新税調会長・香西氏の経済ビジョン。郵貯・簡保は財政投融資改革の入り口
<きょうの経済関連ニュース>
■年金運用益が過去最高の9兆8000億円(5兆円アップ)
(問題点)
公的金融の縮小、不透明・改革法案骨子固まる
政府は22日、8つの政府系金融機関を再編・民営化する関連法案の骨子を固めた。中小企業金融公庫などが2008年10月に統合して発足する新しい政府系機関は、中小企業向け融資などで業務を絞り込むが、どこまで融資残高を圧縮するかは未知数。完全民営化する商工組合中央金庫と日本政策投資銀行も政府保有株に譲渡制限などを設け、当面は政府関与が残る。公的金融が縮小するかどうかは不透明だ。
<新税調会長・香西氏の経済ビジョン>
■辞任した本間会長の後任に香西泰氏。
処世術でスタンスを軌道修正するような本間氏よりずっとイイ!
災い転じて・・・安倍首相は運がいいですよ。
■安倍政権では、本間氏に続いて佐田行革担当相の政治資金報告書問題が発覚し、またイメージダウンですが、なんとか切り抜けてください。テレビドラマの影響で、国民は、飯島秘書官が危機管理術として「登用者の身体検査」を徹底的にやることを知ったので、どうしても安倍首相周辺の脇の甘さと比較してしまいます。スキャンダルにはじゅうぶん注意してください。
■香西 泰(こうさい ゆたか)プロフィール
1958年東京大学経済学部卒業。 1958年経済企画庁(現・内閣府)入庁。調査局、通商産業省企業局、経済企画庁総合計画局など勤務。1981年東京工業大学教授。1997年日本経済研究センター会長。 2005年6月より日本経済研究センター客員研究員、一橋大学経済研究所客員教授。
■(5/12)(4)リスクに報いる制度に・日本経済研究センター会長 香西泰氏
――政府の税制改革論議をみると、経済活性化という改革の目的がぼやけてきたような気がします。
「日本経済の停滞を打ち破ることが改革の目的だ。停滞の原因は新たにリスクを取って、変化に挑戦する人や企業がなかなか出てこないところにある。リスクを取ることを奨励しないと、新しい産業も生まれてこないし、金融システムも強くならない」
――政府税制調査会は「中立」という税の原則を理由にして、特定の経済活動を奨励するような税制をつくることに消極的です。
「公平・中立・簡素という税の三原則はそれぞれ正しい。しかしリスクを取った人と、取らなかった人を同じように扱うとリスクを取ることが損になってしまう。それでは個人や企業の行動を一方向に誘導することになり、必ずしも中立とはいえない。いまはリスクに報いる税制にすることを第一に考えるべきだ」
「公平の観点からもうかった人に重い税を課して結果の平等を追求すると、リスクを取ってもうけようという意欲をそいでしまう。リスクを取ることを尊重する制度にすることが自立した個人や企業を育てることにつながる」
――リスクに報いるにはどのような税制改革が必要になりますか。
「これまでの制度では銀行がリスクの集積所になっていた。お金を預ける側は預金は返ってくるものと完全に安心している一方、お金を貸す銀行側だけがリスクを背負っていた。その結果が多額の不良債権だ」
「リスクはできるだけ分散しなければならない。預金者が投資家となり、資本市場を通じて自らもリスクを抱えながら資金を運用することは、金融資産の効率的な活用につながる。そのためには株式投資など手取りが変動する可能性のある所得に、税制上配慮する必要がある」
「株譲渡益のほか利子・配当など金融所得をひとまとめにし、給与などの勤労所得と切り離して低率で一律課税する二元的所得税は有効なアイデアだと思う。所得が増えるほど税率が高くなる所得税の累進税率の刻みを今の四段階から三段階くらいに簡素化し、中所得者層が努力をして所得が増えたときの税負担増をできるだけ抑える工夫も考えなければならない」
――個人向け投資優遇税制への「金持ち優遇だ」という批判にはどうこたえますか。
「モノやおカネが自由に国境を超える経済のグローバル化が進んでいることを考えなければならない。特に金融資産は逃げ足が速く、国際標準より重い税をかけるとおカネは海外に流出してしまう。だから、国内で投資しやすい環境を整える必要がある」
――企業税制ではどういう手があるでしょうか。
「企業の研究開発や新規投資については税制上さらに優遇してもいいのではないか。研究開発や新規投資は企業にとってやはりリスクだ。このリスクを取りやすくする必要がある。今ある政策減税を整理し、浮いた財源を法人税率引き下げという形で公平に還元するのも一つの知恵だ」
――財政赤字を増やしたくない財務省は、増減税同額の税収中立にするよう主張しています。
「財政上の最大の課題は高齢化に伴う社会保障負担の増大だ。財源の問題を含めて将来も持続できる社会保障の姿を描けば、国民の不安が薄らぎ、景気にも良い影響が期待できる。国がどれだけの社会保障を提供できるかということと、国民に求める税負担を一体で考えることがますます重要になる。全体の国民負担が感覚としてわかるようにするためにも、社会保険料と税の徴収機構の一本化は考えていい」
「税収の使い道を道路整備に限った道路特定財源は見直しが必要だが、一定の使い道を想定した目的税には歳出のむやみな膨張を防ぐ効果もある。消費税については、社会保障財源に充てることを念頭に、必要なら目的税化するという柔軟性がいる」
