市場原理を鍛えよ。証券取引法等の一部を改正する法律案
堀江氏に続く村上氏の逮捕、次に誰が続くのかは知らないけれど、検察の意図がいまひとつ図りきれません。ただ結果として良い仕事をしたとは思います。ホリエモン逮捕の時の自民党の慌てっぷりを見ると、少なくとも為政者が検察を動かした国策捜査ではない。とすると、司法官僚が独自性あるいは政治家に対する優位性を復帰しようとするアクションではないか?そんなふうにも感じます。結果として一罰百戒の絶大なる効果を得ましたが、メディアにリークして大捕物帖を演じるのに見合うほどの刑罰は望めそうにありません。
鈴木宗男氏に続いて逮捕された佐藤優氏に対して、取り調べの特捜検事はこう言いました。
「これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです」(月刊ボス2006年4月号)」
――そもそも日本は法治国家なのかという議論もありますが……。
佐藤 法治国家なんですが、司法官僚に裁量権がありすぎます。
限りなく人治に近い感じですね。私の場合、刑事被告人として裁かれていく中で、順法意識が明らかに低くなりました。
日本では、こういう変なことが起こるということを思い知らされましたから。
旧ソ連や旧東ドイツと何も変わらない。
国策捜査の被害(!?)にあった佐藤氏が、公権力のメディアへのリーク→情報操作→情報メンテナンス、この一連の流れにさらされていく中で、公権力への不信感が芽生えていった心理がよく表れているコメントだと思います。
公権力の驕りはここでは置いておくとして、堀江氏&村上氏逮捕による一罰百戒の効果は、たしかに時代の転換期における「けじめ」になるでしょう。
小さな政府→規制緩和→「市場原理」重視の政策がポスト小泉以降も続くとして、なによりも法整備が急がれます。今まではブラックマネーのマネーロンダリングすら野放しだったわけです。ライブドアのあの程度の粉飾決算などどれほど目こぼしされているでしょうね。市場を透明性を持って公正に運んでいくために、ライブドアショックは市場を見直すきっかけを与え、市場原理を鍛える効果があったわけで、二人に目を付けた検察を評価します。
ライブドアショック以降、内閣提出の「証券取引法等の一部を改正する法律案」が参議院・財政金融委員会において可決目前まで来ました。まだまだ不十分な内容とは思いますが、与謝野大臣も頑張ってますね。・・・と思っていたら、与謝野さんピンチ?(笑)会費40万で香ばしいニュース扱いになるんだから、政治家の皆さん、気をつけましょう。
与謝野馨金融担当相は6日の閣議後の記者会見で、旧通産省出身の村上世彰容疑者との関係について「旧通産相時代に在籍していた。(退官後も)私の勉強会に参加し、会費を政治献金の形で頂いている。政治資金規正法に従って報告している」と述べた。「村上ファンドへ預ける資産は一切持っていない」とも語り、ファンドへの投資は否定した。
与謝野金融相は3月13日の参院予算委員会で村上容疑者からの政治献金について「10万円ずつ4回いただいた」と発言していた。 (12:42)
■証券取引法等の一部を改正する法律案について
<参照>
投資家保護のための横断的な法制、投資サービス法の整備
∼証券取引法の金融商品取引法への改組∼
財政金融委員会調査室 金子隆昭
<ポイント>
1,大量保有報告制度について、最近のM&Aの際の機関投資家等に認められる特例報告の不透明性が指摘されていた点について、今回の改正では、3ヶ月ごとの基準日を毎月2回以上設けることとするなど、特例が適用される場合の報告期限・頻度を短縮することとしている。
2,特例報告が適用されない「事業支配目的」の明確化や大量保有報告書の電子提出の義務化等の措置が講じられている。
3,開示規制の見直しとして、証券取引法の金融商品取引法への改組にあわせて、四半期報告制度の導入、財務報告に係る内部規制の強化が行われる。
4,証券取引所制度の見直し
5,ライブドア問題を端緒に見直しが行われることとなった公開買付制度の場合、まず昨年、市場内取引であっても立会外取引を規制対象としたのであるが、今回の改正では、さらに市場外取引と市場内取引とを組み合わせた場合を包括的に、規制の網を逃れることのないよう改正しようとしている。
その他
イギリスにおける金融サービス法から金融サービス市場法への見直しに当たっては、例えば、(a)ルールの複雑さ、(b)自主規制機関の関係の複雑さ、(c)規制・監督の重複などの問題点が指摘されていた。今回の法案でも、例えば、金融商品取引所、金融商品取引所を持つ認可金融商品取引業協会、公益法人金融商品取引業協会といった複数の自主規制機関が並立することとされており、イギリスにおける経験が今後またいかされる可能性もある。監督機能についても、証券取引規制を中心としたアメリカ型のSECか、包括的な規制権限をもつイギリス型のFSAかといった議論もあるが、機能の重複の整理といった視点も重要であると考えられる。
堀江氏や村上氏がかいくぐった公開買付制度や大量保有報告制度といった法の網の目をふさぎ、さらに証券取引所に関する規制の見直しまで含めると、今後詰めていかなければいけない課題も多いということがわかりました。
村上ファンドがニッポン放送株をライブドアに売りつけた時、村上ファンドは金融庁に問い合わせたら問題ないと言われたらしいです。大前研一氏が解説するところによると、その前例として村上氏が説明するには「M&Aコンサルティングは個々の出資者は保有比率が10%以下なので主要株主の売買報告義務規定には該当しない、投資アドバイスをするだけで主要株主ではない」としているが、村上ファンドが実際の株主構成などを開示せず一般論として問い合わせていたとしたら、金融庁は簡単に言いくるめられるだろうと。
村上氏がいくら頭の回転が早くても、盲点を突いて儲ける手法は公権力には通じませんでした。盲点を突いているようでも、そういう人に限って大ポカをしているものなんですね。危ない橋=現行ルールを渡る者が後を絶たないのであれば、危ない橋は、誰でも安心して渡れる頑丈な橋に作り替えねばならないということです。
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