農業政策

2009/03/14

石破試案のコメ減反見直しは農林族に撃沈される

(本日分1/2)

月刊誌や積ん読本が部屋のあちこちに積み上がってきて、いらいらしてきた。
そこで書棚の組み立てと設置、部屋の模様替えに伴う大掃除開始。部屋の隅に蜘蛛の巣が・・・
3日間もかかってしまった。いえね、やり始めるまでのエンジンの掛かりが遅くて、その前に今月号のボイスをちょっと・・文藝春秋が気になる・・と寄り道が長かった。

本や雑然と置いてあった小物類がすっかり整理され、(蜘蛛の巣もなくなり)やっとネットに集中できる環境が整った。頭の中の引き出しもこのように整理できればいいのになあ。引き出しにしまう前に忘れてしまう【ノ_;】

ネットお休み中に気になったニュース。

(古いニュースから時系列で)
時事ドットコムより

石破構想」、農林族が巻き返し=コメ減反で独自案策定へ

 石破茂農水相が目指すコメの生産調整(減反)見直し構想に対し、自民党農林族が反発を強めている。減反見直しは米価下落を招き、「農村票」の自民党離れを加速する恐れがあると懸念しているためだ。党側は減反政策を維持・強化する独自の改革案をまとめて対抗する構えで、支持率低迷の麻生政権の火種となりそうだ。
 「鳥取県の農業が全国モデルではない」。26日に党本部で開かれた自民党農業基本政策委員会で、西川公也委員長は、農水相の地元が米収穫量全国38位(2007年度)の鳥取県であることを当てこすり、「石破構想」は容認できないとの考えを強調した。
 石破構想は、減反に参加するかどうかを農家の判断に任せる「選択制」の導入が柱。減反参加農家にはこれまで通り所得補償を続ける一方、参加しない農家には耕作地の拡大を認める代わりに、所得補償は取りやめるというもので、農家の生産意欲を高めて食料自給率を向上させる狙いがある。
 しかし、供給量が増えて米価が急落する可能性を伴うため、農林族議員の間では「(支持団体の)農協も黙っていない。衆院選挙を控えて理想論では済まない」と評価は散々だ。このため、農業基本政策委員会は3月中に、減反政策を維持した上で参加農家への所得補償を手厚くする対案をまとめる方針。全農家への戸別所得補償制度を掲げる民主党対策も兼ねたもので、農林族幹部は「内閣支持率が10%台に落ちた麻生政権に農政改革を進める力など残っていない。こっちの案を衆院選の政権公約(マニフェスト)に反映させる」と鼻息は荒い。
 ただ、加藤紘一元幹事長や谷津義男元農水相らが10日、都内のホテルに農水相を呼び出して翻意を求めたものの、農水相は「今後は党とよく話し合って決める」と持論を引っ込めなかった。農林族と農水相の溝は深く、調整は難航必至の情勢だ。(了)(2009/02/26-20:39)

ろくに報道しないので、火種にもならない。麻生首相は党の方針を丸呑みで「総理の決断」を示すことはない。

政権が弱体化すると霞ヶ関の権益拡大工作が活発化し、族議員の発言権も大きくなる。郵政族の巻き返しが良い例だ。

10年度以降も水田フル活用=他の政策も引き続き検討-石破農水相

 石破茂農水相は3日の閣議後会見で、米粉用や飼料用のコメなど主食用米以外の生産を振興する「水田フル活用」政策について、2010年度以降も継続する考えを明らかにした。(略)(2009/03/03-12:12)

こういう施策には積極的に補助を出せばよい。
渡辺喜美氏も強く提案しているが、価格統制の弊害を引きずるよりは、成長産業として育成するために農家に直接補助をしたほうが有効である。補助金の使い方をかんぺきに間違えているというのが私の今までの感想である。

参考までに
ヨッシー日記より

 十勝は北海道農業生産の4分の1を占める。日本の農業には無限の可能性がある。食糧自給率100%を目指す国家戦略があってよい。価格維持政策の統制型農政から、農家への直接所得保障を行う市場型農政に転換した方が、消費者も喜ぶ。なぜ自民党政権でそれができないのか。農水省の公務員制度が壊れてしまうからである。そんな単純明快な政策をとったら、微に入り細に渡って構築されている補助金体系が不要となり、役所の仕事が減ってしまう。事業がなくなれば天下りポストもなくなる。この国を覆う戦時体制の業は深い。

ここまでが先月までの経緯

作付け拡大見込みを明記=コメ減反見直しで4試案-農水省検討

 農政改革の焦点となる主食用米の生産調整(減反)政策見直しをめぐり、農水省が検討している4つの試案が11日、明らかになった。主食用米の作付面積(2008年産で約160万ヘクタール)の増減見込みも明記。同省はこれを踏まえ、米価の下落幅や所得補償額を試算、4月前半までに試案を公表し、幅広く議論してもらう考え。
 4試案の中で、減反への参加、不参加にかかわらず、米粉や飼料用のコメなど主食用米以外の生産に助成金を支給して作付けの自由度を高めたり、減反参加者に対する主食用米以外への転作助成金を一段と拡充したりする2案が有力視される。米価維持にこだわらないか、ある程度こだわるかが大きな違いだ。参考のため「極端なケース」(石破茂農水相)として減反廃止案と、現状維持案も盛り込んだ。作付けの自由度を高める案は、減反に参加するかどうかの判断を全面的に農家に委ねる「選択制」の考え方を反映。参加メリットが薄れることにより不参加者が増えると想定され、主食用米の作付面積は約20万-約40万ヘクタール拡大すると見込んでいる。(2009/03/11-20:00)

石破改革チームの試案に大賛成。ただ「極端なケース」として減反廃止案を盛り込まなければならないことが、党の族議員の圧倒的な優位を物語っている。

減反支援など農業で17項目=「1兆円も視野」-補正へ自民検討

 自民党農業基本政策委員会(西川公也委員長)は13日、政府・与党が検討している2009年度補正予算案に、農業分野として、主食用米の生産調整(減反)推進など17項目の支援策を計上するよう求める方針を決めた。項目ごとの具体策や総額は今後詰めるが、有力農林族は「農林水産分野で1兆円計上も視野に入れている」とこれまでに指摘している。
 補正での農業支援が異例の大規模となる可能性もあり、内容次第で農家への過剰保護との批判も浴びそうだ。(2009/03/13-12:35)

これが最新のニュース。
BSニュースで聞いたところ、族議員は「農業政策の変更は農家の抵抗が大きい」と説明していた。よく言うよ。農協が反対しているとなぜ言わない。さらに減反を進め、協力農家には支援を強化するんだと。カネの使い方が間違っている。

成長産業に逆行するのが自民党主導の農業政策なのである。

麻生首相のリーダーシップを・・・はい、無理。

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2009/01/22

農水省改革チームは抵抗の壁を打ち破れるか

麻生内閣で石破農水相だけが意欲的に改革に取り組んでいる。
たとえば時事ドットコム 「農水省 改革」で検索すると、

12/24 17:54 農政事務所廃止、来年3月結論=業務・組織見直し-農水省
12/20 09:39 20日の朝刊(都内最終版)
12/11 13:33 出先統廃合に異論=分権委2次勧告で-自民特命委
12/08 20:33 分権委の第2次勧告
12/03 21:30 所有から利用重視に転換=農地法改正案を正式提示-石破農水相
11/28 13:05 主要食料業務は外部移管=農政事務所の存廃は今後検討-石破農水相
11/27 20:52 国民視点の組織に転換を=農政事務所は廃止-農水省改革チーム提言
11/27 10:24 農政事務所廃止を提言へ=事故米問題受け-農水省「改革チーム」
11/06 20:40 地方分権でも指導力アピール=農政・整備局廃止案、実現は不透明-首相
11/06 17:42 農政局廃止、「首相にできぬ」=民主・菅氏
11/06 13:21 農政・整備局の廃止検討を=丹羽分権委員長に指示-麻生首相
10/10 13:06 労使関係検討委のメンバー決定=政府
10/02 20:40 農水省改革チームが初会合=事故米問題受け組織見直し検討
10/02 20:17 代表質問の答弁要旨=麻生首相
09/28 11:58 週内に農水省改革チーム発足=石破農水相
09/19 12:32 総選挙意識、事実上の更迭=後手の農水相に激怒-福田首相

タイトルをピックアップするだけで動きがわかる。どれか一つでもきちんと報道されただろうか。

昨日は自民党国交部会の抵抗を取り上げたが、分権委第2次勧告の農水関連においても

〔農水省〕地方農政局=直轄公共事業の実施以外の機能を地方振興局(仮称)に、直轄公共事業の実施機能を地方工務局(仮称)に統合。地方農政事務所は廃止▽森林管理局=独立行政法人化後に国に残る事務・権限を担う組織を残す▽漁業調整事務所=現行組織を残す

