていれば、メディアや保守から「市場原理主義者」「アメリカの言いなり」と叩かれていたことだろう。

外交、政治、どっちを向いても腐臭漂う保身術ばかりで、ブログを書こうという気も起こらなかった。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

道路特定財源は、小泉政権で一般財源化を打ち出していたはずではなかったか。安倍前首相も揮発油税にまで踏み込むと意気込みを示した。議題に持ち出しただけで、塩崎官房長官がボコられたのは記憶に新しい。

そしていまや道路特定財源死守が政府と自民党の立場で、単純に暫定税率撤廃を政局の争点にする民主党に分かたれている。

自民党を応援してきた立場の私は、どないしたらええの(T_T)
すべてを改革のせいにして、逆方向に走り出すとは思わなかった。政治家の保身と既得権益が息を吹き返すための方便として“地方の格差”が利用されていることに気づけ。

道路特定財源はめいっぱい必要という政府・自民党が、具体的なデータを出してきたためしはない。「財源が足りない」という台詞は聞き飽きた。財源ならある。国有資産の整理に手がついていない。特別会計の埋蔵金はオモテの予算だったが、タチの悪い埋蔵金は独法の中にあるという。(渡辺行革相)
国民生活のために優先すべき改革はストップしたまま、政府は規制強化に突き進もうとしている。消費者庁だって?もっとコンプライアンスの縛りをきつくするつもり?

小泉時代に道路特定財源の壁を打ち破ろうとしたが、鉄板の牙城は崩せなかった。

(高橋洋一氏)
道路整備特別会計については、国土交通省は基本データの提出さえ最後まで拒否した。
道路族がやろうとしていることは、地方格差に名をかりて、実態は「お金が余るから道路を造ろう」というもので、厳密な費用対効果計算が行われないなら、無駄遣いの典型となる。

地方の格差を言うならば、地方行政の独立性を担保した上で、いまだ不良債権処理の進まぬ地方金融の立て直しを図りなさいよ。フランスの再生ファンドが地方の金融機関立て直しに奔走している姿をレポしたものがあったが、経過はどうなっているのだろう。

地方の中小企業を救うためには、まず企業・金融の悪循環から目を背けてはいけない。共倒れしてしまう。なによりも景気回復策が必要である。大阪府知事は誰がなるかわからないが、財政出動型の公共事業の拡大策はもう限界。ありとあらゆる知恵を集約して、地域活性化を主導してほしい。

国や党のひも付き知事では、もはや活性化のモデルケースを作ることはできない。府知事選を総選挙の前哨戦ととらえる民主党は、知事を党の繰り人形としか見ていないことがよくわかる。だから民主党の代表は、テロ新法の採決まで放棄して、府知事選挙の応援に駆けつけたのだろう。地方行政に口を出す気マンマンだね。自民党は少しマシという程度ではあるけれど、まあ一応道州制議論も進んでいるようだし、静観しておこう。

財政再建には、金融立て直しは避けて通れない。
竹中氏は不良債権処理にあたって、産業再生機構を作った。

(Wikipedia)
株式会社産業再生機構(さんぎょうさいせいきこう、IRCJ;Industrial Revitalization Corporation of Japan)は日本の株式会社産業再生機構法に基づき2003年4月16日設立された特殊会社。預金保険機構が株式の過半数を保有するものとされている。

当初5年限定の組織とされていたが、同機構の支援が予定よりも早く進み、対象事業者への支援が全て終了したことから、1年早く2007年3月15日をもって解散し清算会社に移行、同年6月5日をもって清算結了した。存続期間中におよそ312億円を納税、解散後の残余財産の分配により更に約432億円を国庫に納付したため、国民負担は発生しなかった。職員のうち公務員の占める割合は1割程で、他は民間出身者が占めていた。

これを地域版に下ろそうという国の方針だが、膿を出し切らずに再生しようとしても応急手当にしかすぎない。竹中氏はそれを評して「手術もしないのに麻酔だけ打つようなもの」と批判している。

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官房長官 暫定税率維持が必要

町村官房長官は、パネルを使って、暫定税率を廃止した場合の問題点として、国と地方で大幅に税収が減り道路整備だけでなく除雪や古い橋の耐震強化の事業もできなくなると指摘したほか、日本はイギリスや韓国などに比べてガソリン価格や価格に占める税金の負担額も低いなどと説明し、暫定税率の維持が必要だと強調しました。

一般財源でそれができない理由を説明しろ。幼稚な民主党の言い分は支持できないが、政府もおかしい。

財源確保の言い訳に諸外国を引き合いに出しているが、イギリスやドイツなどはガソリン税を一般財源化しているのだ。

ただし「受益者負担」という原則から言えば、ドライバーが享受すべきは道路行政の充実であって、一般財源化して他に回されたら不利益を被る。逆に税率が引き上げられてしまう杞憂もある。イギリスでは、一般財源化してから25年の間に税率が 4.7 倍も上がったという。しかし、高速道路は無料だし、道路整備もきちんと果たされているなら、その税率分が社会福祉に回ってもいいのではないか。

一般財源化にはまだ議論が必要だろうが、本則税率に戻すことには支障がない。2兆円以上の財源をどうするかって?減税が消費意欲を高めて景気回復を助けることを甘く見ちゃいけない。無駄な道路を作るより、ガソリンを安くすることによって“道路の利用率”を上げるほうが、よほど税収全体の底上げを図ることができる。車を利用せざるを得ない地方のドライバーや運送業が青息吐息で倹約し、道路を使わないとしたら、道路族の議員さんは受益者のためではなく、公共事業を請け負う土建業者にのみ顔を向けていることになる。道路族のドン・古賀氏は、選対で地方を巡りながら、道路特定財源の確保を約束して回っている。何をかいわんや。

自民党も民主党も、国民全体の利益から乖離したところでバトルしているものだから、くっだらなくて情けなくて、福田首相や町村官房長官の顔すら見たくなくなっている私。orz
どうせなら前向きな批判をしたいよ。

小泉さんは無理としても、安倍さん!復活してきてよ~(;・O・)/オーイ

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早く解散しちゃえ!と思うきょうこの頃。

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2007/12/28

「霞ヶ関埋蔵金」についてby高橋洋一氏

<農政改革は逆行>

福田政権に望むことは、スローガンとして「改革」を前面に出さなくてよいから、着実に布石を打っていってほしいということ。マスコミは権力の監視という使命感を持っているらしいから、せめて省庁の問題点をえぐり続けてほしい。政権のイメージダウンにはなるだろうが、長期的に見れば、そこで改革の手を打てれば国益に叶う。いずれ歴史の中で評価される。

渡辺美智雄氏は「既去民思」―すでに去って民思う―と色紙によく書いていたという。枝葉末節のことでマスコミに叩かれて去る総理大臣は多いけれど、時が経てば評価されることもある。美智雄氏の志を継いだ喜美氏は「改革とはそういうもの。既去民思を信じて取り組んでいく」と決意している。福田首相は、真の敵はどこにあり、真の味方は誰なのかを見失わずに来年も頑張ってほしい。

農政改革も非常に気になっている。安倍政権下で農業の未来を見据え、農政改革に取り組んでいた松岡農相をくっだらない政治資金問題で失ってしまったことは、本当に悔しかった。しばらくは、松岡さんの名前を見るたびに泣いていたもんなぁσ(^^;)。
補足しておくが、揚げ足取りは野党・マスコミの常套手段であって、まぁパソコンのウィルスみたいなものなので、特に閣僚は、日頃の危機管理はしっかりしておかなければならない。松岡氏は収賄の疑惑もあった上に政治資金で言い逃れができなくなった時、トップの判断として安倍首相はかばうべきではなかった。すぱっと切って、松岡氏に再起のチャンスを残すべきだった。

