カテゴリー「社会保障全般」の5件の記事

2012年10月 9日 (火)

少子化対策とは、経済・雇用対策

ブログ記事の削除依頼キターww
niftyに対し、一度だけ当ブログ記事が「プライバシー侵害である」として匿名の告発が来たことがあるが、その時nifty側は「問題なし」と判断した。削除依頼者は革○派だったんだけどね。
今度は直接メールで当事者に近い関係者から来た。2年以上も前の記事を見つけたということは、ネットを名前で検索しては削除依頼を出しているのかしら?(素朴な疑問)
名誉毀損にあたるので、プロバイダ責任制限法により削除しなければあなたの情報を開示します」とか。え~ワタシ、どうなっちゃうの?と早速調べた。
プロバイダ責任制限法
被害者は損害賠償請求権の行使に情報発信者の氏名や住所などが必要である場合など、正当な理由がある場合には、情報開示をプロバイダに対して求めることができる。


なるほど。メールしてきた当事者にごく近い関係者は、私が削除を拒否すれば、損害賠償を請求したいわけね。やってらんねーと大人しく削除した。
が、しかし、改めて読んでみると、再び当時の腹立たしさが蒸し返されてきた。「名誉毀損」しないように書き直してみる。(だからもうほっとけって…という内なる声を無視)
今度は検索避けに伏せ字にしておく。
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2010年2月15日(月)
自民党は本気の少子化対策には邪魔な政党だった
 ―― この問題については、世代間の価値観の差も激しいですね。
 私なんか、上の世代の価値観を押し付けられる政党にいるので、死にそうですよ(笑)。

本文はインタビュー記事でご確認ください。
私自身の価値観としては、ジェンダーフリーや男女共同参画社会運動に潜む左翼思想が大嫌い。女性の社会進出を阻む敷居は取り払うべきだと思うが、一方で行き過ぎた「性差解消」は、子育てを母親から取り上げ、性差の別なく働くことが当然、専業主婦は怠け者、子供は社会が育てるべき等々の逆差別も起こってくる。
もちろん家庭の経済問題もあるし、家庭ごとに妻が働き、夫が家庭のことをする形態があってもいい。しかし、理想を言えば、子供が小さいうちは母親と子供の密着度(密着度の質の問題はある)を大切にしてほしい。幼児の三つ子の魂が将来の人材育成に貢献するのである。母子の関係が子供の情緒安定・健康・学習能力向上に結びつくことは明らかになっている。
母親が3年くらい子育てに専念し、その後仕事復帰する場合、キャリアをリセットされる不利な社会環境を甘受せざるを得ないが、その間、男性達は家族のために継続して働いているのであり、不平等だの女性だけが犠牲を強いられるなど被害者と思うほうがおかしい。その問題は、個別に企業側の判断として乗り越えていくしかない。日本の企業はほとんどが中小零細であり、子育てママのために保育室や人員を確保することは難しいのである。正直言って、仕事のデキる人は男性女性問わず、キャリア復帰も可能である。
子育てに専念できるには、「いつでも働くことができる」という労働市場の流動性が重要であり、雇用改善、緩やかな経済成長が一番の鍵。少子化対策とは経済(雇用目標を含む金融政策)と言っても過言ではない。ことさらに少子化に絡めて「高齢者の価値観が邪魔」といって世代間対立を煽り、男性の価値観が悪いと言いつのるこの女性議員のほうこそ、結婚して子供を育てることに人生の喜びを見いだす女性達を「差別」しているのではないか。
政府与党として少子化担当していたこの女性代議士は、単に自分の価値観を押しつけているだけだ。よく言えばリベラル、悪く言えば、自己中心そのもの。彼女が一私人ならこうしてブログに書くこともない。第一、私生活を公表しているのは彼女自身ではないか。現在の配偶者のスキャンダルも週刊誌に書かれていたが、その件は名誉毀損で訴えたのだろうか。
この女性代議士は、安倍さんが郵政造反議員を復党させる際、妹のように思い、靖国神社参拝も欠かさない保守議員のようだが、その価値観は夫婦別姓、結婚制度の破壊、シングルマザーの推奨、どれ一つとっても、私には本当の意味で日本を強くし、子供の将来を考えているとは思えない。女性が子供が欲しいと思えば、精子バンクに行く社会が少子化解消になるのか?生みやすく、社会が育てる国とはどのような国柄になるだろう。家庭という価値観が崩壊し、母子家庭増大で、生活保護世帯が急増するだろう。
日本の人口は、今後数十年の間に7~8千万人に減少して留まると思われる。戦後の高度成長期のような人口増が頭打ちしただけのこと。高齢者への福祉を削り、子供手当を増やしたところで、家庭に対する無責任さを助長する社会では、親が自分のために使ってしまうのは目に見えている。現物給付にするべきだろう。
彼女は、今お子さんの闘病で大変のようなので、国会議員としての務めは果たすことができていない。「お辞めになったらいかが?」と言うと、彼女からは「あなたは古い価値観のオヤジのようだ」と一刀両断にされるのだろう。