出席議員から「われわれは絶対賛成しない」など強く反対する意見に加え、「(分権委を)廃止してください」との声まであったという。

週内に農水省改革チーム発足=石破農水相

 石破茂農水相は28日、事故米の不正転売問題を受けて、週内にも若手の課長級職員で構成する改革チームを立ち上げることを明らかにした。若手職員の視点で省内改革について議論する。農水相は「若手の課長、今まで言いたいことを言って疎んじられた人たちで構成したい」と述べた。(2008/09/28-11:58)

農水省改革チームが初会合=事故米問題受け組織見直し検討

 事故米不正転売を受け、農水省の業務や組織の見直しを検討する「農林水産省改革チーム」(チーム長・針原寿朗林政部長)が2日、初会合を開いた。消費者目線に立った政策決定や職員の意識改革に向けた対策の在り方などを議論し、11月中に改革案を取りまとめる。
 チームは石破茂農水相の指示で発足。「若手で、農水省を変えないといけないと思っている人で構成する」(農水相)として、課長クラスを中心に職員16人が選ばれた。農水相は冒頭、「批判を恐れず、抵抗に屈することなく使命感を持ってやっていただきたい」とあいさつした。(2008/10/02-20:40)

石破農水相の断固たる思いが伝わってくる。

所有から利用重視に転換=農地法改正案を正式提示-石破農水相

 石破茂農水相は3日の経済財政諮問会議で、農地の貸借を原則自由化することを柱とした農地法改正案などの概要を正式に提示し、「所有から効率的な利用への転換を中心に制度改革を進める」と強調した。民間議員も独自の農業改革案を示したが、最終的に農水省案を了承した。
 改正案は、農業就業人口の減少で耕作放棄地が拡大する中、株式会社や農業協同組合などの新規参入を促して農地を有効利用し、食料自給率を引き上げるのが狙い。規模拡大で生産性を高めるため、分散している農地を中核農家に集積する仕組みも全市町村で導入する。農業生産法人への出資制限も緩和する。(2008/12/03-21:30)

昨年、「農政改革「新・農地法」の理念に立て」でまとめたように、農地所有が農地利用につながっていないことが最大の問題である。所有者は国の保護政策のもとに公共事業転用などによる値上がりを待って手放さない。貸すこともいやがる。

農業を成長産業に」という目標に立ち、現行の農地法に守られた農地所有者や農水族の既得権益をぶち壊してでも改革しようとしている石破農相は大したものである。第一次産業に「経営理念」を持ち込まずして、自給率アップも輸出強化もあり得ない。

ある保守論客は「自給率100%にするのは簡単。日本人が食べる量を減らし、食べ物を残さない。地産地消をすればいい」と胸を張って書いていたが、同じような考え方を「政策」として反映させている元議員(浪人中)がいる。こういう人とは一緒に議論の場に立つことができない。食べ物を余らせるなというのは外食産業に死ねということ。それでも民間のさまざまな努力で残り物のリサイクルが進んでいる。

飼料もエネルギーも国内だけで賄うことは実際問題として不可能なので、カロリーベース自給率100%にはなり得ない。また輸入を減らして国産だけを食べるよう強制すれば自給率は飛躍的にアップするが、「食の安全保障」を無視するという点で、国策とはなり得ない。コメの凶作の時、アジアなどに緊急に輸入米を割り当ててもらったことを忘れたか。備蓄していればいいというものではない。コメの関税は、いずれは引き下げざるを得ないだろう。農作物の保護政策は関税引き上げという結果につながるが、コメはもっと戦略的商品として力を入れるべきである。故松岡農相の時からの方針である。

国によるコメの生産調整、価格調整は、いまや百害あって一利なしである。農地所有が目的化している趣味的な農家にはお引き取り願い、経営者として自覚を持つ農業従事者には国が一定額の年収を保証する施策もあり得る。小沢代表は農地法には手を付けずに「既存の中小零細農家」まで所得補償しようとしているが、財政逼迫させるだけで無駄なことである。無駄どころか、民主党では第一次産業の衰退を加速させる!しかし、所得補償を全否定するのではなく、前向きに発展産業としていくために、経営者として自覚のある農家には、EU方式で所得補償するやり方も検討に値する。

コメ減反見直し、夏にも結論=所得政策含め総合判断-石破農水相

 石破茂農水相は5日の閣議後会見で、米価下落防止のため実施してきたコメの生産調整(減反)政策について、見直しが必要との考えを改めて示した上で、早ければ2010年度予算の概算要求をまとめる今夏にも結論を出す意向を表明した。同相は「議論にタブーがあってはならない」と述べ、廃止論も排除しない構え。農家の所得政策や、コメの輸入を国が一元的に管理している現行の国家貿易の是非も含め総合的に判断する。
 減反見直しに関し、同相は「極めて重要な課題で、当省の中のみならず、いろんな場で検討されることがあり得る」と述べ、同省の審議会や首相を本部長とする「食料・農業・農村政策推進本部」などで協議する可能性を示した。(2009/01/05-13:03)

麻生政権がいつまで続くかわからないが、次期政権でも引き続き石破農水相を任命してほしい。民主党政権になるかもしれないけど…。今後期待できる省庁は、農水省、外務省、文科省も徐々に、というところかな。厚労省は一度解体したほうがよい。

減反政策は即刻止めるべきである。自給率アップが課題の時に、なんというもったいことをするのだろう。コメだけ見れば100%超えているが、消費量を増やし、同時に品質の良いコメを輸出産業として伸ばしていくような戦略的生産をしたほうがよい。

戦後60年以上たって、コメは統制物資ではなく商品として見直さなければならない。政治家や役人は頭を切り換える時ではないだろうか。その第一段階として、コメの流通規制の緩和を行った。汚染米事件の時、農水省の手抜き・お目こぼし監視体制を棚に上げて、「この事件は小泉-竹中の市場原理主義によって引き起こされた!」なんて言いがかりを付けているバカがいた。

やる気のある農家の悲鳴を聞いてほしい。
参照:フォーサイト1月号「佐久の『うまいコメ』が実証する減反無用
記事の要旨は、佐久地方で作る五郎兵衛米は最高ランク特A米で高くても売れる。収穫期には卸売業者が農家の軒先を訪ねて買い占めるほどの人気である。米作に活路を見出し、村として減反に参加しない方針を出したが、農協や合併相手の自治体が猛烈に反対し、減反離脱の撤回を余儀なくされた。なぜ反対したのか。農水省は減反目標を達成しない市町村に対して補助金の削減やその支給の優先順位を下げるなどのムチを振るってきたからである。

減反を迫られ、悲鳴を上げる農家の声
「農協の人はだいたい春先からお願いに回ってくる。もうこれ以上減らせないと言うと、土下座でもしそうな勢いで『生産調整(減反)は農家を守る制度。少しでも引き受けてもらえないか』とくる。でも値段が下がっているから簡単にウンとは言えない。そうすると『コメは余っているから減反しないと値段がもっと下がる』。それじゃ言うけど、何でも国の言うとおりにしながら一生懸命コメを作ってどうなった?値段が下がって赤字だよ。生産調整は農家の調整(リストラ)なんだ!」

40代の農家
「我々は、消費者から求められる良質なコメを苦労して作っている。努力して高く売れるコメを作っているんです。それなのになぜ、一律に4割も生産を減らさなければならないのか。減らせばすでに入った注文に応えられない」

農水省は既得権益にがんじがらめにされてきた。時代にそぐわない農地法を抜本的に改正することなく辻褄合わせの条例でしのいでいる。地方の出先機関のお仕事は、業者からの接待を受けて少しの不正はお目こぼしすることではなかったか。その結果が「汚染米」事件である。

若い官僚たちが内部から問題提起する時代になってきた。もちろん最初は上司や組織の壁によって阻まれる。国益を求める若手官僚の声をすくい上げるのは、本来の上司である大臣、そして大臣を守るのは内閣総理大臣なのである。「今まで言いたいことを言って疎んじられた改革派官僚人たちで構成」した石破農水相直下の改革チームはどこまで踏ん張ることができるだろうか。

進めるべき改革はストップさせてはならない。抵抗する族議員や霞ヶ関の厚い壁があろうとも。

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若手改革チームに所属した官僚が自殺してしまった。仕事で悩んでいたようだが、理由は不明。ご冥福をお祈りします。

◆日々是語草◆
食料自給率のまやかし」に続きます。(井本 省吾 編集委員)

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2008/09/20

太田農水相辞任。汚染米不正流通に見る農水省の癒着体質

総選挙意識、事実上の更迭=後手の農水相に激怒-福田首相

 汚染された事故米の不正転売問題が19日、太田誠一農水相の辞任に発展した。検査体制のずさんさに加え、情報公開の遅れで混乱を助長するなど農水省の対応は後手に回り、「消費者目線の改革」を掲げる福田康夫首相を激怒させた。早期の衆院解散・総選挙をもくろむ与党の戦略にも影響を与えかねず、「事実上の更迭」(首相周辺)となった。
 町村信孝官房長官は同日午前の記者会見で、農水相辞任について「食の不安をかき立てている。反省しているし、申し訳ない事態だ」と国民に陳謝した。
 事故米問題では、農水省が長年にわたり業者の不正を見逃していた上、不正転売の発覚後も同省の動きは鈍かった。加えて、太田氏は「人体に影響はない。あまりじたばた騒いでいない」と発言し、世論のひんしゅくを買った。また、同様に辞任した白須敏朗農水事務次官も「農水省に責任があるとは考えていない」と当事者意識に欠ける言動をし、火に油を注いだ。