松岡さんがいなくなって、農政は逆行してしまった。緩やかな自然淘汰が必要であったが、兼業農家を生かし、専業農家は梯子を外されたような矛盾が生じた。規模拡大に努力していた農家を追いつめる結果になってしまっている。政府の施策を信じて積極的に転作を進めた意欲のある農家は、麦の増産分が助成金の算出基準に含まれないため、手取りの助成金が大幅に減ってしまったという。

また、政府がコメを買い支えるという価格管理をしてしまったため、転作の意欲を阻害した。コメの供給過剰であれば米価の下落が起こるのが当然なのに、保護主義に走ったためにWTO交渉にも躓きが生じている。市場のひずみは、結局回り回って農家の不公平を助長するのである。松岡農水相がいなくなったのと軌を一にして、食糧管理法時代に逆行しているようである。

政治資金の100万、200万と農業の将来といったいどちらが重要なのか。野党もマスコミも国益なんか知ったこっちゃないのだろう。大臣のクビを取って、さぞやご満足なことだったろう。首どころか魂(タマ)を取った。オザワは、安倍首相が葬儀に参列することも、その時に限って「党首討論を優先しろ」と言って許さなかった。くっそぉ~~思い出したら、また涙が出てきちゃうよ。

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<霞ヶ関埋蔵金>

特別会計の中に埋蔵金があるからと言って、それは原則的に他に回せばよいという短絡的な話ではない。歳出削減の努力もなしにへそくりを使い続けたら、いずれ自転車操業になってしまう。そうではなくて、仕組みに不透明な部分はないか、景気回復まで流用できる方法はないか探る術にしたい。へそくりを隠しながら、過労で死にそうなお父ちゃんに向かって「カネがないからもっと稼いでこい!小遣い取り上げるわよ」と尻を叩くようなことはちょっと待て!ということである。

参照:「霞が関の埋蔵金」は間違いなく存在する
フォーサイト1月号参照:高橋洋一氏

以下、高橋氏の論評に沿ってまとめ

【高橋氏のスタンス】
800兆円を超える財政赤字を放置することはできない。財政再建は必要である。しかし、そのために消費税を上げる必要があるのかといえば、賛成することはできない。財政再建のために行うべき施策はいくらでもあり、増税はそれらを実行した後にとるべき最後の手段。最低限、まともに働く人の所得が上がるまでは増税すべきではない。

【特別会計の精査】
小泉政権下で06年に成立した「小さな政府法」―行政改革推進法―により、「特別会計における資産及び負債並びに剰余金及び積立金の縮減その他の措置により、財政の健全化に総額20兆円程度の寄与をすることを目標とする」と定められ、すでに20兆円は一般会計等へ繰り入れられることになっている。しかし、これは道半ばである。

1,特別会計とは、各省庁の特別な事業を行うために儲けられた。きちんと区分経理されているので本当は読みやすい。誤解されているような「ウラ帳簿」ではなく、予算の一部として正当な法的手続きを踏んでいる「オモテ」の予算である。
総額では360兆円だが重複分を除けば実質175兆円

2,このうち79兆円は国債償還や国債利払い費が国債整理基金特別会計を右から左に素通りしていくだけなので、額が大きくなるのは当然。

3,特別会計の真の問題は、プロジェクトの資金が余っている特別会計が存在することであって、その結果、余った資金が無駄遣いされているケースがあること。
小泉政権下での特別会計改革では、31の特別会計ごとに資産・負債差額を試算したところ、厚生保険特別会計を別として、約46兆円の資産超過であることが明らかとなった。
たとえば自動車損保特会の場合、超過分の0.9兆円は一般会計に回すか保険料を下げるべきだが、プールされたままになっている。

4,道路整備特別会計については、国土交通省は基本データの提出さえ最後まで拒否した。(→たぶんここが一番の癌だろう)
道路族がやろうとしていることは、地方格差に名をかりて、実態は「お金が余るから道路を造ろう」というもので、厳密な費用対効果計算が行われないなら、無駄遣いの典型となる。

道路特会の改善策
①費用対効果を計算して公開した上で道路を造る。
 その計算を外部から適正にチェックさせる。
②ガソリン税等の税率を下げる。
③剰余金を一般会計に回す。

5,財政融資資金特会の超過は最大の26.7兆円。
1990年代後半の財政改革により民間金融機関並みの資産負債総合管理を行った上、金利の低下局面であったので、運用益が累積した。金利変動に備えて金利変動準備金を有していたが、リスク管理上、これほど巨額の準備金は必要ない。

6,外国為替資金特会は17兆円。
為替相場を安定させるために作られた特別会計で、財務省はFB債権(政府短期証券)を発行し、市中で集めた資金で為替相場に介入する。実際は円高を抑えるためにドル建て債を買うことが多い。その金利差額分が黒字となってきたので、運用がよかったと評価する。しかし、剰余金のすべてをプールしておく必要はないとして、当時の小泉政権は、この剰余金の一部を財政再建に使ったのである。

7,この時の財務省の抵抗は強く、厳しかった。財務省は「財政融資の金融リスク、外為リスクに備えて内部留保しなければいけない」の一点張りだったが、どのくらいの内部留保が適正水準で、なぜこの資金すべてが必要なのかを説明できなかった。
現在は、財政融資は改革前と異なり残高が少なくなっていることや、財投債があるためリスク管理はかなり容易なはずである。

8,特会の問題は、このように額の大きさにあるのではなく、剰余金を各役所がプールし、自ら使っていること。精査すれば無駄遣いもあるかもしれない。
特会を扱っている官僚は、民間企業で言えば執行役員のような存在なので、いわば株主である国民に剰余金を返さず、自分達で使途を差配していることは許されることではない。株主たる国民に剰余金を返し、国民がこのお金の使い道を決めるべきなのである。

9,剰余金をしぶしぶ認めて20兆円は財政貢献することに決まったが、財融特会と外為特会の二つの特会だけでも、まだ相当の「埋蔵金」が残っていると考えてよい。財務省としても、さらなる財政貢献を否定してはいない。

【筋違いの反論】
反対論者の代表的なものは、「財政改革研究会」の「中間とりまとめ」に見られる。

(要約)
特会の中に多額の積立金等を有する会計があることから、財政赤字の縮減や税負担の軽減に使える『埋蔵金』が存在するとの指摘がある。しかし、保険事業を行う特会では保険料を将来の給付等に備えるために積み立てているなど、各々に目的や理由が存在する。加えて、必要以上のものは、すでに財政貢献することが前提となっているため、『埋蔵金』といったものはない。

(高橋氏)
1,保険の積立金を「埋蔵金」とは言ってはいない。これは取り崩せない。

2,運用益累積の繰越利益、つまり「上がり」部分は取り崩しても当面の支障はない。「埋蔵金」と言っているのは、「上がり」の部分である。

3,剰余金の適正水準となる根拠は国民の前に示されていない。これを追及していくことが「埋蔵金」の発見になる。

4,財政難を根拠に増税が必要と訴える前にやるべきこと
①この十年来OECD(経済協力開発機構)諸国内で最下位が続いている名目成長率を上げること。
②独立行政法人も含めて政府の剰余金を表に出し、その使い道を国民が選択すること。ただし、埋蔵金を選挙目当てのばらまきに使うのはもってのほか。
③歳出をカットすること

この3項を成し遂げれば、増税の必要はない。社会保障が重要なのはもちろんだが、その制度を与野党で検討して詰めていく間は、増税なしでしのぐべきである。

5,財務省は08年度の予算編成で「埋蔵金」の存在を半ば認めた形だが、さらに完落ちwさせるためには、政治家や国民が追及していくしかない。

――以上、要約終わり。

今の民主党は、政局抜きに国民のために社会保障制度の現実的かつ恒久的な制度を与党と話し合う気はあるだろうか。国民にとっては緊急の課題である。連立を組んで、長妻議員にはぜひ厚労相になっていただきたい。

私としては、高橋氏には形骸化した経済財政諮問会議に戻ってきてほしい。方向性を示すリーダーシップのある首相でなければ無理だけれど。諦め‥

政治の方向性が曲がると、迷惑するのは国民である。

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おおざっぱに「埋蔵金50兆円」という話が一人歩きしていたが、高橋氏の説明で詳細がよく理解できた。