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2012年3月13日 (火)

介護保険報酬改定は現場を無視した“お役所仕事”

介護分野で雇用創出なんて、あんな嘘をよく言えたもんだ。現場を知らないお役所のやることは姑息。

◆SYNODOSJOURNAL : 介護保険、報酬の抑制はせめて美しく ―― 改定で疲弊する現場 柳本文貴(NPO法人グレースケア機構代表)
http://bit.ly/x0dc18

訪問看護の単価は上がるのはせめてもの救いだが、くだらない手続き業務でケアマネさんの負担がふえる。一番の問題は人手不足。現場が病弊してしまう。

看護がおいつかず、私自身も看護師さんのかわりに膀胱洗浄もやってるが、春から保健施設の看護師さんの数が減らされる。
そこを減らしてどうする、厚労省!

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2009年12月15日 (火)

日本経済の成長戦略はこれだ(4)「社会保障個人勘定」について

小泉構造改革の「官から民へ」に伴う政策の中心的課題は、労働市場改革とセイフティネットの充実だった。この改革が進まなかったので、社会福祉制度が現在の弱体化した経済に追いつかず、すべて小泉改革のせいにされてしまったのである。

の続き。

高橋洋一氏が「恐慌は日本の大チャンス」の中で、小泉政権下でやろうとしていた改革について詳しく書いている。
ビル・エモット氏も、労働市場改革については、より弾力性に富んだ単一の労働法規が必要としている。(同一労働、同一賃金) 必ずしも非正規雇用を良しとしてはいない。非正規雇用を拡大する施策は、企業からの訓練を受けずに未熟な労働者を増やすだけであり、人的資本が蓄積されない。長期的に日本の知識サービス産業を衰退させるとエモット氏は懸念している。

まず高橋氏は、「セイフティネットの充実がなければ、安心して派遣を選択することができない」と言う。初めに派遣を進めたのは厚労省だったのであり、その厚労省に6度も潰された政策が「社会保障個人勘定」の導入であった。

以下、本の内容にそって説明する。

年金不信の払拭のために、トータルでの給付・負担が明確になるように「社会保障個人勘定」を立案した。安倍政権下で年金不信が表面化したが、小泉時代にすでに手を打とうとしていたのである。ところが、当時の坂口力厚労相が「損得勘定を助長する」と反対した。竹中氏のブレーンだった高橋氏は諦めず、名称を変えてしつこく提言したのだが、ついに日の目を見なかった。

政府が2011年度から実施を予定している「社会保障カード」は、「社会保障番号」の導入も検討されているが、当初の構想とはかなり違う。竹中氏・高橋氏が提言したのは、社会保障と税の統合化という世界的な流れをくんだものだったという。そのルーツは、フリードマンが提唱した「負の所得税」にある。

<負の所得税>

フリードマンは新自由主義で社会保障には関心がないと思われているが、誤解である。
フリードマンが提唱した負の所得税とは、所得税と公的扶助制度を組み合わせ、課税前所得が課税最低限を下回る者に対しては、その差額の一定割合だけ給付を行うというものである。弊害は、所得ゼロの者でもかなりの給付金が受けられるので、逆差別を生むことになる。

アメリカが導入したのは、「給付付き税額控除制度」である。
低所得者層による労働供給を促進するとともに、低所得層の社会保障税の負担軽減を目的に、勤労所得税額控除を導入した。