消費者目線にこだわる福田首相の逆鱗に触れた、か。25日には総辞職するのに「なにをいまさら?」と意外な感はあったが、政府としては大臣と農水事務次官をまとめて更迭し、「農水省の不手際の責任を取った」形にして収束させたかったのかもしれない。
不正流通を行った三笠フーズを刑事告発して、悪いのは業者ということで幕引きを図ろうとした農水省だったが、そうは問屋が卸さない。

「お役人体質」の一つに「責任の所在が曖昧」ということがある。組織ぐるみの悪弊を隠蔽するのだ。太田農水相が真面目に大臣職を務めているのならば、再発防止策を示し、国民の前に「必ず改革する」と間髪入れずに約束するべきだった。“呪われた農水ポスト”は、新政権で立ち直ることができるのか。

汚染米を巡る官業癒着とはどういうものか。
週刊文春で、元飼料安全担当課長補佐・現在食品安全コンサルタントの鈴木寿夫氏が、癒着体質を証言している。

「人体に影響はない。だから、じたばた騒いでいない」と太田農水相は言ったが、カビ毒の危険性はメタミドホスの比ではないらしい。“地上最強の天然発ガン性物質”と言われ、「アフラトキシンは耐熱性で、250度以上で加熱しないと分解しません。農水省が言うように、米を洗浄したくらいでは、毒性がなくなるとは考えにくいのです」と。ブローカーが暗躍していた実態を見ると、今までどれくらい出回っていたのか想像するのも恐ろしい。すでに消費してしまったのだから、知らずに買わされた最終の流通先まですべて公表する必要が果たしてあったのか、疑問を感じる。

農水省も同罪」と鈴木氏が言うのは、立ち入り調査の杜撰さゆえである。「調査日程」を事前に業者に知らせることに始まり、ミートホープの偽装牛肉事件では、内部告発を受けても1年以上も放置していた。

「それもそのはず、農水省では関係業界の違法行為を取り締まり、摘発することは、マイナスにはなってもプラスに評価されることはないからです。つまり職員以上に問題なのが、農水省の体質なのです」

鈴木氏は現職時代、動物用医薬品の密売などを摘発していたが、課長が替わった時「摘発・取り締まりは農水省の仕事ではない。指導だけが仕事だ」とことあるごとに言われ、左遷された先でOBに言われたことは

「鈴木君、『君は仕事のやり過ぎだ』と言われました。別のOBも『お前は“悪い”ことをやり過ぎた』と。つまり、私が動物用医薬品・試料の違法流通を摘発してきたばかりに、関連団体に天下っている複数のOBを怒らせてしまったようなのです」

元財務官僚の髙橋洋一氏も元飼料安全担当課長補佐とまったく同じ体験をしている。仕事を「やり過ぎ」てOBに怒られる。そして飛ばされる。地方の出先機関は昼間は暇で、夜に業者の接待を受けることが大事な仕事だったという。報道番組の取材では、業者が「居酒屋の焼き鳥の評価」を出先機関の役人に頼んだ、役人は「美味しいと評価した」なんてしらじらしいインタビューがあった。汚染米の割り当て分をしっかり「金儲け」にしているのを役人が知らないわけがない。中国の腐敗官僚を笑えない。

私は単純に公務員叩きをしたいのではない。真面目な公務員が組織のしがらみという見えない糸に縛られて抜け出せない縦割り構造があり、省益中心の“組織の既得権”を切らねば、信頼に足る霞ヶ関に生まれ変わることはできないと言っているのだ。5人の総裁候補の中で、唯一そこに厳しく言及しているのは小池氏のみである。総裁選に浮かれている間にも、公務員改革の骨抜き作業が始まっている。

霞ヶ関の長年たまりにたまった組織の膿を出すことは、政治主導でしかなし得ない。根本治療のために最も緊急性のあることではないか。

総裁選5候補、青年局主催の公開討論会で持論を展開

9/16に行われた「公開討論会ライブ中継」動画を2時間近くかけて全部見た。

麻生さんの「道州制」構想を聞いて元気を出したかったんだけど・・・
小池氏が「地方分権」(三位一体改革の完成)として、やるべきことは

・人間、財源、権限の3「ゲン」を地方移譲します。
・消費税は地方に重点的に配分します。
・地方支分局の統廃合計画により地方移管を進め、加えて民営化や民間委託等により、約20万人の国家公務員を削減します。

と、具体的に挙げていることに対し、麻生氏は反論のような感じで「隣り合っている地域が仲が悪いということがある。それよりも地域経営で活性化する」(意訳)と方向付けていた。初めて構想を読んだ時、麻生さんは「地域経営」とはうまいことを言うなぁと感心していたのだけれど、小池氏と対比してみると、どのように聞いても財源・権限移譲には消極的に見えた。公務員削減も一度も言わない。安倍さんがここに切り込んでどんな目に遭わされたか知っているので、手を付けたくない気持ちはよくわかるのだが。

地方分権とは「地域の経営」なのだろうか。基本は行政サービスの充実、自治体としての自立である。金儲けするための経営ではなく、民間企業や民間人から税金をいただいて、よりよい行政サービスを提供するのが第一義的な目的なのである。税金に見合ったサービスを提供しなければならない。企業誘致や第三セクター構想を含め、民間活性化の道筋は、政官業癒着を断ち切った上で、規制緩和と同時に不正の監視強化が不可欠。癒着体質そのままに規制は強化、不正には目くらまし、このような現状で本当に地域が発展できるだろうか。

地方の自立を阻害しているのは、まさに時代遅れの中央集権なのである。地方分権と公務員改革がワンセットであるという理由はここにある。麻生氏と与謝野氏からはこの視点が欠落している。ポイントとなるこの部分をいつ言ってくれるか?と期待していたのだが、上手な言い回しで避けているのだということがわかってしまった。

でも、麻生政権は誕生する。増田総務相は留任させてほしい。与謝野さんは経済閣僚、そして中川昭一氏を官房長官に!それだけでも良しとする。何よりも麻生総理が小沢民主党を舌鋒鋭くこてんぱんにするところを見てみたいので。

「麻生内閣」に入閣せず=小池氏

ま、これは当然。対立路線なので。

「麻生人事」に関心=幹事長に町村氏らの名-自民

最大勢力の町村派は今回、森喜朗元首相らが派内の7割近くを麻生氏支持で固め、同氏優位の流れをつくった。同派が狙うのは幹事長ポストで、幹部は「うちが中核を占めない政権は安定しない」と強調。派内では町村信孝官房長官の名前が挙がっている。

町村派に配慮せざるを得ないだろうが、町村氏はやめておけ。イメージ悪い。福田首相を支えられなかったので町村さん自身も固辞するだろう。

中川秀直氏は、森氏から5年の謹慎を言い渡されているとかなんとか。。(笑)
清和会を出て、新グループを作れよ、と言いたいね。

組織的改ざん、断定できぬ=厚労相答弁「言葉が走りすぎ」-町村官房長官

 町村信孝官房長官は18日午後の記者会見で、厚生年金の算定基礎となる標準報酬月額が不正改ざんされたとみられる事例が6万9000件判明したことに関し「それが組織的犯罪であったかどうかは分からない」と述べ、現時点では社会保険庁が組織的に改ざんしたとは断定できないとの見解を明らかにした。その上で、同庁が組織的に行ったとの見方を示した舛添要一厚生労働相の答弁について「少し言葉が走り過ぎている」と述べ、適切ではないとの考えを示した。
 舛添氏は同日午前の参院厚生労働委員会で「組織的関与はあったと推理する。限りなく黒に近いだろう」と答弁していた。社会保険庁が組織的に改ざんしたかどうかに関し、担当閣僚と首相官邸との間で認識のずれが表面化した。(2008/09/18-19:37)

町村さんは“官僚の守護神”とか。この言い方が当たっているかどうかはともかく、少なくとも国民目線ではない。渡辺行革相の足を引っ張ったのは事実。この期に及んで社保庁の「組織ぐるみの改竄」を認めようとしないとは腐っているよ。国民は社保庁への憤りのみならず、不正を放置し続けた政府への不信が大きいのだ。このような政治家には、間違っても霞ヶ関改革はできない。

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次の関心は解散の時期。
5人揃っての外国人記者クラブで、麻生氏は10/26には否定的だった。緊急補正予算案を通してから解散というのは、もっともな判断とは思う。できれば、小沢党首とがっつり党首討論をしてからにしてほしい。が、民主党は「話し合い解散」を持ちかけたが、日程の折り合いがつかなかった。つまり民主党は独自の予算案にこだわっているということ。超特急で成立できないことを意味するので、ぐずぐずしているのは得策ではない。麻生総理が解散を引き延ばし、汚染米の不手際などで追及を受けると支持率に悪い影響が出るだろう。国民のためというなら、総選挙で審判を受けてから、腰を落ち着けて国会に臨んだほうがよいと思う。

山本一太氏の意見に納得。

10.26選挙を決行せよ!