うp「宮内庁が女性セブンに抗議

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2007/12/25

08年度予算案閣議決定。省庁に不正な資金流用有り。高橋洋一氏の「財投改革の経済学」

今年は構造改革についてのエントリーが多かった。

外交や反日ネタも気になりつつ、反日や歴史認識問題は保守系ブログで毎日熱く語られているので、ここで同じことを繰り返すこともないなという思いもあり、人気ブログであまり取り上げられず、誤解の多い「改革」について書かなければ!と一種の使命感(!?)で更新してきた。とはいえ、不得手な分野で自分の勉強のためにやっていることでもあり、コンスタントに更新できなくなってしまったことは、ちょっと悔いが残る。

来年もこんな調子で更新していくと思いますが、皆様、よろしくお願いします。

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08年度予算政府案を閣議決定、一般会計83兆613億円

政府は24日、福田内閣が初めて編成した2008年度予算政府案と財政投融資計画を閣議決定した。

 一般会計の総額は前年度より0・2%多い83兆613億円で、史上2番目の規模となった。社会保障費が増えたためだ。

 歳入不足を穴埋めする赤字国債(特例公債)は前年度より650億円少ない20兆1360億円、公共事業に充てる建設国債も190億円少ない5兆2120億円と、ともに4年連続で減らした。それでも、08年度末の国債発行残高は553兆3118億円と、07年度末より6兆6393億円も増える見込みだ。

 赤字国債と建設国債を合計した新規国債発行額は、25兆3480億円で、1998年度以来、10年ぶりの低い発行額に抑えた。

 さらに、特別会計に積み立てている準備金のうち9兆8000億円を取り崩して借金返済に充てる。12兆円を取り崩した06年度以来の措置だ。それでも、国の借金拡大には歯止めがかからず、政府が財政再建の目安にしている基礎的財政収支(プライマリーバランス)も5年ぶりに悪化する。

 歳出面では、社会保障費が前年度より6415億円も多い21兆7824億円となり、最高を更新した。予算編成の終盤に与党協議で基礎年金の国庫負担割合引き上げに必要な1356億円が盛り込まれるなど、歳出増加圧力が強かった。

 「地域活性化」「生活の安心・安全」「成長力の強化」「環境立国戦略」「教育再生」の5重点分野には、各省庁が6167億円を要求し、5529億円が認められた。

 分野別では「地域活性化」が1916億円、「生活の安心・安全」が1596億円、「成長力の強化」が873億円などだ。

 政府は来年1月の通常国会に08年度予算案と、1兆7817億円の追加財政支出を盛り込んだ07年度補正予算案を提出する。参院で与野党の勢力が逆転した「ねじれ国会」の影響で、予算案や税制関連法案の審議は難航も予想される。

(2007年12月24日21時3分  読売新聞)

社会保障費は増やし、公共事業の建設国債は減額、赤字国債発行額も減らした。地域活性化予算は増額。(基本的に自立と裁量を促すための予算)
総体では史上2番目の規模となったが、小泉政権以後の方針を踏まえて、概ね評価できると思う。万能細胞の実用化のための研究費には、要望通りの22億円を充てた。

財政難と財務省が言っていたわりには大型予算が組めたのは、実は、霞ヶ関埋蔵金を9兆8000億円も掘り当てたことが大きい。隠しガネを曝いたのは、またもや高橋洋一氏。役所はしぶしぶ一部を認めてへそくりを差し出した。

国庫返納求めても…省庁、100億円滞納・85―04年度、公明調査

 税金が無駄遣いされたとして、会計検査院が中央省庁などに過去20年間で100億円余りの国庫返納を求めたにもかかわらず、滞納されていることが21日、公明党の調査で明らかになった。職員による横領や不透明な資金の捻出(ねんしゅつ)など悪質事例が含まれている可能性もあるという。

 公明党の太田昭宏代表は21日、町村信孝官房長官に滞納金の返済や不正防止に取り組むよう要請。町村氏は直ちに検討するよう財務省に指示した。

 同党によると、会計検査院が1985年度から2004年度までの間に返還を求めた総額のうち、滞納状態にあるのは約99億円。11月に検査院が内閣に提出した06年度の決算検査報告書でも、同年度だけで約32億円が未返還となっている実態を指摘している。(01:06)

みっともない。悪質事例が含まれているのなら、徹底調査を求める。今回は公明党、よくやった。

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霞ヶ関埋蔵金について

中川秀直氏が、特別会計に不透明な資金がプールされていると“増税派”を挑発したのを受けて、与謝野氏率いる財政改革会議は「霞ヶ関に埋蔵金があるかのように言っている人がいるが、そんなものはない」と否定した。それを自分に対する挑戦と受け止めたのが高橋洋一氏。

高校時代に数学教師から「君は授業に出なくて良い」と言われたほど数学に秀でた高橋氏は、出世には興味がない学者肌の財務官僚で、命題が与えられるととことんデータを駆使して、隠されている実態を精査してしまう。高橋氏は竹中氏と親友で、竹中氏から電話で「大臣になったよ!」と聞いた時、「うそこけ!」と言ったんだって。そして竹中氏から協力要請を受けた時、この仕事を完遂したら財務省にはいられなくなると覚悟したらしい。これほど優秀な人は民間でもっと大きな仕事ができるだろうし、財務省にしがみつくことはない。本人は小泉氏と竹中氏とともに去ろうと思っていたが、思いがけず安倍首相に声を掛けられたとのこと。(諸君!参照)

郵政民営化、道路公団民営化、特別会計、いずれも高橋氏が詳細に語る改革の根拠は、きわめて明快で小気味よい。アンチ改革派の言い分などいちころで論破されてしまう。特別会計の剰余金については、たとえれば、データさえ入力すれば誰でも発見できる「埋蔵金発掘ソフト」みたいなものを作ってしまったと。太田弘子経済財政担当相は知っているはずだが、使う気はないのかなと皮肉っていた。

財務省をさっさと離れて、保守系の雑誌にもどんどん寄稿し、保守層から受けている「改革」についての誤解を解いていってほしい。

参照:池田信夫氏のブログより、高橋氏の著作について一部抜粋
財投改革の経済学

特に重要なのは、「郵貯の矛盾は90年代の財投改革で解決したので、郵政民営化なんてナンセンスだ」という通説に反論している点だ。著者によれば、逆に財投改革によって郵政民営化は不可避になったのだという。融資部門をもたない郵貯が銀行と競争できたのは、資金運用部から0.2%の金利上積みという「ミルク」を補給してもらっていたからだ。これによって財投の資金コストは上がるので、その融資先の特殊法人などは赤字になり、それを一般会計から補填していた。つまり郵貯がリスクなしで稼ぐ0.2%の利鞘を、まわりまわって納税者が負担していたのだ。

しかし、この「ミルク」は財投改革で補給されなくなったので、低金利の国債を買うだけの郵貯が赤字になることは避けられない。融資のノウハウをもっていないから、リスクをとって高い金利をとることができないのだ。市場で「自主運用」した年金資金運用基金(旧年金福祉事業団)は、6兆円以上の赤字を出して債務超過になった。郵貯も、民営化して運用の自由度を高めなければ、長期的には破綻するおそれが強かった。

いまだに郵政民営化見直しを信念としている国民新党やら、あの人やこの人に「財投改革の経済学」を読んでもらいたいね。

また前振りが長くなっちゃった。前フリだったのかい>自分(;^_^A

不透明な特別会計の実態」の続きは明日こそ!