この制度のすぐれている点は、職に就くことを税額控除の必要条件としており、最も所得の低い層では、所得が増加するほど控除額=給付金が増えるが、所得が一定水準を超えると給付金が徐々に減少する仕組みである。ただし給付金と所得を合計した手取額は増加するようになっている。さらに1997年、子どもの人数に応じた税額控除として「児童税額控除」も導入された。

勤労所得税額控除のメリットは、減税と給付金を組み合わせることによって、労働供給を抑制するという「もらい得」をなくし、労働意欲を高めるように制度設計されていることにある。働かないほうが給付がたくさんもらえると働く意欲がなくなってしまう、これを「貧困の罠」と呼ぶ。

舛添厚労相の下で、生活保護世帯が勤労母子家庭が得る所得より給付が多いという問題が取りざたされ、生活保護を受けずに勤労する世帯所得に合わせて生活保護の給付を引き下げようという政策が出された。そもそも勤労低所得者への保護が薄すぎるのである。小泉政権では、これを負の所得税で埋めようとしていたわけだ。これを妨害したのは厚労省だった。

<導入していれば年金問題も軽傷ですんだ>

韓国では、給付付き税額控除の導入にあたり、インフラを強化した。個人口座があると税額控除還付事務が格段に容易になる。(行革→効率の良い小さな政府)

国民の安心にもつながる。いちいち社保庁が膨大な経費を使って通知を出さなくても、掛け金と将来の給付が一目でわかるようになる。さらに医療保険や介護保険を一つの勘定にまとめて、個人にマッチした社会保障メニューを組むことも可能になる。社会保障の「お好みメニュー」である。

社会保険料の徴収や年金の給付も税務当局に一元化されれば、社保庁はとっくになくなっていたはずである。社会保障個人勘定を導入すれば、成長するITとインフラ強化によって、役所の縦割り行政の打破とスリム化が実現する。

評判の悪い後期高齢者医療制度への不満も解消できる。たとえば家族勘定をつくり、年金の天引きではなく、現役世代で給与収入がある長男が代わりに支払うという制度にも道が開ける。

小泉政権では、増大する社会保障費への対応として、そこまで制度設計の対策が練られていたのである。

麻生政権でも自民党の改革派は社会保障個人勘定の勉強を続けていたが、すべて霞が関頼みの麻生首相が一顧だにすることはなかった。

<子ども手当の是非>

子どもへの投資という観点から、イギリスが2005年に創設したチャイルド・トラスト・ファンドが参考になる。貯蓄推進計画の一つで、生まれた子どもすべてに政府が専用口座を開設し、親の所得に応じて最低250ポンドを口座開設時と7歳の誕生日に補助金として振り込み、親が追加拠出と運用を行うものである。これは非課税で、子どもが18歳になるまで資金が引き出せないルールとなっている。子どもへの教育投資、自立支援としてすぐれた制度であると思う。

民主党の子ども手当は目的がはっきりせず、少子化対策にはなりそうもない。親の裁量に任せるので、親のカネになってしまう可能性が大きい。少子化対策には保育施設を増やしたり、自民党が提唱する“現物支給”、たとえば現金のかわりに保育券を渡すといったほうが効果的だろう。出産補助金でもいい。

<アングラマネーも一網打尽>

個人の支出も社会保障番号で税務当局が一元管理する制度にすれば、さらなるメリットとして、およそ25兆円とも言われるアングラマネーを捕捉することが可能になる。方法は、銀行カードやクレジットカードなど、おカネの出し入れに関連するものは、すべて国民ひとりひとりに割り振った番号で登録しなければ作れないルールにする。支出だけでもガラス張りにすれば、所得はごまかせなくなる。

<社会的公正の確保>

・財産権の保障
「最低限の生活保障」として、中央政府は真の弱者を所得基準と資産基準によって明確に定義し、公正な行政の前提として所得調査・資産調査を行う。このためIT社会のインフラである国民総背番号制度(社会保障番号制を活用)を早期に導入する。その上で、国は所得再分配機能を担う。総背番号制度を「プライバシーの侵害」等と言って嫌う勢力は、日本国民としてやましさのある者達だけである。

・市場競争の確保
市場犯罪は国益を侵す重大犯罪であるという位置付けをし、市場のルールに違反した者に対する罰則を強化する。司法の面からも、市場規制全体について、「ルール違反はやり得」をなくすために高額の課徴金を課す。