先日、議員会館事務所にやって来た「有力なマスコミ人」が言った。 「一太さんは以前から臨時国会冒頭に解散すべきだと言ってますよね。選挙戦略としては分からないこともないけど、新しい内閣を作って支持率の上がったところで選挙を打つというのは、党利党略と言われませんかねえ。やはり、新しい総理として補正予算を含めた経済対策を打ってから信を問うというのが筋じゃないでしょうか?一歩間違えると、メディアも世論もガラッと厳しい方向に変わる危険性があると思いますけど、ね。」
 
 そこでこう反論した。 「それなら聞きますが、臨時国会で補正予算の審議を始めたとします。野党が予算以外の問題で政府を追求し、委員会審議が中断したらどうなりますか?その時、マスコミは『新しい内閣に補正予算も組ませないとは、野党は無責任だ!民主党は審議拒否をせず、予算の質疑に戻ってくるべきだ!』と言ってくれますか?国会が空転したら、『一刻も早く民意を問うべきだ』という大合唱になるんじゃないですか?!」

マスコミなんてそんなものよ。どこが公平なんだ?どこもかしこも「政権交代したほうがいい」とはっきり言うコメンテーターばっかりじゃないか。

小沢代表は政権交代に命をかけているそうだけど、民主党が過半数をとったら総理大臣になるの?心臓が悪くてお昼寝しなくちゃいけない人が?本会議に出ない党首が総理大臣ねぇ。9月中に岡田代表にかわっておいたほうがよかったんじゃないの。

「政権交代がゴール。あとは沈没します」と小沢民主党は自ら宣言しているようなものね。

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次は【緊急】小池金融政策マニフェスト。その次は公務員改革骨抜きの動き。そして麻生さん総裁選勝利のエントリー。文句は今のうちに書いておこう。忙しいわw

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2008/08/17

農政改革「新・農地法」の理念に立て

飼料用コメの生産拡大 穀物高で代替需要、愛知は2期作実験

 家畜に飼料として与えるトウモロコシなどの国際価格が高騰しているのを受けて、コメを飼料向けに栽培する動きが広がってきた。愛知県は今秋から、国内では現在ほとんど実施されていない2期作の実験を飼料向けに始める。山形県や新潟県は飼料米の作付けを急拡大させている。今後、飼料高に悩む畜産農家のコスト削減や主食用のコメの需給調整策として飼料米づくりが進みそうだ。

 愛知県の2期作実験は西三河農業協同組合(JA西三河、西尾市)に委託、25アールの田に飼料用品種「夢あおば」を植えた。このうち収穫後の5アール分で8月下旬から9月上旬にかけて再び田植えをする。残りは刈り取った後の株から出る芽に肥料を与え育てる。11月下旬に2度目の刈り入れをする。 (16:00)

飼料の国産化は必須課題である。この動きは全国的に広がっていくだろう。日本の農業にとって非常に有効である。

このニュースを見てまず思ったのは、役所・政府とメディアの互恵関係である。善いこともあるし、悪く作用することもある。官僚から情報をもらう記者は“族記者”と呼ばれるそうな。役所に批判的なことを書くと意地悪されるから、そのご意向に沿って取材を広げる。

このところ政府はコメブームに火を付けようとしていた。こめこ議連という米粉普及促進議連も作った。町村官房長官は「減反政策はイクナイ」と観測気球を飛ばしていたね。農水省は食料自給率を上げようと必死。故松岡農相以降、政策・法整備の抜本的見直しもされていた。それに呼応するように、メディアは飼料・肥料開発、そして農業経営の現場取材を行い、新しい取り組みなどを紹介している。その中で、私はコメは飼料にも転用拡大していくべきだと思っていた。政府の思惑にスムーズに乗せられたわけだ。もちろん輸出産品としてのブランド米増産にも力を入れる。その一歩が、松岡氏の実績となった中国への販路拡大だった。

将来性があるなと思ったのは“土”。ビルの屋上などで使われている軽くて滋養のある土。今後、都会のビルの中で、農薬が一切必要のない野菜がどんどん作られていくだろう。小泉政権時代でも小泉氏自身がアピールしていた。つまり「これから政府が後押しする有望産業はコレですよ」ということ。残念ながら小泉氏は大の野菜嫌いで、「美味しいですか?」と聞かれた時「うん。上にかけてあるのが・・・」それ、ドレッシングだよ(笑)

食料自給率は数字上のトリックにすぎないのだから、数字にとらわれる必要はない。(生産額ベースでは自給率70%)。輸入頼みの飼料を国内産に切り替えるだけで飛躍的に上がる仕組みである。強い農業を目指していけば、自然に上がるものなのだ。数字に拘るグローバル嫌いの人達は「自分達で食べる分は100%自分達で作る」と小さく小さくまとまろうとするが、なんで保守って内向きなのかなぁ。ああ保守だからか。外圧のかかる輸入自由化に反対するということは、自国の輸出にもブレーキをかけるということなのにね。自国だけで賄おうとすると、いざというときのリスク回避ができない。

農産物の輸入圧力は否応なくかかってくるし、自給率100%のコメだって、不作のコメ騒動以来、輸入割当分が義務づけられている。あの頃は私もタイ米を食べていた。おジャガも小麦もメリットのある農産物ではない。強い農業を立て直すには、得意分野で勝負するのがまず第一。地産地消の理念は、その地域だけでチマチマ作って地域で消費するということではない。ダイレクトな流通革命を起こすのだ。
各地の農協の質もさまざまで、金融でしか存在意義のない農協もあれば、農業振興に積極的に取り組んでいる農協もあるそうだ。

要は、保護されるべき「農家」から農業経営者の育成をどう国が後押しするかが最重要課題だと思う。

コメを飼料にするアイデアは、すでに養鶏場で行われている。もともと鶏はコメが大好き。コメを食べている鶏が産んだ卵は、黄身が白っぽくなっていた。あの黄色はモロコシの色だったのか・・・。へぇ~

以上、今までの粗筋を書いてみた。

日本農業に明るい展望を見いだす上で、参考になったのがVoiceに連載していた財部誠一氏の入魂の現場取材だった。ついに9月号で最終回を迎え、各論を項目別にまとめている。

その財部氏、TVを見ていたら、福田内閣改造を評して「民間から、たとえば寺島実郎氏を起用するなどして・・」と言っていて、私はひっくり返った。(笑) テレビ朝日は寺島氏が好きよね。私は嫌いよ。

それはそれとして、財部氏が丹念に取材から得たことを総括しているので、私なりにポイントを箇条書きで列挙させていただく。自分の言葉で補足している箇所もある。

「平成版・農地解放のとき」財部誠一氏

●転用期待に潜む農民エゴ

<実態>

・農地が減り続けている。1960年の農地面積607万㌶→2005年469万㌶
・農業人口280万人のうち三分の一は「自給的農家」(家庭菜園の延長でしかない)残りもその大半が兼業農家。
・農家の6割が年間売り上げ100万円以下。
・生産者の高齢化が急速に進行。
・水田の3割に対して減反政策が声高に叫ばれる現状。

現状の意味するところは、農業政策の破綻である。

<問題点は農地の淀み><農家=弱者という思い込み>

・気力のある若い生産者が耕地面積を拡大したくとも、農地の入手がきわめて困難。
・貸してくれと言っても頑として貸さない農家が山ほどいる。なぜか。良い農地は非農業用地としても価値がある。農家は補助金で整地・基盤整備した農地を高い値段で売りたがる。農地族の政治家はその要望を知っているので、整備事業にカネをばらまく。(農水省の補助金項目参照) 農家は一度貸せば返してもらえないことを心配して、貸すことをいやがる。
・“転用御殿”とは、国のインフラ整備で農地を高値で買い上げてくれるのを待って、御殿を建てること。農地には農地保護という名目で保有コストがかからず、自分の代で売る必要もないので、大金に化けるまで農地を手放さない。国の公共事業は農家をも潤すという構造になっている。

農業活性化の現実的なシナリオは、強い「経営意思」と「生産技術」をもった農業生産者に土地を集約することである。「経営意思」をもった生産者が3万人いれば、日本の農業はじゅうぶんにやっていける。経営意思はなくとも農業をやりたい人は、そこに就労者として職を得ていけばよい。