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安倍政権の時もそうだったが、福田政権に期待があるうちは批判も大いに書くつもり。批判しているからといって、「アンチ」というわけではないので、あしからず。小沢民主党なんか批判する気も起こらない。

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2007/12/22

改革を捨てた自民党はカス

福田内閣の支持率が急落しようと不支持率が支持率を上回ろうと、何の感情も起きない。最初から大した期待感もなかったということか。

福田首相には省庁との調整力はあっても、調整以上のことをするわけではなく、方向性が見えない。安倍前首相が固い決意で取り組もうとした道路特定財源の一般財源化や独法人改革や天下り規制等々、骨抜きどころかピンセットで小骨まで抜かれている現状を見るにつけ、限りなくしらけてきている。

そもそも改革が忌むべきイメージに扇動されたのは、“格差”を争点にした野党と官僚から発信されたもので、マスコミが“格差是正”運動を起こしたのではない。権力を叩ければ何でもありのメディアにかかっては、いざ自民党が“格差是正”を前面に出すと、あの報道ステーションですら、福田政権になって改革が逆行してばらまき予算が復活したら、日本の景気はどうなってしまうんでしょう…と繰り言をのたまっていたのには驚いた。素晴らしい手の平返し。民主党ヨイショだったニュースZEROでは、「民主党の支持母体」と説明した上で自治労批判をしていた。福田政権が誕生してから、野党と左傾メディアが“改革派”になってしまったようだ。

小泉-安倍では官僚が抵抗勢力であったのが、官僚に優しい福田政権に変わって、役所に言いなりの政治家=自民党 VS 官僚主義を打開する改革派=民主党の対立軸になりつつある。自民党の改革派は黙ってしまった。最低だ!渡辺行革相の援護射撃をする若手はいないのか。

自民党が一般大衆に対立構造をわかりやすく見せるためには、戦後レジームからの転換を図ろうとする自民党 V S 既得権にしがみつく霞ヶ関であらねばならないし、実際に切り込むところはそこにある。政治家 VS 官僚であるはずが、省庁の代弁者自民党 VS 野党になってしまった。政治戦略なき福田政権の失敗である。物足りないことこの上ない。

薬害肝炎問題でも、何がマイナスイメージかといって、福田政権が厚労省の言いなりの、いわば責任逃れの役人の一味に成り下がっているように見えることが一番大きい。これが福田首相の指導力不足批判につながっている。たとえば殺人事件の被害者家族は、口を揃えてこう言う。「なぜ殺されなければならなかったのか、真実を知りたい。犯人に真実を語ってほしい」。

何故なのか。私もそれを知りたい。責任の所在はどこにあるのか。誰にどう責任をとらせるのか。「国の責任」という時に、今たまたまトップに座っている総理大臣のクビを取りたいわけではない。行政府の長の責任として、①医療行政を歪めてきた元凶をえぐり出してほしいのだ。②具体的な救済策はその作業の上にあるべきだし、③医療行政をどう正すのかを示すのがトップの責任である。①も③もなく②だけを詰めようとしても、感情面で納得できない。

田中秀征の一言啓上
福田内閣の支持率急落、原因はいずれも官僚にあり

福田内閣の支持率の急落にはさまざまな要因がある。なかでも主要なものは、1)年金問題、2)防衛省疑惑、3)C型肝炎問題の「3点セット」であろう。

この3点セットには顕著な共通点がある。

それはいずれも一義的責任が官僚にあること。そして、実害が直接間接に納税者に及ぶことである。

さらにこれらの問題は、「日本の政治が、官僚組織をコントロールできていない」というゆゆしき実態をまざまざと示している。とりわけ、現在の統治構造を基盤として成立している福田政権には、根本的な問題解決能力が欠けているという見方が広がっている。それが今回の支持率急落につながったと言えよう。

(略)

責任の所在を明らかにできない事への糾弾

その1は、徹底した責任の追及をすること。法的責任を厳しく問い、それを問えない部分には道義的責任を追及すること。当時の関係者は被害者と納税者に謝罪をし、自発的に何らかの具体的な形で償うこと。この問題に関係した人たちが、天下りして平然と過ごしていることは許されない。

その2は、二度とこのような問題を起こさないために、官僚制度の抜本的改革を行うこと。特に、天下りによって、官庁の民間に対するチェック機能が麻痺している現状を打破しなければならない。

(略)

この機会に福田首相は一変して“改革の鬼”になったらどうだろうか。行政改革、官僚改革の先頭に立ち、小泉元首相も本格的な着手に至らなかった統治構造の改革に取り組んだらどうだろうか。

福田首相には、ピンチをチャンスに変え、災いを転じて福となす一大変身を期待する。

私が言いたいことをきっちりまとめてくれている。付け加えることは何もない。

福田政権に起死回生策があるとすれば、改革のお株を民主党に奪わせないことである。小泉-安倍内閣を牽引した高橋洋一氏は、特別会計の“埋蔵金”を精査している。高橋氏は、財務官僚に「三度殺しても殺したりない」とまで言わしめた改革派財務官僚である。ご本人は、それを信念でやっていたというよりは、学究肌で純粋にデータを追及していったら、政治家を丸め込んでいる官僚の嘘がばれてしまったのである。

小泉改革で、道路公団民営化、郵政民営化、独立行政法人、主立った改革の裏付けを緻密に計算し、設計図を書いたのは、実は竹中氏ではなく高橋洋一氏だった。そして安倍内閣が参院選で負けて、麻生-与謝野が主導権を握ったとたんに首相補佐官をクビになり、退職期限まで決められて、左遷させられた。今は暗い資料室で新聞や雑誌を読む日々とか。ドラマみたい(笑)

官僚が隠蔽してきたことを政治家は国民のために曝かなければいけないはずなのに、今の自民党は官僚の代弁者となっていると告発する。こんなことでは、国民の立場からは、自民党が抵抗勢力と思われかねない。公共事業を増やすことは圧力団体の要望に応えるだけのことであって、景気回復の一助にもなりはしない。

福田首相はそれでもなお省庁との“調整”にこだわるのか。

高橋洋一氏が精査した“埋蔵金”について、次回に書く。…(つもり)

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福田首相がリーダーシップを取ってこだわるのが、年内の中国訪問だけ。小沢訪中との違いを見せつけて支持率アップにつなげたいようだが、すでに官僚サイドから「ガス田交渉に進展は期待薄」と情報が出てきているので、また外務省や経産省との“調整”以上の成果はないだろう。

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2007/12/16

公的ファンド早くやれ。携帯電話の国際標準化競争

1週間ぶりにこんにちは。仕事と遊び半々で、毎晩10時・11時に帰宅していた。ついでに新年会を兼ねたミニミニ同窓会の打ち合わせ。大掃除もそれなりに終わったし、年末までネット三昧の予定♪ (;・o・)ア・・・年賀状・・・

国家ファンド創設へ議連発足…政府資産有効運用目指す

 世界2位の外貨準備や公的年金資産を有効的に運用する国家ファンドの創設を目指す自民党議員による「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」が5日、発足した。来年3月をめどに中間報告をまとめ、早ければ来年末の設立を実現したい考えだ。

まだ議連の段階か。遅いなぁ。
きちんと安定運用すれば、年金の基礎年金部分くらい軽く賄える。(実際に国庫負担分に充てるかどうかは別)

 議連の構想はシンガポールの政府投資公社(GIC)がモデル。政府出資の投資会社を設立し手数料を支払い、外貨準備や公的年金、政府保有不動産の一部について運用を委託する。

山本有二氏は「公的ファンド」と位置付けていた。幾つか設立して、リスクを分散する。実弾(米国債)は余っているのに運用しないほうが非常識というものだ。

 ≪議連の顔ぶれ≫

 【衆院】山本有二(会長)▽後藤田正純▽小池百合子▽西村康稔▽中川秀直▽山際大志郎▽片山さつき▽塩崎恭久▽大塚拓▽後藤茂之▽田村憲久▽中山泰秀▽船田元▽河村建夫▽尾身幸次▽石田真敏▽坂本剛二▽奥野信亮▽菅義偉▽竹本直一▽木原誠二▽今村雅弘▽佐藤ゆかり▽佐藤剛男▽福岡資麿▽塩谷立▽加藤勝信▽とかしきなおみ▽長崎幸太郎▽山口泰明▽赤沢亮正【参院】岸信夫▽関口昌一▽岡田直樹▽秋元司▽田村耕太郎▽世耕弘成▽椎名一保▽吉田博美▽山本一太▽山谷えり子▽愛知治郎=敬称略

尾身氏は潜入スパイか?(笑)
今は何かと世間の風当たりが強いけれど、党内の改革派が主導するので期待が持てる。1年生議員もがんばれ。次のリーダーを目指して、若い人達がもっと出しゃばって声を挙げていってほしい。政治家は目立ってナンボだよ!