・州政府の役割(道州制を導入)
社会づくりを担当。「振興・誇り・夢」を担う。

・市政府の役割
人づくりを担当する。市は行政の最小単位として、シビルミニマムの確保に責任を持ち、校区ごとのコミュニティの活性化に努める。

このように社会保障の整備について、高橋氏はさまざまな案を出したのだが、ことごとく厚労省に潰されたのであった。構造改革をやったというにはほど遠かったのが現実である。社会福祉に関しては何も進められなかったので、後の政権に後を託したが、尻すぼみになってしまった。改革が不完全なので、さまざまな問題が出ているというのが高橋氏の結論である。

「強い経済」「セーフティネットの充実」のために、構造改革のスピードを上げるべきである。しかし、「アンチ小泉改革」で政権交代をした鳩山政権にそれができるとは思わない。

菅国家戦略相では、埋蔵金を活用することも難しいだろう。あの政権では、チマチマと事業予算の上前をはねるくらいしかできないということだ。

◇日々是語草◇
オレ様の言うことをきかない官僚は許さん!てことですか、小沢さん。
「天皇を政治利用していると批判する者こそ政治利用している」ってどんな理屈ですか。中国共産党のために政治利用しているのはあんただ!!売国奴!!

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2009年8月 9日 (日)

社会保障費削減にも踏み込まなければならない理由

やれやれ・・(何がやれやれだ)
アクセスしてもらうには更新を頑張らなくっちゃね♪

自民党のマニフェストが嘘くさいのは、「2010年度後半の年率2%成長の実現」「10年間で家庭の手取りを100万円増やす」の具体策が示されていないことだ。竹中氏が言うように、経済成長重視の「上げ潮派」と敵対していた増税による財政再建派が、とうてい成長の道筋を示せるとは思えない。麻生首相によると、高齢者を納税者にするということだが、雇用環境のパイをどうするんだろうね。

産業振興は1940年体制の遺物だし、景気対策は内需拡大、つまり国民に直接給付して消費拡大するのが一番効果的である。間違った予算の使い方があるなら予算の組み替えをするのは当然のことである。

民主党は「民主、租税特別措置3割廃止で1兆円超捻出」するとしている。租税特別措置は、景気対策として業界支援が中心だが、「年間5兆円を超え、約350項目にもなる減税措置」には落とし穴がたくさんある。言うまでもないが、予算は業界の要請を受ける族の利害調整が大きな影響力を持つ。しかし、道路特定財源が象徴するように、増税の場合は「暫定」と言いながら一向に本則に戻す気配はないし、租税特別措置による減税措置の「暫定」については、期限切れが近付くと業界が族の先生をさらに肥え太らせる装置ともなっている。参照:租税特別措置法で2倍払わされているガソリン税

とにかくわかりにくい。
族と官僚が利権を潜り込ませてきた特別措置について、民主党には徹底的に手を突っ込んでもらいたい。

竹中平蔵氏 経財白書に見る小泉改革の真相

 所得格差に関しては、もう1つ興味深い指摘がある。格差の要因を「世代間賃金格差」「世代構成の変化」「世代内格差」で説明したものである。3つの要因はそれぞれ「制度がもたらす(改革が進んでいないから生じる)格差」「高齢化による格差」「競争がもたらす格差」と読み替えられる。

 白書による分析では、「制度」と「高齢化」による格差が拡大し、競争がもたらす格差はむしろ縮小している。これは「規制緩和下の競争で格差が拡大した」という、昨今の情緒的議論とは大きく異なる。

今、NHK討論で、長妻氏が「小泉改革以来、社会保障費が削られて病弊した」と言っていた。「制度がもたらす(改革が進んでいないから生じる)格差」を理解しておかないと、財政再建も成り立たないし、増税して社会保障費に充てれば万事解決すると錯覚してしまう。

自民党も民主党も、錯覚による政治をしようとしているのだからたまらない。

骨太2006の社会保障費2200億円削減は、年々増加する拡大幅の中から2200億円を削る努力をしましょうね、ということであった。毎年1兆円も自然に膨張しているのである!その中から2200億円。医療制度改革は避けて通れぬことであったため、1997年からすでに抑制策に舵が切られていたという。自民党が国民にきちんと説明してこなかっただけなのである。

