JAに酷評された小沢農業政策
小沢代表が「農家の所得保証」や自給率100%を目指すなど、農家にとって一見おいしそうなことを言い始めて、この人、とうとう票欲しさに末期症状だなと思いました。一定収入を保証するなら、いっそ国営農場にして、農業従事者は公務員にしたらどう?
専業農家の比率を度外視して、いくら保証したところで、後継者不足は止められますか。
(厚生白書)昭和30年代を見ても「農業就業人口の比率は,30年度には37.1%であったのが38年度には25.9%に低下しているし,学卒農業就職者の学卒総就職者に対する比率にいたっては,30年度度の25.3%が38年度の6.5%と実に1/4にまで低下している」
高度成長期でますます農家離れが進み、現在、米どころの魚沼ではどうなっているかというと
2農家戸数等
平成15年度の総世帯数は、13,360世帯、総人口は、45,397人で県総人口の約1.8%を占めている。
また、農家戸数は4,519戸で、このうち販売農家が3,398戸(75.2%)、自給的農家が1,121戸(22.8%)となっている。
販売農家における専兼別では、専業農家319戸(9.4%)、第1種兼業農家251戸(7.4%)、第2種兼業農家2,828戸(83.2%)で第2種兼業農家の割合が非常に高くなっている。
※第二種兼業農家
農業以外の仕事(会社勤めなど)で収入を得ている農家のうち、農業での収入が、全収入の50%以下の農家で、世帯員中に1人以上の兼業従事者がいる農家。
農業収益に頼らない第二種兼業がほとんどという状態で、本当に所得保証が次代の育成にまで功を奏するのかはなはだ疑問です。どのような所得保証をするにせよ焼き付け刃にすぎず、農政の構造改革を抜きにしては、なんら展望の開けない「ばらまき」と言われても仕方のないところでしょう。財政再建が課題の時に、野党の党首は無責任なことを言っていればいいのだからお気楽なもんですね。
農家の本音が出ていたので、紹介します。
(参照)フォーサイト「時代錯誤のばらまきを唱えて露呈した『政策の小沢』の空洞化」
オザワイズムから引用
そこで僕が提唱しているのは「不足払い」という方法だ。(中略)これならば、市場価格そのものを操作しないから、消費者には安い農産物を選択する機会も保証される。(中略)もし市場価格が大幅に下落して、生産コストを下回るようなことになった場合、その不足分を国が補填してくれるわけだから、農家の人たちは安心して生産に励むことができる
論評によると、ミスプリントかと見紛うばかりの問題点はここにあります。国が一定の収入を約束するため、国の介入によって農産物の自由な価格形成を阻み、豊作時にも価格が下落しないという結果を招く・・・ふむふむ・・・大きな余剰分は輸出圧力になるという弊害があるということです。このため世界貿易機関(WTO)のルールでは、この制度は「将来縮減あるいは廃止される補助金」として位置付けられ「黄色の補助金」と呼ばれているとのこと。ちなみにアメリカは不足払いを実施している。あちらは農家の圧力団体がすごいですものね。それで輸出圧力が大きいのか。なるほろ。
さて、美味しいご馳走を並べられた全国農業協同組合中央会幹部の反応は、以下のような酷評でした。
・「小沢案は非現実的。不足払いを導入しても、国際的には、将来確実に大幅な補助金の削減を求められることがはっきりしている。不安定な政策だ」
・「そもそも小規模で零細な兼業農家を温存するという発想自体が間違っている。このままでは農業分野の構造改革ができないというのが、我々の認識だ。補助金に頼った零細農家が高齢化したら後継となる担い手がいない」
・「構造改革につながらず、食糧の安定供給もできない」
ご馳走どころか、とても食えたもんじゃなかったようで。
一方の与党主導の農水省の提案は、個々の農家に直接補助金を支払って、農業経営を助けていこくという方法。農業経営の合理化と品質重視で国際競争に勝てる農産物作りに重点を置くことです。「零細農家を切り捨てるな」と小沢代表は反論するのですが、お祖父ちゃんが細々と作物を作っている第二種兼業農家には、そもそも国から不足分をもらったところで有り難みはないのだと全中自身が認識しているのですね。
⊿⊿⊿
ピンボケの小沢さんは放っておいて、WTOの駆け引きのほうが大事です。
農産物の主要輸出国で構成する18カ国のケアンズ・グループに日本は入っていないのですが、9月にオーストラリアで開催された閣僚会議では、例外的に日本、米国、欧州連合が招待されました。(EUは欠席)
日米とも輸出拡大を狙うものの、ケアンズ・グループが主張する農業補助金の撤廃や関税の大幅削減とどう折り合いを付けていくか、コメの関税保護とも絡んで難しい事情を抱えています。会議に参加した中川昭一前農相が、渋い顔して悩んでいましたっけ。
中川昭一氏は、伊吹派の“子分”松岡利勝氏に農相を引き継いだことで、省内では「中川氏による実質的な農水省兼務だ」と受け取られているとか。
(参照)フォーサイト「『粗製乱造』のFTAに頼る日本の貿易」
自由貿易協定(FTA)戦略では練り直しが迫られています。アメリカの中間選挙で共和党が勝てば、凍結中の新多角的貿易交渉が再開できるだろうし、民主党が優勢なままいくと、ブッシュ政権は議会とねじれ関係となり、身動きが取れなくなるだろう・・と。
日米間の水面下の交渉では、コメの高率関税をある程度容認するにしても、実際には「例外品目」として猶予期間を設定しています。「例外品目」とすることのバーターとして、米政府のジャガイモを受け入れたというのはテレビのニュースでも解説していました。
通商問題の主戦場は、WTOではなく各国との個別のFTA交渉にあるということで、その内容は、日本側は農産物、アジア諸国側は工業製品に例外品目を多数容認した「粗製乱造」となっています。後進国それぞれの事情があって、これも致し方なしか。
韓国との交渉は中断状態で--何やってるんだ、盧武鉉!--中国との交渉は展望が開けない。安倍政権発足後に「東アジア経済統合推進室」を設置したものの、その前提となる二国間FTAでも交渉が難航しているので、中川昭一-松岡ラインがどう辣腕をふるうのか今後注目していきたいところです。
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亀井静香なき後、伊吹派内の総裁候補は昭ちゃん。派閥力学が神通力を持たなくなったので、実力でのし上がるのだ!ガンバレ中川昭一
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