渡辺喜美氏と菅義偉氏の対談を月刊現代で読んでみた。やっぱりこの二人はイイ!こういう人材がいるので、まだ自民党を見捨てられない。
日本は、金融・経済においても戦後レジームの呪縛から解かれていない。保守論壇は、自虐史観からの脱却には力を入れるが、経済政策ではほとんど統制経済指向としか思えない。

責任の所在を曖昧にする官僚主義が行ってきた規制強化が、どれだけ国際競争力を弱めてきたか。ところが、規制強化のツケが回ってきた結果であることに目をつぶり、弊害は小泉以後の規制緩和のせいにする。櫻井よしこ氏などは「小泉さんは靖国参拝以外は何も評価できない」と言い切っている。

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放送法・電波法にはご承知のように問題が多い。

参照:地上波デジタル放送への国費投入に反対する

テレビ局だけに代替周波数(4チャンネル分)を与える上に1800億円もの営業補償を行うことは、憲法に定める法の下の平等に反するばかりでなく、「ごね得」の悪しき前例となって電波の再配分を決定的に困難にする。

電波の再配分を巡って、結果として携帯電話にしわ寄せが来てしまう。

電波はテレビ局の私有財産ではなく、国民の貴重な共有財産である。地上波デジタル放送に使われる予定のUHF帯の周波数(300MHz)は、7000万人の使う携帯電話の周波数(220MHz)を上回り、その資産価値は数兆円にのぼると推定されるが、デジタル化が挫折したため半分近くが余っている。他方、周波数の不足がブロードバンドの発展を阻害しており、電波資源を有効利用することは日本経済を活性化する上で緊急の課題である。政府は、アナアナ変換を凍結して現在のデジタル化計画を白紙に戻し、インターネット時代にふさわしい放送システムを検討すべきである。

地上波デジタルは、現在は地上デジタルと呼ばれている。竹中氏が総務相だった時、改革をトータルに進めるため、全国的なブロードバンドの発展に寄与する整備をしなければいけないという説明をしていたように思う。それは電波に限らないので、波を取って地上デジタルになったと。

携帯電話の国際標準化競争について、週刊新潮で櫻井よしこ氏が解説していたが、日本が国際市場で乗り遅れたことを分析して、丸島氏という人の言葉を借りて「日本の企業に日本国を担うという意味での連帯感や強調心が薄いことや行政府が企業をまとめ、指導出来ないのは、米国の長期戦略に日本が嵌ったからだと語る
要するに、かつての日本の護送船団方式に米国経済が敗れたので、米国は中曽根政権時代に民活を進めさせ、行政府の権限を奪ってしまった。米国は日本を嵌めた上で、日本のような垂直・水平両面にわたる共同開発をどんどん進めた。これが米国の勝因である、と。
そして櫻井氏は、防衛も外交も米国任せの戦後日本は、全き意味での国家ではないと嘆く。

よく読むと、米国が日本に介入して護送船団方式から行政権限を奪い、民間活性化を進めてしまったことが日本の敗因であり、これが戦後レジームだと言っている。

では、元に戻って、日本の携帯電話が国際市場で「負けた」のはなぜか探ってみよう。
ここが参考になる。

【読者の声】国際標準の名が泣く日本限定の「cdmaONE」携帯電話

 ●世界を知っている日本人がなぜシステムに異議を唱えないか
 いつも興味深く読ませていただいております。携帯電話の問題、とても興味深く読ませていただきました。正直、日本はグローバルスタンダードという意識が少なすぎるのではないかと思います。

数年前、モトローラ社が日本の携帯電話市場、電波割り当てに意義を唱えた時、郵政省はNTT擁護に走り、結局、日本人はコストが高くて世界で使えない携帯電話を大量に持たされる結果となりました。

 GSMの話題が以前取り上げられていましたが、NTTグループ、郵政省は日本方式をくずさず、結局携帯電話市場の世界的ローミングと流れにみごとに乗り遅れました。日本は携帯電話のデジタル化過渡期にPHS方式採用という愚行にでて、結局、PHSユーザーは携帯電話に乗り換えにはしり、PHS市場は惨敗状態。

 来年、電話番号の大幅変更による、電話器のユーザーの電話器買い替えが起こることが予想されますが、これを機会に電波割り当ても含めて国際化できるような法体系に整備してぜひとも移行し、日本だけでしか通用しないような理不尽なシステムは辞めてもらいたいものです。

このとおりなのである。行政府の指導力が足りないのではなく、グローバルスタンダードを無視した行政の失敗に起因しているわけだ。ゆえに、私の結論は櫻井氏と逆になる。国際市場のニーズを優先しなかったために何兆円もの市場価値を自ら逃した。アメリカさんとは関係ねえ。

ただ櫻井氏が言うように、日本のもの作りが高水準だからといって、国際競争に勝つためには国を挙げて取り組まなければならないことには賛同する。「一流国はブランドを売り物にする」、このブランドこそ国際標準である。中国は、国を挙げて技術力をよそから仕入れて、小狡く標準化を手に入れようと画策している。しかし、日本が規制緩和して国際的なニーズをいち早くくみ上げる戦略をとっていけば、正々堂々と勝つことができると思う。

もう一点、「日本の企業に日本国を担うという意味での連帯感や強調心が薄いこと」を敗因としているが、これこそが戦前から戦後に続くレジームなのだということに気づかないのだろうか。民活を押しつける米国に嵌められたことが、戦後レジームではない。国家総動員法は1938年に制定された。これによって、企業は国家の目的に奉仕する存在として位置付けられた。ある面、公的な意識の高い日本人には、現在も美徳として受け入れられている価値観である。しかし、そのことによって行政の過干渉に陥ることに警戒しなければいけない。本来、国家の目的ではなく、企業価値の向上を目指すものである。

渡辺行革相が菅氏との対談で説明している。

そして40年に源泉徴収制度が導入されます。サラリーマンの月給袋から戦費を引いたわけですが、これで企業は徴収代行代行義務者に仕立て上げられた。同時に、そうやって集められた財源を分配する地方配付税がスタートしますが、これが地方交付税となっていく。
さらに42年には食管制度と労働者年金が始まります。この労働者年金は、積立方式と称して給料から掛け金を自動的に差し引くもので、それぞれの事業所管理でおこなわれた。事業所ごとに管理された年金制度ですから、すなわち、いまの厚生年金です。というわけで、われわれはこれら1940年体制の亡霊といま戦っているのが現実なんですね。

ちなみに郵便貯金も戦費調達のためだった。有事の際の国家の財布だった。
戦時に日本が一つにまとまるためには有効だったかもしれないが、責任を採ることを放棄してきた官僚制度はすでに制度疲労を起こしている。中央集権は自立を阻害するので、かえって格差を助長させる。社保庁の問題もそうだし、長年の膿が出た時には、現在の政権が責任を採らなければいけない。そして政治が混乱する。まったく悪循環に陥っている状態こそが、戦後レジームであることをわかってほしい。

渡辺氏は改革の根本をこう表現している。
官僚内閣制から真の議院内閣制に

官僚内閣制という言葉は「官僚に繰られてきた国会議員」を比喩したものである。政治家はもっと政策立案能力を高めることが必要である。その補佐として民間のシンクタンクを養成していけば、「官僚の言いなりの政治家」が減り、真の議院内閣制に生まれ変わるはず。

