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2009/01/11

甘利行革相は、官僚改革を官僚の手に委ねている。まな板の鯉に包丁を握らせているようなものだ(屋山太郎氏)

公務員制度改革がなぜ必要なのか。

単純に「無駄遣い」の感覚で公務員の給与を下げろとか天下りをなくせと言っているわけではない。屋山太郎氏や渡辺喜美氏が常々「官僚内閣制から政治主導に」と主張しているのは、すでに明治以来の官僚システムの弊害が看過できなくなっているからである。

総理大臣や閣僚が文字通り使い捨てのごとくコロコロ変わる議院内閣制において、真の実権を握っているのは霞ヶ関なのである。何度も言っているように官僚たち一人ひとりは優秀かつ真面目でいい人ばかりである。中に入って付き合ってみると、世間の荒波にすれていない感じの、頭の良い“好い人”達ばかりだった。

政治家がだらしない・・・と言ってしまえばそれまでなのだが、本来は選良達が日本の針路の舵取りを任されているはずである。しかし、国家統制が効果的だった時代からの官僚体制は、政策プロセスを独占してきたため、民間のシンクタンクが育成されるはずもなかった。行政権をもって「お上」が民間への介入をし続けた結果、政官業癒着の美味しい利権システムが構築されてきた。

経済が好調な時はそれでもよかった。陣笠議員達は、地元と役人のパイプ役になっていれば肩書きは安泰だった。

問題なのは、前例主義、官僚の無謬性、政策決定の硬直化によってもはや「大きな政府」の肥大化はとどまるところを知らず、政府は官僚の手の平の上で踊るしかなくなってしまったのである。
「わたり禁止」の法律を無視した政令には驚いた。あっという間に麻生内閣に閣議決定させてしまった事務次官達の手腕には恐れ入る。このようなことが今までどれほど多く国民の目から隠されてきたことだろう。

市場原理主義が悪いと社会主義者達は言うが、実のところは、官僚主義の日本型社会主義において、市場の透明性と公平性を奪ってきたのは、族議員達を養殖してきた霞ヶ関の権力構造なのである。無能な政治家に政策のイロハを教え、省益にかなう政治家を生け簀に閉じこめて養殖する方法をマニュアル化しているわけである。麻生太郎氏は、経企庁長官時代に「経済政策のイロハ」を役人からレクチャーしてもらった。どうやら麻生氏の経済政策の知識はその時点で止まっているようだ。

市場の原理を歪めてきたのが統制経済なのである。

銀行の不良債権処理の経緯を思い出してみるがいい。最後の最後まで「不良債権隠し」を黙認していたのは金融庁ではなかったか。だから、竹中氏は金融庁による監視強化策をとって、時価会計の徹底化と共に銀行経営の透明性を図ろうとした。

公務員改革の「生涯安心システム」について、竹中平蔵氏の提言。
(日経ネットPLUSの竹中教授のオフィスアワーより)

<ポイント>
1,若い優秀な官僚たちは、決して天下りや再就職のために働いているのではない。

2,官僚の終身雇用は、民間の多くの若い専門家に門戸を閉ざしている。結果として社会の潜在力からみて、役所の仕事の質を低いものにしてしまっている。

石破農水相は、汚染米事件後、若手官僚を集めて改革チームを作った。既存のシステムを総点検中、そのうちの一人が、友人宛のメールで仕事に悩んでいる様子を見せた後自殺してしまい、その原因が取りざたされたことがある。プライベートなことで悩んでいることはなかったようだが、「プライベートな悩みによる自殺」で決着してしまった。

霞ヶ関が政策を終身雇用前提で独占している限り、官僚が忠誠を尽くすのは自身が属する省庁中心にならざるを得ない。「省益よりも国益」を追及しようとすれば、厚い壁が立ちはだかる。もっと柔軟に政治任用制を採り入れるべきではないか。

公務員改革がストップすれば、政策の競争がないことによって、政策の切磋琢磨が行われず、官僚が前例主義で作った政策をそのまま閣議決定していくシステムが続くことになるだろう。

3,目下、国家公務員が退職直前の仕事に関連する民間企業へ再就職することは2年間無条件で禁止されている。
しかし、今後役所と無関係に再就職することが本当に実現するなら、こうした規制は全く無くて良いのである。退職したら、すぐにどこでも働く自由を与えてよいのではないか。その意味では、民主党がいう「禁止期間を5年に延長する」というのは、政策の方向が逆向きになっている。

独行法の見直しにも関連するが、天下り先の増殖を食い止めるためには、必ずしも終身雇用を否定するものではない。出世レースに外れた人の天下りを全廃し、定年まで役所にいることができるようにすれば、年功序列で給与が上がっても相対的に見ると劇的に今より経費削減になるという。と同時に、固定的な序列人事システムを改め、再就職もしやすいシステムを作る。民間企業への再就職禁止規定を取っ払ってしまうのも一案である。ただし「役所と無関係に」。

政官業癒着の問題が俎上にのぼって久しいが、国民が「社会主義的政策の副産物」として甘受し続けるか、あるいは時代に応じたより良い政策、スピード感ある政策の実行力を求めるのか、有権者はもっと真剣に考えてほしい。100年に一度と言われる危機だからこそ英知を結集した政治主導の施策が必要な時に、霞ヶ関の意のままに公務員改革をストップさせていてはいけないと思うものである。

国家公務員制度改革推進本部顧問会議の委員である屋山太郎氏が、公務員改革の必要性について書いてくれている。どの段落も重要なので、全文掲載させていただく。ぜひご一読を。