農地の所有と利用を分離すべし。

●農政の憲法「農地法」の破綻

<農地法・農地族が農業を破綻させた>

・農地にかける補助金を見てもわかるように、日本の農政は、農地利用しているかどうかにかかわらず所有者を保護してきた。保護してきた農地族とは、旧農林省農地局、その流れを汲む現農水省の構造改善局・農村振興局の役人達であり、農地流動化を阻んできた。(農地法の守護神かw)
・農地法の問題点とは、占領政策に遡る。

参照:sub52 第二章 占領政策の呪縛
日本は世界で唯一の社会主義で成功体験を持った国日本 勝股琢磨

★社会主義経済の例
 先ず最初にとった政策は、農地開放による自作農創設である。外地、軍隊から帰還した数百万人の大半は先ず農家に戻った。このときに進駐軍の指令で不在地主を追放して、その農地を小作人に分配したことである。この農家が生産した米を始め大半の食料品は、配給制が続けられていたのですべてが政府の意のままになった。
 社会主義国以外で農地の再配分したのは日本に限られていると思う。まさに私有財産制度の否認である。戦後の食料不足の最中であったから国民の大半からは大いに支持された。農林省は全国に農地事務所を置き、更に各市町村に農地委員会などを設けこの制度の維持を政策の中心においてきた。自由民主党も農家を選挙地盤としているから、農業保護を最大の政策課題としてきた。

私有財産制度の否定というより、農地解放をして自作農を作ることにより、再び地主制が復活することがないように「農地法」はその第一条で楔を打ち込んだ。「この法律は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて(略)」これによって農地の所有と利用が一体のものと定義づけられた。(耕作者主義) 小作農が自作農として自立していく手助けをするという意味では、歴史的な条文と言える。

・しかし、時代と共に農地法は「農業への新規参入を阻止する」道具立てに成り下がった。
・耕作者主義が厳格に適用されるなら耕作放棄地など生まれない。しかし、農地の所有だけは続けたい農家を政治が保護する現状は、明らかに農地法第一条に反しているではないか。
・農地族は参議院選挙でも独自の候補を擁立し、土壌改良だけでも農水省予算の四分の一を牛耳る剛腕ぶりである。

●貸した農地を返せ

<農地関連法制の問題点>

・農地関連法制は、長い間対症療法的対応を繰り返してきた。
・自民党の政策は「大規模経営」を目指す。農地法第一条とは反するが、法的対応は強引にやってしまう。それが農地法のバイパス法と呼ばれるように、「農地法」をいじることなしに農地利用を規制緩和する法整備である。→農業経営基盤強化促進法
・対症療法的に辻褄を合わせていったので、非常にわかりにくい。
・自民党は農地の集約化を強制的に促す政策を打ち出した。小規模な農家には補助金をカットするという、これまでの農業政策とは一線を画す厳しいものである。
・当然生産者からは猛反対が起こったが、将来を見据えた改革姿勢は評価する。しかし、集落営農には問題点が多く、個人で経営規模拡大を目指している人と集団農業は利害がぶつかってしまう。個別経営で規模拡大してきた人が集団営農側から「貸した農地を返せ」と言われる事態が起こってしまう。→民主党の戸別補償に農家がなびいて、政策は右往左往しつつある。

●「新・農地法」の斬新さ

<農政改革髙木委員会の最終報告>

・小泉政権時代に実現した「株式会社の農業参入」の立役者は髙木勇樹氏。髙木氏は農水省元次官。現農林漁業金融公庫総裁であり、The官僚のようでありながら髙木氏は異端である。異端ということは、元財務官僚の髙橋洋一氏のように霞ヶ関からは評判が悪いということ。(小泉時代には、改革派の官僚がブレーンとして集結していた幸運な時代だったのだなと改めて思う)
・髙木氏は、農地族が死守する農地法とはまったく理念の違う「新・農地法」を目指す。
「新・農地法」は、従来の所有と利用の一体化を担保する農地法から「農地を経営資源として利用する」ことに軸を置いた「農地の所有と利用を完全に分離する」仕組みを提案している。その上で、競争力のある農業経営を総合的に支援していく法律の立法を志している。
・そのためには早急に農地情報のデータベース化が必要。
・農地利用がしっかり監視されれば、経営形態は問わないと髙木氏は考える。(集団営農の問題点の解決)→あとは通常の土地取引を参考に農地流動化のための合理的な仕組みを構築することは難しくない。
・転用期待にばかり走る農家に対しては、保有コストを引き上げるべき。(民主党のように農家に媚びず、農家が反対するからこそ日本農業の未来があると覚悟を決めて、自民党は農政改革を断行すべし

<農協はどうするのか>

・クオリティの高い生産者は脱農協を志向している。
・現在、志を同じくする農家が加盟する民間版農協が登場してきている。→生産者の顔が見える農産物
豊作・凶作で価格変動の波を受けるハンデはどうするか。流通調整機能は、野菜の冷凍工場を造り、旬の時期に大量生産した作物を長期間出荷し続けることによって価格変動抑制に対応できる。そうした取り組みをしている千葉県の和郷園は、地元農家が90ほど集まって民間の協同組合を作っている。自前で販路も開拓している。加盟農家では売り上げが年間3000万円を超える農家も珍しくない。和郷園全体の売り上げは33億円である。

リーダーの木内氏に財部氏が尋ねた。
「和郷園と農協とどこが違うのか」
即答だった。
「農協は生産者しか見ない。われわれは消費者を見る」

財部氏のレポートによると、和郷園のような組織作りが各地で芽生えているという。私はとても希望を感じる。日本の農業は、若い経営者が主体となって発展していくはずだ。

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きょうは手抜きしなかったー。

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2008/08/02

戦後レジーム維持内閣。日本の生産額ベースの食料自給率は約70%

<内閣改造>

夏ばてで寝こけているうちに、あらら!?
内閣改造の前に「福田さん、改造はやめておけ」と書いておこうと思っていたのに。私が何を書こうと毛ほどの影響はないが、「言うだけは言った」という自己満足で。

さて、夏の寝苦しい夜にピッタリの内閣が出来上がった。

守旧派の ゾンビ内閣 夏の怪

「構造改革を引き継ぐ福田首相」をどんな時も擁護し、ブログで苦しいフォローしていた中川秀直氏の心境いかに?とブログを覗いたら・・・

私は「改革の旗」を鮮明に掲げるべきだと思うのだが。(8月1日記)

。・°°・(;>_<;)・°°・。

内閣の顔ぶれがはっきりする前に書いたんだろうね。まさか抵抗勢力になるわけにはいかないだろうが、福田政権にはそろそろ見切り付けたほうがいいよ。

私は経済閣僚の人選を見て、shock ←こんな顔

いやいや、小泉流に党の政調会長に改革派を置いて、党主導で改革を、、と一縷の希望をつないだが、政調会長:保利(かつての郵政造反組)

これは・・・

秋に増税法案を通すための強力布陣の内閣ではないか。制度設計の議論すら封じて、国の財布を握る財務省の省益確保のために「財源が足りない」と臆面もなく主張する増税派は、行政の無駄遣いには甘~い政治を続けるつもりだ。消費税upは社会保障の制度設計によっては必要である。公共事業削減も限界に近付いている。しかし、それには議論の手順があるはずだ。増税ありきでは、またまたどこかに消えて「やっぱり足りませんでした。今度こそ社会保障に・・」と再増税になるに決まっている。日本人はどこまでいってもお人好し。

幹事長を押しつけられた麻生氏が一番気の毒に思えた。自民党が下野してしまったら、総理大臣どころではなくなる。苦しい選択だったと思う。人気取りのために麻生を取り込み、国民的支持のあった舛添・渡辺は留任。(厚労相は副総理格との事前打ち合わせ) 厚労相は誰がやっても現状打破は難しいし、公務員制度改革法案はすでに通って、事務局も一応改革派を人事した。特別会計改革はどんなふうにも骨抜きできる。行革の峠を越えたとして、渡辺氏を御すのはたやすい。

・・・改めて閣僚名簿を眺めていたら、渡辺留任ではなかった!舛添&渡辺留任と報道されたと思っていたが、勘違いだった。

【金融・行革・公務員制度改革担当】茂木敏充

茂木氏は経済政策通で、日本経済の体質強化を目指しているようなので適材かと思う。福田首相は、公務員制度改革と道路財源の一般財源化には意欲を示して妥協しなかったからね。ここだけはまあまあ期待できるかも。道路財源の一般財源化に抵抗していた国交省に財務省寄りの谷垣さんをもってきたあたり、国交省にはいや~な人事だろう。

消費者行政担当が野田聖子。消費者庁は趣旨は立派だが、内容を聞くと二重行政そのものだ。「The 自民党」の野田聖子にはふさわしい役所(やくしょ と やくどころ をかけて)には違いない。

改造は「福田首相の手で解散総選挙をするため」と言われていたが、早い話が改造も解散も公明党のご意向ということ。寄生虫がすっかり栄養補給されて、閣僚ポストは望むがまま。宿主が死んだら乗り換えるだけ。