安倍さんは、塩崎氏や山本有二氏と政策研究していただけあって、歴史認識のみならず経済・金融政策においても、戦後レジームからの脱却の意味を理解していた。だからこそ竹中氏の指南役であった高橋洋一氏をブレーンとして頼み、小泉政権以後も安倍政権に残ってもらったのである。安倍氏を支持した理由は、「健全な保守」と自称する人達と私では経済政策面では反対である。「健全な保守」派は、安倍さんを小泉さんの犠牲者だと思っているのだろう。

最後に、前総務相だった菅氏の言葉を引用する。

メディアにしても、戦後レジームそのものでしょう。記者クラブ制による横並び、護送船団方式、それから天下り。
(略)
では、こちらを批判するメディア側はどうかといえば、テレビ局などは完全に既得権の世界でしょう。これ以上局を増やすことは全員反対で、現に新規参入できない仕組みになっている。昔にくらべてテレビの影響力ははるかに大きくなっているのに、こんなことで日本の民主主義はうまくいくのか、心配になります。

メディアこそ規制緩和して、競争に晒さなければ浄化されないと思う。

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メディアの取材源が圧倒的に霞ヶ関に多いということは、政治に関心のある人なら知っているよね。政治家のみならず保守のオピニオンリーダー的な論客も、官僚によって情報コントロールされてしまっている。メディアにぼこぼこに叩かれた有望な政治家ほど、菅氏や渡辺氏のようにメディアの黒幕が霞ヶ関であることを実感している。

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2007/11/30

渡辺行革相が示す行政・金融改革。政府系ファンドは脅威か

J・アワー氏が、宴席自体を否定していたのが一転、人形町で行われた宴席に出席した際、額賀氏はいなかったと会見した。
額賀氏喚問は、共産党・国民新党が(与党ボイコットのため)全会一致の採決ではなかったことを理由に消極姿勢に転じた。民主党も野党一致でなければ喚問は見送る様子。

きょうの流れでは、自民党に有利に運んでいるようだが、私は自民党は墓穴を掘ったと思う。J・アワー氏は一度嘘をついた。守屋氏は、偽証罪を問われる喚問の場で「額賀先生のことははっきり覚えている」と言った。どちらに信憑性があるか。自民党と額賀氏は、挨拶程度に顔を出した宴席をなぜ否定するのか。他の参加者がよほど香ばしい面々だったのかな。額賀氏が本当に出ていなかったとするならば、疑惑の渦中に放り込んだ守屋氏を偽証罪で告発すればよい。国会内でどうこうできる局面は過ぎた。

自民党執行部は、額賀問題を政局に利用する民主党と福田政権との対立構造と考えているようだが、防衛省に強制捜査が入り、守屋容疑者が地検の手に落ちている状況で、民主党と悪口合戦している場合ではない。事はすでに政治家を巻き込む防衛利権解明に向かっている。週刊誌片手に追及するような民主党議員に何ができる?

民主党にしても、額賀氏追及の証拠が守屋証言だったわけだから、いまさら喚問しても意味がない。自民党から民主党議員の喚問を要求されたり、痛くもない腹を探られるだけリスクも高くなる。心当たりのある民主党議員もいるでしょ。喚問回避は、民主党にとっては運が良かったのである。共産党と国民新党にお礼を言わないと。(笑) 

ということで、あとは捜査機関にお任せ。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

福田政権は、小泉-安倍のようにはいかないが、一応構造改革を進めるスタンスなので応援している。特に行財政改革は、今やっておかないと二度とチャンスは巡ってこないだろう。民主党であれ、自民党の右派政権であれ、次は必ず大きな政府に向かってしまう。

<行政・金融改革>

渡辺喜美行革相
内閣府特命担当大臣(金融、行政改革、公務員制度改革担当)

(週刊ポスト 緊急インタビューより)

――増税を言い出したのは、財政削減はもういいという政策転換の象徴に思える。

渡辺 年金や保険制度など持続可能な社会保障制度をつくるために税の体系がどうあるべきかという議論はおおいにやったらいいが、今の政府の規模や役人の天下りネットワークをそのまま温存するために増税なんていうのはもってのほかです。行革大臣の立場からいえば、2011年以降は徹底したリストラの時代になる。それまでの4年間はその準備期間です。今年の通常国会で成立した改正国家公務員法によって、11年は、まさに各省の天下りの斡旋が全面禁止される年。その前年には総人件費改革5カ年計画を終了します。これによって人件費は5.7%の純減になる。

――総選挙をにらんで予算をばらまくには改革など待てない。与党にも増税論が高まっている。

渡辺 増税によって大きな予算を組み、ばらまきをやって国民の幸せを守るというのは旧来型、古い自民党の発想です。衆参ねじれの中で、とにかく増税してでも大きな政府でやっていくというのだとすれば、一種の滅びの美学みたいなものですよ。次の選挙で国民に支持されるのか。ですから、増税の前に、簡素で効率的なスリムな政府をつくるという、やることがあるだろうと言い続けていく。

渡辺行革相の主張は明快。

では、金融相としての見解はどうか。
(Voice12「ファンドの暴走から国益を守る」)要点と私の感想

“投資”というと否定的にとらえられる傾向があるが、ファンドといっても玉石混淆。金融相としては、地域再生ファンドのように地域再生に貢献したいという意思を持つ“玉”のほうは伸ばし、石の中でもコンプライアンス違反をやるようなものは排除していく。
短期売り抜けや典型的なハゲタカファンドは、法整備していく中で淘汰されていく。

例として
①金融商品取引法では、内部留保をもって長期投資で前向きの事業計画をもっている会社に対して、アクティビストが鞘取りを狙って短期売買で半年以内に売り払ったら、その利益は全部会社に戻すように想定している。またTOB(株式公開買い付け)だと称しながら、半年以内に売り払うというような典型的な鞘取りも認めない。

②アメリカでは、エンロン事件など不正会計問題が起こったため、SOX(サーベンス・オクスリー)が制定された。
たとえばアイスクリーム屋がクリームや砂糖を大量に仕入れて、これを売り上げ原価に入れずに資産計上すれば高収益ビジネスになる。このような手法で利益水増しをやり、株価を上げるという問題に対処するために制定されたもので、投資家に対する企業経営者の責任と義務・罰則を定めた米国連邦法。かなり強烈な内部統制の法律となっている。

→しかし、企業にとってはコストの負担が大きく、アメリカではすでに緩和の方向に向かっているとのこと。金融商品取引法の中の条項で来年施行予定のものは、日本版SOX法とも言われる。規制強化はやりすぎると逆効果になるので注意。

現状でファンドや時価会計を全面否定することは不可能であり、鎖国政策はとりえないので、危機対応をいかに迅速に戦略的に対処するかが重要になってくる。金融工学が発達し、もし市場主義を逸脱して悪しき目的意識を持つと、金融帝国主義となってしまう。ルール違反は摘発するしかない。

いま日本市場の競争力強化戦略の中に、プロ向け市場をつくろうという発想がある。中長期投資の市場で、安定的かつ発展的な投資を運用する。企業や研究分野では、長期戦略を描くためには中長期の投資がほしい。リスク過敏で短期投資に失敗し、塩漬けで莫大な損失を被っている個人投資家もたくさんいる。そのようなリスクを避けて中長期の市場に移る個人も増えてくるのではないか。企業も投資家に振り回されずに腰を落ち着けて商品開発ができる。

→企業はなにより安定株主を増やしたいので、プロ向け市場の発想はすばらしい。

金融商品取引法」については、株主の防衛策としては有効だが、業界にとっては評判が悪い。なぜならリスクのある金融商品やサービスの取り締まりを受けるという法律で、いわゆるアマチュア投資家を保護するため、金融商品が売りにくくなったのである。素人さんに、まず「ここにこういうリスクがある」と相手に理解させた上で販売しなければならない。70歳以上の人には家族の同伴が必要って・・・これはやりすぎだな。

金融業界では規制強化の大打撃を受けて、施行前の8月に1兆5400億円だった資金流入額が9月には7400億円に落ち込んでしまった。リスクを明示していない広告も摘発されてしまう。