(聞き手は経済部 米山雄介)=おわり
とてもわかりやすく、重要なことばかりです。
今後のグローバル経済ビジョンとして参考になります。
■国際フォーラム「日本の進むべき道」-日本21世紀ビジョン発表記念-
特に賛同したのがここ
(白井)
危機以降、東アジアでは金融協力が進んできた。日本は世界最大の外貨保有国。危機の際の外貨融通制度(チェンマイイニシャティブ)があるが、日本はこの協力をさらに発展させて危機回避システムを率先して作っていくべき。日本企業は海外進出しているが、現時点での主要な資金調達方法は本社からの送金であるので、為替リスクや送金コストがかかる。今後は現地で資金調達できるように日本政府も支援していくべき。これはアジアの債権市場の発展にもつながる。また、アジア域内の貿易が大きいにもかかわらず、決済通貨はドルが中心であり、円とアジア通貨を直接取引きする為替市場・先物市場が発展していない。地域の為替レートの安定化のためにも、円の国際化を進めていくべき。
次も、国家社会主義傾向の強い人が読んだら、目を剥くかも(^_^;
でも、積極的な成長路線なくして日本の国際社会での地位向上もないのだということを理解してください。
■対談 わが国の構造改革と金融教育
香西 外国資本が入ってきやすい国かどうかということになりますと、制度的な問題もありますが、外国資本が日本で事業展開をしようとする時、コストが高いのは確かです。またわれわれの英語はあまり通用しないという辛い経験も多いですしね(笑)。完全な意味でグローバリゼーションに対応しているかと言ったら、まだまだ、と言わざるを得ません。
韓国などはアジア通貨危機に際して、よく外資にあれだけ銀行を開放するものだなと思うくらいやったわけで、日本はそれだけ貯蓄が多くて力があるということかもしれませんが、逆にいえばまだ閉鎖的だということかもしれません。産業についても、世界の市場の中でトップを争っていく企業は、そう増えていません。
香西 不良債権問題は一応片付いてきましたが、日本で新しい金融のビジネスモデルが生まれたかといったら、必ずしもそうではありません。担保の取り方とか審査の方法は随分変わってきたと思いますが、商売の中心は相変わらず預金中心で、こういうビジネスモデルで本当に国際業務をやっていけるのか、私はかなり懐疑的な目を持っています。
増永 日本の金融機関に今後必要なのは、新商品の開発や提供、ということでしょうか。
香西 流れとしてはそういうことだろうと思います。
<郵政民営化>
郵政民営化後、効率的な郵貯・簡保の運用が一番の課題。
■香西泰・日本経済研究センター客員研究員
郵貯改革は経済金融システムのひずみを解決するための重要な試みだ。
郵便局に問題はないから変える必要もないと主張する人がいるが、郵貯や簡保が財政投融資を通じ無責任に資金を供給し続けてきたために、公社・公団の非効率な官のシステムが温存されたきた。例えば、郵貯や簡保の資金を使っていた旧国鉄は赤字に陥り、その整理のための国民負担は結局30兆円近くに達した。
金融は本来使う分だけお金を集めるのが基本なのに、財政投融資では郵貯がただ資金を集める機能だけを果たしているのが問題。
資金の入口である郵貯を改革しなければ、本当の財政投融資改革にならない。
郵政民営化を「小泉の思い入れ法案」くらいの認識の人が多いようですが、とんでもなく重要であるというのが私の認識です。今後の財政投融資における発展的リストラクチャーの重要な入り口です。野田聖子や復党組が修正に圧力をかけてきたら、毎日でも官邸に抗議のメールをしてやる!。「たった一つの法案に反対しただけ」じゃないんですよってば。すべての産業構造に関連してくる改革だと思います。
今のままでは、2007年10月1日の民営化が延期になってしまいそうです。もちろん完璧を期してやるのなら多少遅れてもかまわないのですが、問題は、自民党内部や財務省の抵抗によって、牛歩戦術じゃないけど“先延ばしさせられる”こと。システム整備の遅れを理由に、早期の生田総裁下ろしにまで発展しそうです。ひいては日本郵政の西川社長の解任カードをちらつかされるかも。
フォーサイト「郵政民営化の『壮大なサボタージュ』が始まった」によると、ゆうちょ銀の職員のスキルやモラルの低さは深刻であるとのこと。毎日の現金合わせで過不足があるのは日常茶飯事であり、郵政公社でも横領などの内部犯罪から簡易保険の配当金過払い・不足といった業務ミスまで不祥事が絶たない状況らしい。生田総裁は、過去のウミを出している段階で、民営化までにコンプライアンスや内部管理体制の充実を図るとしています。ここをクリアしないと、他の金融機関業務との連携で、支障を来すおそれがあります。早急に民間レベルに引き上げないといけません。
このように民営化に足を引っ張る勢力が多いため、経済成長を本物にしていくためのマクロビジョンの入り口にも立てない不安がつきまとっているのです。
安倍政権の経済・財政・税制ブレーンには、ぜひがんばっていただきたいです。
(追記)
参照:IRIMALL's Satellite at cocolog「日本郵政公社 郵便貯金 4億3000万円の無断解約で利用者 (顧客)から訴えられた貯金無断解約事件ニュース」
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