こんなニュースが・・・
案外、福田首相の本音は「わざわざ大変な思いをしてまで負け戦はしたくない」だったりして。あっさりと内閣総退陣しても驚かない。

総選挙「麻生氏にお願い」 有力議員に首相漏らす

 福田康夫首相が自らは衆院解散・総選挙に踏み切らず、次期衆院選を前に退陣する意向を自民党有力議員に漏らしたことが1日、複数の関係者の話で分かった。総選挙に関し「(党幹事長に就任した)麻生太郎氏にお願いしたい」として事実上の政権禅譲を示唆したとされ、発言の真意をめぐり波紋が広がりそうだ。

 関係者らによると、福田首相は都内で自民党有力議員と会談。内閣改造後の政権運営について自ら衆院解散に踏み切るかを問われ、「やらない。麻生さんにお願いします」と答えたという。

 首相の発言は、改造後の政策実績を掲げて衆院選に臨んでも与党の過半数維持は困難との厳しい認識を示した形だが、本心なら政権の求心力低下に直結しかねず、党内には「麻生氏を党執行部に引き込むための意図的な発言ではないか」との見方も出ている。

=2008/08/02付 西日本新聞朝刊=

禅譲といっても、麻生さんの表情を見る限り、そんな良い話はなかったように思う。シブシブ受けた感がありあり。麻生さんに後で本心を明かしてサプライズさせてやろう、なんて手の込んだことはしないでしょ。

福田首相は本当のところ、何をやりたいのだろう。福田カラーとは「最後は人任せ」。閣僚はとりあえずベテランを揃えておけば安心・安全ということ?いずれにしても、官僚体制からの脱却だの地方分権だの、戦後レジームを牽引してきた張本人の自民党が既得権益に手を突っ込む改革など端から出来っこなかったのだ。

構造改革を推進する議員達は酸欠状態にされた。

民主党の若手議員は政策オタクが多いので、政策によっては評価できるところも多い。行革は民主党の悲願である。自民党が外国人(在日韓国人)地方参政権を是認したり領土問題に本腰を入れなければ、自民党を支持する必要はない。もともと私は無党派なので、小泉以前は小汚い自民党は避けて投票してきたものだ。

小泉政権以来、いまだに自民党vs.民主党の対立軸でしか見ていない自民党信者の人達は、今回の内閣を「重厚ベテラン・政策重視・堅実政権」とか言うのかなあ。小泉政権の何を支持していたのかなあ。私は自民党を擁護するのに疲れた。このまま大きな政府をさらに肥大化させる方向に行くならば、経済改革は捨てて、私はためらわず平沼新党を応援する。平沼氏や橋本前知事は、総選挙前に新党設立を企図している。いまこそ新しい右派or改革の対立軸を!

今のままでは、竹島・尖閣諸島を「わが国の領土」と言える閣僚は一人もいない。中国・韓国・創価学会に首根っこを押さえられている自民党は、一度国民から見放されないと目を覚まさないと思う。

米国の地名委員会が竹島を再び「韓国領土」と記した。米国政府の見解とは違うから、地名委員会は無視して大丈夫と官房長官は言っていたが、本当にそうだろうか。一度も反論したことのない日本政府は、いずれ「韓国領土であることに反論しない」が非公式の見解とみなされ、実効支配が領土問題に効力を持つと認識されていくのではないか。喜ぶのは中国だね。尖閣諸島に不法上陸した活動家を命がけで逮捕しても、福田官房長官(当時)は、お咎めなしで帰国させてくれるのだから。

官僚の手の平の上で踊ることが政治屋の職分と心得る自民党議員達は、“平和主義”の名の下に中国・朝鮮利権に今後も邁進していくことだろう。

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<農業政策>

・WTO交渉は決裂した。

米国が新興国のわがままを突っぱねてくれて、日本も助かった。
世界も「弱者救済」の流れで、「先進国は後進国を保護するべきだ」という弱者からの声が大きくなっている。農産物の関税撤廃・自由化の方向は大筋の合意となっているが、自国の農業を疲弊させてまで後進国を保護してやる必要はない。日本も米国の交渉力を見習ったらどうか。しかし、競争に耐えうる農業政策も同時に進めていくことも重要である。今までの農業政策の失敗は失敗として認めなければならない。

政府の過干渉を排して、改革は民間主導で進めていくべきだ。

地方分権改革推進委員会委員長:丹羽宇一郎氏からの提言
(週刊文春)「日本再生は中小企業と農業から」

1,現在の問題点は、中央集権という明治以来の日本の行財政システムが限界を迎えていること。
2,日本の政治は対症療法的な政策に忙殺されてきた。
3,二重行政の無駄をなくすことには、霞ヶ関の官僚たちが猛反発している。
4,これからは大企業が関連する中小企業をバックアップすべき。
5,喫緊の課題は農業政策。

日本では、これまで農業に多くのお金が使われてきた。ただしそれは「コメをつくらなかったら、補償金をあげる」という、額に汗して働く美徳を冒涜するような使い方でした。その結果、日本の農業はぬるま湯のなかで国際競争力を失い、農地の放棄が大変な勢いで進んでいる。
本来なら日本の農作物を世界に通用するものにするための技術に投資すべきでした。

研究費が足りない中で、民間は思いもかけぬ発想で農業の発展に寄与してきた。必要なのは、適切な補助金と「余計な干渉はするな」ということ。今後は、都会のビルの中で農薬も必要ない美味しい野菜が供給されていくのかもしれない。

・食料自給率について

農水省は、カロリーベースで日本の食料自給率は39%と試算している。
ところが、生産額ベースの自給率は68%だということは決して語られない。

参照:Voice8「食料自給率は上げるべきか」池田信夫氏・竹村公太郎氏

(要点) たとえば豚の53%は国内で飼育されているが、農水省の定義によれば「国産豚」は5%のみとなる。そのからくりは、(農水省HP)「牛肉、豚肉などには、それぞれの飼料自給率がかけられて計算されます」ということ。つまりカロリーベースの自給率とは「穀物自給率」なのである。肥料や穀物飼料を輸入に頼っていれば「国産」比率が低くなるのは当たり前。しかも豚は穀物だけで育つわけではなく、飼育にかかるエネルギーはほとんど石油であり、石油を輸入に頼っている日本が穀物だけ自給しても豚は飼育できない。このように農水省のカロリーベース計算方式はナンセンスなのである。

牛の糞を有効利用できていない現状などからすれば、国内で肥料や穀物飼料を調達できるようになれば、農水省のカロリーベース試算は飛躍的に上がるということだ。

自給率だけを見て危機感を煽る手法は間違っている。私は農家の保護と農業の競争力強化は決して矛盾しないと思う。カネの使い方が間違っていたのである。徐々に体力を付けながら、自由化に備えていけばよいと思う。

「日本の生産額ベースの食料自給率は約70%」
決して悲観する数字ではない。

まずは政府の無策を質し、役所の世論誘導に乗せられない批判力を持つことが必要だと思う。

今回の内閣改造で「構造改革を応援する」気力は萎えてしまったが、今後も良い所は良い所で評価しながら、是々非々で考えていきたい。ただ年内あるいは1月に総選挙だとすると、福田政権が勝てる要素はさらに遠のいたと思う。新任の大臣が役所からレクチャーを受けているうちに任期が終わってしまうね。

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三位一体改革のはじめの段階で頓挫してしまったせいで、「地方の格差」はすべて小泉改革のせいにされてしまった。「改革からの転換」を誰よりも願ったのは自民党の守旧派である。構造改革を進めるには、小泉さんほどのリーダーシップがなければあっという間に元の自民党に戻ってしまうことを痛感した。

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2008/05/18

「消費者のための農業改革」ではなく「日本を救う農業」へ

生産者寄りの政治から消費者のための政治をスローガンとして打ち出した福田首相だが、他の難題に紛れて認知されていないようだ。農業改革も「消費者のため」と言っているが、もっと大胆に「日本を救う農業へ」「新・農業立国」とでも打ち出してもらいたい。福田首相が何かしゃべっても、ぜんぜん印象に残らない^_^;

企業参入促進へ「農地改革」で自給率向上 諮問会議
2008.5.14 20:24

 福田康夫首相は14日の経済財政諮問会議で、農業生産法人の設立要件を緩和することなどを柱とする「消費者のための農業改革」のプランを、秋にもまとめるよう若林正俊農水相に指示した。39%まで落ちた食料自給率の向上が狙い。

 「平成の農地改革」と位置づけて民間企業の農業参入を促し、経営の自由度を与えて農業経営の効率化を目指す。安くて安全な食材を消費者に提供し、海外産品との競争力をつけることで需要と生産を増やし、自給率向上につなげる。

 農地を取得するには農業生産法人になる必要があるが、売上高に占める農業収入の割合や農業従事者の比率などの要件を満たす必要がある。企業が多角経営で新規参入するには壁があり、農業進出した食品会社や建設会社の多くは、農地を借りて参入法人として農業経営しているケースがほとんど。