証券マンは、今後の営業では、リスクの説明を先にしなければならない。銀行や証券会社、投信販売のゆうちょ銀行はやりにくかろう。でも、素人の投資家にとっては「必ず儲かると言ってたのにぃー!」と臍を噛むことが少なくなるのでいいんじゃないかと思う。リスクを説明された上で購入しているのだから“自己責任”となる。

規制された直後には何でも混乱するが、資本市場の萎縮は一時的で、売り手買い手がこのシステムに慣れてくれば、再び活況を呈するようになるのではないか?安易に担当者に勧められるままにリスクを負って地獄を見る投資家が減るだけでもいいと思うのだが・・・。それより短期勝負で「儲かった儲かった」で踊る投資家より、このような素人を中長期で投資するほうに振り向かせるほうが、よほど日本の企業を育てることに貢献すると思う。今はちょうど金融業界にとっても端境期にあるのだと感じる。

渡辺金融相が説明する「金融商品取引法」は、そのような趣旨を持っている。これからも強化や緩和の試行錯誤を繰り返すのだろう。

小金を貯めている中高齢者には、ぜひ上手な資産運用を進めてもらいたい。国内銀行の預金残高が535兆円もある国は、それだけでも宝の持ち腐れ。投資の流動性を高めていくことは必要だと思う。将来性のある企業を育てる喜びを持てる安定的株主を育てよう!

ただし官僚主導のコンプライアンス強化だけに走ると、薬害問題もそうだが、役所の無謬性(政策の過ちを認めない)によって、民間だけに責任が押しつけられ、コンプライアンスの本来的趣旨が歪められるおそれがある。例:建築基準法改正 
今後、政府が率先して、経営者や民間の有識者などとすり合わせをしていく態勢を作っていくことが必要と思う。

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<政府系ファンド(ソブリン・ウエルス・ファンド:SWF)>

もともと産油国が始めたものだが、今では世界的な広がりを見せている。日本も公的ファンドを検討している。(早く始めろよ)
中国は巨額の外貨準備金で運用を始めている。日本人は、どうして“投資”に拒否反応を示すのだろうか。中国が国際市場にのさばってくると“政治目的”で国ごと乗っ取られるんじゃないだろうか、、みたいな外資脅威論があるわけだが、、かんべいさんの訪中報告を読むと、経済・金融においては中国人にはマルクスの残滓はもはやなく、SWFは走りながら考えている状況らしい。中国人自ら「国家が資金運用することは、そもそも市場を歪める」と言っているのを聞くと、へぇ~~と時代の変化に驚いてしまう。

日本だけでなく、G7でも中国や産油国のSWFには警戒感が強く、アメリカは監視強化を望んでいる。

中東のファンド ソニーに投資

原油高を背景に多額のオイルマネーが世界じゅうの市場を舞台に積極的な企業買収や投資を行うなかで、中東・ドバイの政府系ファンドが、ソニーに大規模な投資を行ったことを明らかにしました。日本企業を対象にした大型投資として注目を集めそうです。

ソニーに対して投資を行ったのは、UAE=アラブ首長国連邦のドバイが運営する投資ファンド「ドバイインターナショナルキャピタル」です。26日に発表した声明では、ソニーに投資した理由について「金融子会社の上場など経営建て直しの取り組みが進んでいる。グローバル企業への投資を行うわれわれにとって欠かせない企業の1つだ」などとしています。投資は長期的で大規模なものとみられていますが、具体的な投資額や取得した株式の数などは明らかにしていません。原油高を背景に多額のオイルマネーが世界じゅうの市場を舞台に積極的な企業買収や投資を行うなかで、政府が直接運営にかかわる投資ファンドの存在感が増していますが、こうしたファンドによる日本企業を対象にした大型投資として注目を集めそうです。これについて、ソニーは投資の事実を認めたうえで、「われわれの価値を評価してくれたことを喜ばしく思います」とコメントしています。

中東のファンド シティに出資

原油高で潤う中東のUAE=アラブ首長国連邦の政府系ファンドが、アメリカ最大手の銀行「シティグループ」に対して、日本円にしておよそ8000億円の出資を行うことになりました。中東のオイルマネーがほかの地域の企業に投資する動きが活発になっています。

シティに出資することを決めたのは、UAEを構成する首長国の1つ「アブダビ首長国」の政府系ファンド「アブダビ投資庁」です。シティグループは26日、アブダビ投資庁が普通株に転換されるシティの証券を取得する形で75億ドル、日本円にして8000億円の出資を行うことを発表しました。これによって、アブダビ投資庁の持ち株比率は4.9%に達しますが、これ以上株式を買い増したり取締役を送り込むなど会社の所有にはかかわらないことで合意したということです。シティをめぐっては、低所得者向け住宅ローン=サブプライムローンの焦げ付き問題で損失がさらに拡大するのではないかという懸念が金融市場に広がっており、シティとしては、今回の資本増強によって市場の不安をふっしょくするねらいもあるものとみられています。一方、原油高で潤う中東の政府系ファンドが潤沢な資金で世界各国の企業に投資をしたり買収したりするケースが増えており、この日、UAEのドバイの政府系ファンドが日本の大手電機メーカー「ソニー」に対して投資を行ったことを明らかにしたばかりでした。

この二つの事例で、たぶん日本の右や左の旦那様は警戒感を持つと思う。「サブプライムローンの証券化によってcitiが被った巨額損失について、日本政府に穴埋めさせるためにアメリカが圧力をかけている」といった流言飛語がネットで飛び交っていた。そのためにロックフェラー氏が来たとか。。よく思いつくよね、そういうこと。
citiにはアブダビが投資してくれたんだって。日本の右派左派は安心したかな?(笑) アブダビは良い投資をしたね。将来的にすごいリターンになるよ。

SWCは基本的に長期的な“安定株主”なのである。国際社会の相互監視の目があるので、ルールを逸脱した“乗っ取り”手法などの信用失墜行為は行えない。政府ブランドは信用が命だからである。破綻寸前の第三セクターなど、どこかのSWFが再生ファンドとして投資してくれたら、こんなありがたいことはない。長崎オランダ村がアブダビ村になったりしてね。(冗談です)

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日本も政府系ファンドを幾つか作って最大限に運用すべし。

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2007/11/18

早急に消費刺激策を

所得格差を図る指標として用いられるものにジニ係数がある。

(Wiki)ジニ係数(Gini coefficient または Gini's coefficient)とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標。ローレンツ曲線をもとに、1936年、イタリアの統計学者コッラド・ジニによって考案された。所得分配の不平等さ以外にも富の偏在性やエネルギー消費における不平等さなどに応用される。

自由経済では、許容範囲が0.4程度とする。0.5を超えると不平等感が許容量を超えるとされる。日本では、2004年(1984年)の年代別に見ると、最も指数が高いのが60~65歳未満で0.4(0.35)に近く、最も低いのが25~30歳未満で0.25~0.30(0.20~0.25)となっている。1984~2004年でわずかに格差が開いてきたが、60歳~高齢者以外では、0.25~0.35少し超える範囲に入っている。
参照:フォーサイト「格差問題解決の本当の処方箋」大竹文雄氏

年齢層が上がるに従って格差が広がるのは、高齢化によって説明できる。仕事の実績や昇進の差によって所得の差に開きが出るので、高齢者が多くなればなるほどジニ係数指数は上がる。

ところが、若年層の所得格差が拡大してきたことも事実である。低所得層のさらなる所得低下によってワーキングプアが顕在化してきた。この原因は何か。このような所得格差拡大は、90年代に生じていた。つまり不況の影響をモロに受けたのが低所得者と言える。経済学者の間では、景気回復が進めば低所得者の所得が上昇し、格差は縮小に向かうという仮説がある。小泉政権下でようやく景気回復指数が上向きに転じ、雇用拡大に向かったので、この仮説は間違ってはいない。不況期にフリーターとして取り残されてしまった人達に対する施策が急がれるが、これは雇用流動性を高めるしかない。