結論を先に書いておく。
衆院調査局の調査によると、天下り法人は4600。そこに天下っている元官僚は2万8000人、そこに流れる資金は12兆6000億円に達する。

こんな大きな・・・というより肥満した政府をいつまで放置しておくのか。

【正論】屋山太郎 消費税の前に公務員改革がある
2009.1.9 02:54

 ≪初志を忘れた麻生首相≫

 麻生太郎首相は来年度予算案作成を前に「3年後には消費税をお願いしたい」と強調した。責任政党の首相として、国民に厳しいこともいわねばならないという意気を示したつもりだろう。しかしその前に国民に果たさねばならない大きな任務を負っていることを自覚すべきだ。

 首相は組閣後、初の記者会見では「大胆な行政改革をやり、経済情勢が許すなら、3年後には消費税をお願いしたい」と述べた。今回の首相発言では前段の条件が省かれている。歴代内閣は大胆な行政改革を公約してきたが、不可能だった。天下り法人は役所の人事の延長線上に位置づけられており、省くわけにはいかないのである。衆院調査局の調査によると、天下り法人は4600。そこに天下っている元官僚は2万8000人、そこに流れる資金は12兆6000億円に達する。

 企業が官僚を受け入れるのは談合や受注に都合が良いからで、日本ほど官僚がらみの談合の多い先進国はない。経済活動や社会活動を不健全にしているのが日本の天下りシステムだ。

 ≪“社会悪”根絶のために≫

 安倍晋三氏はこの“社会悪”の根絶には公務員制度を変えるしかないと国家公務員法の改正を断行した。これを引き継いだ福田内閣で渡辺喜美行革相が「公務員制度改革基本法」を成立させた。現在、この基本法に基づいて(1)公務員の定年延長(肩たたきをなくす)(2)各省の幹部人事の「内閣人事局」への一元化-を骨子とする法案作成作業が公務員制度改革推進本部(本部長=首相)で進められている。

 中川秀直元幹事長は特別会計などの「埋蔵金」が50兆円あると主張した。財務省脱藩官僚の高橋洋一氏も「20兆、30兆円はあるだろう」という。与謝野馨経済財政相は財務省のまわし者よろしく「絶対にない」と断言していたが、超大型予算を組むに当たって財務省は手品のように何十兆円も出してきた。

 公務員制度改革はこの埋蔵金のような小さな一時的なものではない。麻生首相は「官僚は使うもの」「省益でなく国益を追求させよ」と号令した。しかし地方交付税1兆円、地方整備局、農政局の原則廃止など首相の指示はことごとく無視され、はね返された。官僚はポストを減らさず、自省の予算がふえることのみを目指す。

 麻生政治はシーリング(上限)を取っ払い、赤字国債の発行を抑えるという財政節度をも踏みにじった。100年に1度の非常事態だというからこの判断は認めよう。しかしいくら非常時でも公務員制度改革を骨抜きにする理由にはならない。首相が「3年後の増税」をいうなら、その前提に「公務員制度改革の完遂」がなければならない。

 社会保障を手厚くすれば大きな政府は不可避だ。しかしその政府は効率的でなければならない。

 国民はそこら中に無駄や談合、天下り法人がはびこっていることを知っているからこそ、増税に忌避反応を示すのだ。無駄や不正、不法排除の決め手こそが公務員制度改革だと首相は強く認識すべきだ。首相がリーダーシップを発揮できない官僚制度は憲法の趣旨である議院内閣制にも著しく反する。

 ≪官僚の手に委ねる安直≫

 首相はこの公務員制度改革を甘利明行革相に丸投げした。改革推進本部には顧問会議が設けられたが、本部事務局はこの顧問会議には座長も置かず、報告や答申も求めない方針だった。官僚が改革案を作って事後承諾を求めようとの魂胆だった。これには顧問会議が反発し、御手洗冨士夫日本経団連会長を座長に選出すると共に、桜井正光経済同友会代表幹事をワーキング・グループの主査として、1カ月に8回の会議を開いて突貫工事を行った。

 締め切りだとされた昨年11月半ばに「中間報告」を出したところ、甘利氏は“政治判断”で締め切りを今年3月まで延ばした。当然、中間報告の内容を詰める作業は続行されなければならない。しかし甘利氏は「作業は事務方で詰める」という。115年ぶりの官僚改革を官僚の手に委ねるというのは正気の沙汰(さた)ではない。まな板の鯉に包丁を握らせて自分で捌(さば)けというのに等しい。

 この馬鹿げた方針に顧問である総務省のOB、労働省OBが賛同した。加えて顧問の高木剛連合会長はスト権問題が片付かなければ人事院には手を触れさせないという。立法府の意志(基本法)はスト権も含めて解決することを求めている。連合と人事院が手を組み、全官僚がOBもグルになって、現状を墨守しようという。麻生氏は問題の本質を理解せず、甘利氏は逃げている。これでは日本は救われない。(政治評論家 ややま たろう)

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公務員改革に対する抵抗を見ていると、霞ヶ関官僚達が髙橋洋一氏のことを「三度殺してもあきたらない」と言っていたのも頷ける。

◆日々是語草◆ 
きょうはこちらで皇室問題。「『秋篠宮が天皇になる日』保阪正康氏。雅子さま擁護派が一番嫌がることとは」  あっちに書いたりこっちに書いたり、すみません。文藝春秋は「売り切れ」を狙ったのかな?

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最近のガザ紛争や中国情勢やら2ch大規模OFF板のチベット問題関連のスレを見つつ、 そろそろこういった方面の話を取り上げたいと思っておりましたが先ほど政治カテの動画 をニコ動で見て以下の記事を思い出し、急遽取り上げることにしました。 ※画像とネタ元はこちらから拝借させて頂きました。 日刊 麻生太郎 : まだ全然いけるっすよ>[ `・・ ]森さん http://netata.exblog.jp/9900415/ ●は民主(※円より子民... [続きを読む]

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