 会議に提出された民間議員提案は、農業生産法人の設立の要件に関し、農業に常時たずさわらなければいけない役員の人数を過半数から1人以上にすることや、売上高の半分以上を農業収入が占めるという規制の撤廃などを求めた。企業型農業経営の広がりによって、雇用という形での農業の担い手の拡大にもつながるとした。

 これに対し、福田首相は「新しい農業構造をつくるチャンス。農政が変わったという政策が必要だ」と述べた。今後、企業が取得した農地が確実に農業利用される仕組みなどを含め、農水省が具体策の調整に入る。現在、農業生産法人は9466、参入法人は281。

農業改革プランを農水省にまとめさせるって、心配だなあ。役所に任せれば、産業として農業を育成するのではなく「小さな農家保護」の“理念”から抜け出せない。政策プロセスを官が独占してきた弊害は改めて書くつもりだけど、改革の必要性はあらゆるところに連動してくる。

諮問会議の提案をどこまで実現できるか。

「消費者のため」と言うなら、コメの需給調整せずに価格を市場に任せる制度に変えてくれるなら画期的だ。あり得ないだろうか。農家に一定額の年収を補償するためのリスク管理は、今までは生産を減らして価格を上げる方式だった。逆転の発想で、減反した田畑も復活させ、どんどん作って市場を海外に広げていこう。需要を増やせば補償は必要ない。市場拡大のための「輸出に強いブランド化」である。

過剰な農地保護のため、規制が強くて流動性がなかったので、農地活用のための要件緩和は良いことだ。資産の流動性ということでは、駅前シャッター通り問題にも通ずるものがある。贈与税が高くて所有権移転できず、仕方なく放置したまま有効活用できないケースが多い。どんな分野でも、衰退していく時は新陳代謝が止まる時なのである。よどみ始めたら、人為的に流れを起こさせるような施策をとらなければいけない。政府はいつも手を打つのが遅い。

報告書「企業型農業経営の広がりによって、雇用という形での農業の担い手の拡大にもつながるとした。」 ようやくここまで来たかと感慨深い。

具体的に見ていこう。

・補助金

農水省の補助金の使われ方を見ると、整備事業ばっかりだ。出先機関も同じ。
一方地方行政では、担い手集団育成事業といった細目も出てくる。地方の特色に合わせて、特産品作りや一村一品運動などで、きめ細かく生きた補助金を投入することが可能である。どこの省でも同じ弊害を抱えているが、農水省の出先機関を減らし、地方への予算配分を増やすべきである。

・小沢代表提案の「農家の戸別補償」について(2006年11月に書いたものをもう一度)

オザワイズムより
そこで僕が提唱しているのは「不足払い」という方法だ。(中略)これならば、市場価格そのものを操作しないから、消費者には安い農産物を選択する機会も保証される。(中略)もし市場価格が大幅に下落して、生産コストを下回るようなことになった場合、その不足分を国が補填してくれるわけだから、農家の人たちは安心して生産に励むことができる。

EU方式の亜流で、言いたいことはわかるが落とし穴がある。零細農家、兼業農家、趣味的にやっている農家、どこまで補償するのか。一定収入を国が補償するので、豊作時にも価格下落が起こらず、余剰分は輸出圧力になってしまう。米国では「不足払い」をやっているので、輸出圧力が日本にも過剰な負担としてかかってくるわけだ。生産高による価格変動は、ある程度市場に任せたほうが良い。補助はほどほどに。

世界貿易機関(WTO)のルールでは、この補償制度は「将来縮減あるいは廃止される補助金」として位置付けられ「黄色の補助金」と呼ばれているとのこと。

JA幹部も、小沢提案について否定的である。

・「小沢案は非現実的。不足払いを導入しても、国際的には、将来確実に大幅な補助金の削減を求められることがはっきりしている。不安定な政策だ」
・「そもそも小規模で零細な兼業農家を温存するという発想自体が間違っている。このままでは農業分野の構造改革ができないというのが、我々の認識だ。補助金に頼った零細農家が高齢化したら後継となる担い手がいない」
・「構造改革につながらず、食糧の安定供給もできない」

そのとおり。

食糧自給率はどうしたら上がるのか。

すでに海外に農地を確保済み。コメの減反政策をやめて、価格統制をストップする。大きな余剰分は輸出に回す。また食糧安全保障は、国内だけの生産量を上げれば済むものではない。今後は関税の自由化を迫られてくるので、輸出・入は戦略的に行うことが必要になる。掲示板でのご意見にもあるように、食糧の供給はエネルギー戦略ともリンクしているのである。まずは地道に国際競争力をつけると同時に、日本は「コメ」を戦略物資と位置付けよう。

現在、アジアでは穀物不足でコメが暴騰している。ベトナムも輸出量を減らしたし、インド、エジプトも輸出を禁止した。そこでタイに注文が殺到しているという。日本米は高い関税をかけているが、おいしく安全という付加価値をつけて高値で大量に取引できるチャンスなのだ。福田首相と胡錦濤主席の合意では、反中感情が先だって感情的にバッシングされているが、中国へのコメ輸出解禁となったことは大きな国益である。

アジアのコメ不足解消のために日本が緊急的に備蓄米を輸出することは、アメリカも支持している。なぜアメリカの支持が要るのかというと、「ウルグアイ・ラウンド合意で米国からのコメ輸入が義務付けられている上、再輸出するには米政府の承認が必要」となっているので。

EU、減反政策撤廃へ・食糧高騰に対応

 【ブリュッセル=下田敏】世界的な食糧価格の高騰を受け、欧州連合(EU)の欧州委員会は小麦や大麦などの減反政策を完全に撤廃する方針を固めた。穀物類の輸入関税を一律でゼロに据え置く措置も2009年まで延長する。国際的な需要拡大で食糧価格が長期的に高止まると判断。EU域内での供給量の確保に動くとともに、主要国首脳会議(洞爺湖サミット)で生産国に輸出規制の是正を求める。EUの対応は日本など世界各国の農業政策にも影響を与えそうだ。

 欧州委は20日に示すEU農業政策の改革案で、小麦などの生産調整の撤廃を提案する。加盟国や欧州議会の承認を得て、08年中に法整備を進める考えだ。(07:02)

EUは一足先に減反政策完全撤廃。日本もいつまでもお役所仕事(遅い)していないで、動きを早くして。

今まで需給調整しながら過剰に保護してきたコメが、こうして国際競争力をつけつつある。

自給率100%にするなんて無責任なことを言い、自国だけで生き残ろうというような社会主義的発想は、決して今後の日本のためにはならない。

日本はもっと増産できる。農地の流動性確保、企業参入、生産規模の拡大によって生産コストは低下し、雇用も進む。一農家一後継者の時代ではない。アジアの穀物生産量が落ちているので、コメの輸出大国になるチャンスを逃す手はない。

政府(霞ヶ関)・JAが邪魔をして、可能性の芽を摘むことがないようにしてもらいたい。

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あとは日本の「交渉力」を鍛えることが課題かな。

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2008/05/17

安倍前首相の農政改革に大反発したJA

イオン、PB米2.5倍に・農業法人に生産を委託

 イオンはプライベートブランド(PB=自主企画)商品としてスーパーなどで販売しているコメの量を2010年産で2万5000トンと、08年産の2.5倍に増やす。市販のコメより2割程度安くなるため、消費者の需要があると判断した。従来の農協(JA)との契約に加え、農業法人とも委託生産契約を結び、安定的に販売できる量を確保する。

 販売を増やすのはPBの「トップバリュグリーンアイ特別栽培米」。これまではJAを通じて商品を仕入れしていたが、新たに秋田県の農事組合法人に約1000トンの生産を委託。農薬や化学肥料を抑えたコメとして販売する。価格は同等の品質のコメより2割程度安い5キロ1980円を予定している。

 今後も農協や農業法人との契約を増やし、取扱量を増やす計画だ。 (14日 23:42)

この試みは流通革命と言える。

このまま日本の国土のみで小さな農家を保護しながら中国依存を続けるより、朝鮮日報の記事にあったとおり、自給率upのためには産業として攻めの農業に発想の転換をする時に来ているのではないか。

農業法人とも委託生産契約を結び、安定的に販売できる量を確保する。

怖れていたことが起こってきた。何が怖いかって?JA離れに伴うモーーレツな反対運動が起こり、郵政民営化の時と同様の「自民党の農政改革は売国」の言葉がネットに踊るのだろうな、と。その反対運動は、後継者不足の問題も顧みず、かつ兼業農家であってもかまわずすべてを保護せよという動き。政府が農政改革に本気を出せば、農協族と農水省が保守系議員を巻き込んで、「売国」議論が巻き起こるだろう。

アンチ改革、アンチ市場原理、アンチグローバリズムは、郵政民営化法案で米国の年次改革要望書をやり玉に上げた。そして反米サヨクの“陰謀論”まがいの主張を始めた。主張する愛国者達はもちろん陰謀論とは思っちゃいないだろうが、結果として大きな可能性の芽を摘んでいることに気づかない。経済・金融となると、どうして反米サヨクも愛国ウヨクも手を組んでしまうのだろう。「大きな政府(日本のリベラル&保守・米国のリベラル)VS小さな政府(日本の改革派・米国保守)」の対立軸なのか。永遠に平行線なのね・・・。