気をつけなければいけないのは、不平等感は低所得者に限ったわけではなく、食うに困らない人達が既得権を持っていると、格差感を訴えて国に所得再分配政策を求めてしまうことである。

日本はアメリカ追従というが、アメリカの所得格差は、製造業依存から抜けてITバブルによって富の偏在が起こったことに起因する。日本では、富の集中化に変化はさほど起こっていない。高学歴・高技能労働者に偏って富が増えることは、その者達が起業して雇用供給者となる場合もあるので、必ずしも悪いことではない。

しかし、世界の工場がグローバル化したせいで、製造業で時間労働制で所得を得る低賃金労働者があおりを受け、ホワイトカラーとブルーカラーの賃金格差は広がるばかりである。しかも日本の若者は3Kの仕事を嫌って、経営者は安い労働力を外国に頼らざるを得ない現状もある。最低賃金引き上げが特効薬になるのだろうか。産業構造が時代と共に変化していくことに対応しなければ、根本的な解決にはならない。昔を懐かしんでいる場合ではない。いまやホワイトカラーの分野ですら中国にアウトソーシングする時代なのである。

景気浮揚のために国が取り得る施策は、雇用分配、所得再分配ではない。産業育成と教育システムの構築(社会人教育から始めなければいけないほど人材が劣化している)、地方への積極的な産業誘致ではないかと思う。

法人道府県民税--都は地方税規定で特別区特例と表現しているため「都」が抜けている--を減額したらどうだろう。杉並区の山田宏区長が「住民税ゼロ構想」--年間予算の約1割にあたる150億円を積み立てて運用し、運用益で住民税をまかなう--を提案したように、法人二税のうち住民税をうんと減額すれば、地方に進出しやすくなるのではないか。税金が安いのは企業にとって魅力である。しかし、地方に誘致するどころか優良企業が法人税の安い国に行ってしまい、虻蜂取らずということにもなりかねない現状がある。

サンスターは、日本企業初の三角合併を使って本社機能を法人税の安いスイスに移ったという。三角合併をこんなふうに使う手があったのか!外資がハゲタカのように舞い降りるのを助けたのではなく、国内産業が海外に流出する手助けをしていたとは笑い話みたい。

日本人はすっかりマスコミに洗脳されて、財源が足りないから増税は仕方ないと思っている。マスコミの情報源は、官僚であることが多い。悪意ではないが、知らないうちにバイアスがかかってしまう。

たとえば、この解説をどう読むか。

清水 真人 編集委員
安倍晋三と大田弘子の「続・経済財政戦記」(2007/6/20)

 当時の経済財政担当相・与謝野馨や財務相・谷垣禎一ら「財政タカ派」は歳出削減策に続いて社会保障の安定財源としての消費税問題に取り組まざるを得ないと主張。安倍をポスト小泉に担いだ当時の政調会長・中川秀直や総務相・竹中平蔵ら「上げ潮派」は名目で4%の経済成長は可能で、長期金利をなるべく低い水準に抑え、税の自然増収に期待して増税は先送りすべきだと説いた。

改革派と言われる政治家は「消費税を上げる時ではない」と言う。私に言わせれば、上げる上げないの消極論ではなく「大減税を断行せよ」である。「税の自然増収に期待して」ではなく、必ず景気回復をさせるとん服政策が必要である。大前氏がSAPIOで「世界標準・大減税」を敢行せよと主張しているが、大賛成である。消費拡大によるインフレではなく原油高などでコストインフレが起こっている時、福田首相が消費税増税を見送ったのは当然である。サブプライム問題で金融不安が起こっていることを考慮したようだが。

思うように所得が上がらない中で、減税で消費を刺激するしかない。
所得税と法人税は税率を下げたほうが税収が増える」のである。

小泉改革が市場原理だとかアメリカ年次改革要望書の請け売りだとか、本気で思っているのだろうか。減税一つできなかったのに??さらに重税感がのしかかってきた。景気回復の足がかりが見えたのは、金融不安が概ね取り除かれたことが大きい。

SAPIOで、あの小林興起氏がこんなことを言っている。アメリカ陰謀論はげっぷが出るので省略。

今までの日本では、会社の利益は従業員で分け合うものだった。雇用不安がなく、所得増による将来設計が描けるという環境で、従業員が思いきり働き、それが日本企業の強さを生み出してきたのだ。

年功序列が可能な時代が続けばよかったね。でも、ジニ係数に当てはめれば、ものすごい年代別格差になるけど。高度成長期の陰で、官民格差は広がり続けた。

自ら招いた不況も経済失政もアメリカのせいにしていれば、こんな楽なことはないよなぁぁ。原因がわからなければ人のせいにして、昔はこんなによかったのに・・・と、アメリカの「植民地政策」を恨んでいればいいのだから、単純な人はうらやましい。日本はアメリカの植民地なんですって。郵政造反組の“信念”の根拠はこの程度である。復党した堀内氏の著書でも同じようなことが書いてあった。彼らの教科書は、関岡英之氏の「拒否できない日本」らしい。この本は、かの森田実大先生も大絶賛していた。

アメリカは、日本のバブル崩壊の時の失敗を教訓として、手を打った。バブル自体はどこの国でも起こる。アメリカはITバブルがはじけ、景気後退局面に入った時に「デフレを予防する:1990年代日本の経験」を処方箋としてアメリカ連邦準備制度理事会が発表した。
小林興起氏の言うように日本がアメリカの植民地なら、アメリカの経済・金融政策をお手本にしてご教授願えばよかったじゃない?真似していれば、少なくともFRB議長から「日銀はstupid」と言われなかっただろう。いまさら政策の失敗をアメリカのせいだ!と押しつけられてもね・・・。

日本の失敗は、不良債権処理の遅れと金融緩和の遅れに尽きる。
参照:Voice「平成大不況『失敗の研究』」若田部昌澄氏

この時代、日銀が行った失敗の数々は枚挙に遑がない。90年の「バブル潰し」がなければ、また98年4月に改正日銀法が成立し日銀が法的な独立性を獲得したときに、物価の安定化について政府と日銀のあいだで何らかの合意があれば、さらには2000年8月のゼロ金利解除がなければ、など、反実仮想のネタには困らない。

つまり政府のリーダーシップで金融政策に介入できていれば、こんな事態にはならなかったであろうという反証である。経済学者の竹森俊平氏は、日本の「失われた十年」の原因を「経済問題ではなく政治問題」と喝破しているという。小泉政権がラッキーだったのは、圧倒的な支持率と強固な政権運営の基盤があったので、官邸主導が可能だったことである。郵政民営化は、小泉首相が施工主で竹中平蔵が現場監督、そして高橋洋一が設計技師であったと若田部氏は表現している。

「諸君!」掲載の高橋洋一氏のインタビューが秀逸だったので、機会を改めて紹介したいと思う。

なぜ小さな政府が強い国を作るのか。それが強い経済を作るからに他ならない。民間のシンクタンクを育てることが急務である。そして政府は頭脳として方向性を示さなくてはいけない。四肢が自由に血の巡りよく活発に動くためには、大きな政府で手足を縛ってはいけないということ。ちまちま無駄を省いて「歳出削減は限界ですぅ」という次元ではないのである。

韓国の親北左翼のチョン・ドンヨン候補が「盧武鉉の大企業優遇の弱肉強食経済反対」と、盧武鉉の経済政策失敗を認めた上で、自分は「弱肉強食ではない」と訴えていた。韓国民は、しらけた気分で聞いていることだろう。
日本では、小泉改革が「弱肉強食の格差社会」を生んだと主張する政治家は谷垣氏とか与謝野氏。彼らは財務省の政策に通じているので「政策通」と呼ばれる。かつての郵政民営化造反組の言い分もそうだが、わずかこの数年で弱肉強食社会になったと信じ込まされている人達は、国を破綻に導く左翼連中となんら変わらないということである。

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その場しのぎの政策を続けていてはいけない。改革派は、おそれず方向性を示せ。

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