その議論の突破口になる政策がこれ。

2008/05/14-21:29 「企業型農業経営」推進を=民間議員が9項目改革案-農水相と理念対立・諮問会議

 14日の経済財政諮問会議で、御手洗冨士夫日本経団連会長ら民間議員は、農業の体質強化を図る「企業型農業経営」の推進や経営規模の拡大を後押しする「平成の農地改革」を柱とした9項目の農業改革案を提示した。福田康夫首相は席上、「農政が変わったと誰もが認めるような政策を待ったなしで進めていくことが必要」と述べ、9項目を「突破口」として今秋までに改革案を取りまとめるよう若林正俊農水相に指示した。
 若林農水相は会議で、民間議員の改革案について「基本的認識にずれはない」としながらも、「農業の中心的担い手は家族ではないか。企業マインドを持った家族の育成が必要」と指摘。また、規模拡大の必要性を認めつつ「法人化を進めても規模が拡大するとは言えない」と述べ、民間議員とは改革の理念が異なることが浮き彫りになった。

「企業型農業経営」は、今まで私が細切れで書いてきた農政改革の方向性と一致している。
しかし、早くも農水相と“理念対立”している。地方分権にしても、しっかり理念を立てなければ、既得権益を保護したい側からどうにでも骨抜きにされてしまう。だから政策を国民に提示する時は、理念が先だと言っている。国民にビジョンを示すことができれば、具体策はそのあとについてくるのだ。国民が「あるべき姿」の想像力も働かないうちに、いきなり権益剥奪行為をすれば、役所やメディアは「政府は国民にこんなに苦しみを与える」とネガキャンを始めてしまう。
だから、理念が先。もっと国民に説明しろと言っている。しかし、福田政権はホントにヘタクソで私は悲しい。【ノ_;】支持率落ちて当然だよ

思い出すのは、郵政民営化法案が上がった時に出てきたのが労働組合側からの「米国に日本を売り渡す民営化」の主張だった。
安倍政権では、農政改革は一つの目玉だった。故松岡農相は「大規模農家支援」「日本産品のブランド化」「輸出の増強」を打ち出していた。たいした問題でもない政治資金規正法でめちゃくちゃ攻撃されたのは、安倍氏の改革をよく思わない勢力がいたからである。その蟻の一穴の一つの穴が松岡農相だったわけだ。

農政改革で抵抗するのはどこか。郵政民営化法案の時のフラッシュバックが起きてクラクラしてしまう。
6月には経済財政諮問会議で骨太の方針が決まる。福田政権はそのまま一応改革路線を継承しているので、相当強い抵抗が起きるはずである。

農家はJA(全国農業協同組合中央会)にコメの販売委託をし、価格リスクを避けている。価格のコントロールをする政府の下部機関とか言われているのはそのためで、農協族の政治家がパイプとなっている。JAと農水省の密接な関係から、郵政民営化の次はJAの民営化か?と言われたものだ。食糧難で管理・統制が必要だった時代には農協は有効だったが、行政との癒着が弊害として残り、この食糧統制体制も脱却したほうがよい戦後レジームと言えると思う。しかし、ここに手を入れるのは、官邸主導の小泉政権ほどの支持率がないと不可能だろう。

さて、農文協とは「農山漁村文化協会」のことで、出版社だそうな。

農文協の主張
「EPAの加速、農業改革の強化」を国民的・世界的に批判する

安倍政権の時の経済財政諮問会議報告書より
 「これまでのEPAは農業への影響が比較的小さいものにとどまっていたが、今後は、日豪EPA交渉をはじめ本格的な交渉が必要になる。グローバル化を恐れる農業ではなく、グローバル化を梃子として強い農業を目指すことが、我が国の農業経営者にとっても、消費者にとっても重要である

そのとおりではないか。

ボゴール目標って知ってる?否が応でも貿易と投資は自由化に向かっている。94年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)のボゴール宣言において、2010年を目標として自由化を目指すとしている。フィリピン、インドネシア、マレイシア、タイ、シンガポール、ブルネイ、べトナム、米国、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、オーストラリア、ニュー・ジーランド、パプア・ニューギニア、日本、韓国、中国、中国香港、チャイニーズ・タイペイ、ロシアの首脳がすでに署名しちゃったの。反対しても無駄。残念でした。
目標年の2010年は、日本がホスト国になる。

EPAは農業保護の観点から各国ともリスクが大きく反発がある。今後の交渉は大変だ。
東アジアEPAは日本が提唱したものであって、アジアを一つの経済圏として相互発展していこうという理念をもっている。

そこで報告書は
今後、世界各地でFTA/EPAのネットワークが急速に形成されると見込まれるなかで、我が国が取り残された場合、国際的に不利な立場に陥ることについて直視すべきである」と、マイナスをプラスに変えて、より積極的な農業政策を採るべしと方向付けているわけである。

「農文協の主張」は、これを輸出産業に不利益を出さないための財界の焦りでしかないと言う。ではボゴール目標を無視するのか。EPA交渉を日本は拒否するのか。誰が総理になってもそれは取り消せない。ならば、今のうちに強い農業に作りかえていくのが最良の道ではないか。また今改革に成功すれば、EPAを逆手にとって日本を有利に導くことが可能である。

農産物の関税を撤廃したら、安い海外の農産品が大量に輸入されるので、農家は大打撃を受けるのは確かである。では、関税を掛けなくとも競争力のある農作物に切り替えたらどうか。そのために国が補助を出せばよい。日本の農家は兼業農家がほとんどなので、そこは補助金を打ち切る。専業農家は地域でまとまって規模を大きくし、効率的な地産地消を進めるために農協から自立する。独自の生産拠点と流通ルートの開拓、価格設定の自由化をする。それには農協がいちばんのネックだったりする・・・。

農文協の主張

 報告書の路線は、格差社会を固定化し、国民の食文化を育み享受する権利を根本から破壊する。農家だけの問題ではない。

競争力を高めることが格差社会の固定だという。売り上げの少ない農家を保護して、消費者には高い米を食べさせ、農業全体が地盤沈下を起こしてみんな潰れる。はい、格差解消、おめでとう。

「農業改革の強化」の必要性を浮き彫りにするには、国内農業のダメさかげんを強調するのが得策だと考えたのであろう。報告書は次のように述べる。

 「耕作放棄地の増大、農業従事者の急速な高齢化が進展し、農業総産出額が長期にわたり低落するなど我が国農業は負のスパイラルから抜け出せず、我が国農業・農村は危機的状況にあると認識すべきである」

 なぜそうなったかの分析もない。というか、構造改革を進めず旧態依然とした農業をしているから、といいたいのだろう。日本農業を暗く描き、危機感を煽って「国民的コンセンサス」を得ようとする。高齢化しても元気に農業を続ける農家や、地産地商など「小さい農家」の元気を徹底的に無視するのが、この報告書の特徴である。

残念ながら、報告書の分析は正しい。負のスパイラルから抜け出せないのは、今までの農政の失敗でもある。JAを代弁する農文協は、国内の農家の危機的状況を認識できないのだろうか。
日本農業は暗くない。カロリーベースの自給率議論も「零細農家保護」ありきなのである。JAが「小さい農家」保護のための組織なのだから報告書を叩くのは当然と言えよう。

地産地消(商)とは大きい小さい関係なく、生産・管理・流通・マーケット調査・市場開拓の一連の戦略の中で一貫した政策を採る必要がある。生産者に政府が介入していたのだから、農家には経営者としてのスキルが決定的に欠けていた。国際競争力を強くしていけば、やる気があるなら小さい農家の生き残る道も見えてくる。JA頼みから脱却できなければ、大も小もジリ貧である。

 こうした農家は、もともと「農業収入」をあてにしていないのだから、国がめんどうをみることはないだろう、という一見「国民うけ」しやすい理屈だが、今回の報告書はこれらの農家を施策の対象からはずすだけでは満足しない。土地を手離してもらわなくてはならないのである。

 かくして、報告書は「農地法」の改定を射程においた農地の流動化のための妙案を提案する。

あーもお!読むのがばかばかしくなってきた。
先祖代々の所有物」を守れって、JAは鬼だ。小さな農地を所有する高齢者が農地を手放して現金化したくても、今の農地法でがんじがらめにされてままならず、遊休地がどれだけ放置されているのか、知らないとは言わせない。農地法がネックになっているのだ。報告書はその手だても提案している。手放したくない農家は手放さなくて良い。当たり前のことだ。

こうして郵政民営化の時と同じように、右からも左からも構造改革は総攻撃されるのである。

むなしいよ、ほんと。

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追伸:東宮問題では、たくさんクリックしていただいてありがとうございました。関心のある人が多いのね。

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