医療制度は、政治力のある開業医に恩恵を与えてきた。勤務医の苛酷さを思えば、楽な診療をして高額な診療報酬をもらう開業医は、勤務医と一律に考えるのは間違っている。後期高齢者医療制度には、かかりつけ医制度など、医療費削減に貢献する制度も設けられている。役割分担を補完性で考えていけば、高額な医療機器は広域エリアの総合大病院にあればよいということになる。医療費が無駄な機器に費やされていることも多いと聞く。

官僚に削減を任せると、縦割りのセクショナリズムで、局ごとに機械的に削ってしまう。母子加算手当の廃止など、その弊害である。役所というのは、全体の予算からコーディネートするという仕組みにはなっていない。だから、政治が業界の圧力に屈せず、社会保障分野を再構築しなければならないのである。

静岡7区で自民推薦せず=県医師連

 静岡県医師連盟は6日の選対会議で、衆院選の静岡7区で平沼赳夫元経済産業相の支援を受けて無所属で出馬する城内実氏の推薦を決めた。県内8選挙区のうち、6区は自主投票とし、残る6選挙区では自民党候補を推薦する。 (2009/08/06-21:52)

医師会はすでに民主党支持に切り替わっている。城内は全国郵便局長会の全面的バックアップを受けていたが、医師会もついたのか。盤石だね。さすがゼネコンの大ボス平沼氏の弟子だ。

真正保守とは、1940年体制をひたすら守る政治家のことと思っていい。

◆日々是語草◆ 
「みんなの党」参加者と公約要旨

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2009年8月 4日 (火)

福祉と市場を結びつけるのは「社会正義」や「平等性」(ビル・エモット氏)

ビル・エモット氏は「社会支出のために全体の支出を再配分したり税金をより多く使うことは、ソーシャル・ジャスティス(社会正義)やイクオリティ(平等性)の実現に重きを置いている限りは、反市場的ではない」と言っている。

セーフティネットは、ネットを使う必要がないのが一番好ましい。どこまでネットを張るかは国民一人ひとりの応分負担にかかわってくるが、基本的に「社会正義」に基づく税の再配分が求められているのである。これは社会主義とは違う。日本の場合の「肥大化した政府」は、必ずしも「社会正義」を目的とした歳出拡大ではなかった。最大の問題は、行政組織自体の増殖・肥大化が「大きな政府」として存在しているのである。

エモット氏が指摘するのは、特定の既得権者が囲ってきた聖域を壊すことが「規制を緩和する」ということなのであり、パイを大きくしながら「分配機能を高める」ことがセーフティネットを手厚くする鍵なのである。

順序を間違えてはいけない。持続的な強い経済がセーフティネットを可能にする。市場を歪めたままセーフティネットのみ強くしようとすれば、弱者にも負担がのしかかり、結果として「小福祉・高負担」とならざるを得ない。消費税を社会保障費に充てる財務省発信の議論ほどいかがわしいものはない。消費税は地方分権との整合性で論じなければならない。

民間活力を高めることによる市場の原則を重視すること、すなわち経済成長を促すことが最も効果的、かつ機会の平等が保証されるのである。その意味で、市場経済と福祉は一体不可分のものなのである。

<社会正義に反する政官業癒着構造>

政治が特定の組織や業界の圧力団体を保護することは、社会正義に反する。

与党自民党は、高度経済成長を牽引してきた功績がある。しかし、長く権力を持ちすぎたため、既得権を守ることが政治家の仕事となり、官や特定業界を保護することが自民党の「正義」となってしまっていた。改革とは既得権を壊す作業に他ならない。そこから初めて「公平性」が担保される。これからは、小泉氏が身を以て示したように、「守る」政治ではなく、「戦う」政治になっていくだろう。大きな時代の転換期を意識できる政治家のみが、戦う政治に挑んでいく。利益誘導型の政治は、すでに国民から「族」と軽蔑され、NOを突きつけられているのである。

失われた10年の不況と銀行危機、財政再建が待ったなしの瀬戸際になって、小泉改革が打ち出された。自民党の中で政権交代が起こり、古い自民党が組織型からの脱却を図ろうとしたのであった。自民党内で自浄作用があったので、今まで野党の出る幕はなかったのである。

しかし、麻生政権になって、再び「市場の公平性」が歪められ、不況を逆手に取って「民から官へ」の逆行が始まり、既得権者が跋扈し始めた。
たとえ民主党が政権を取っても、既得権の交代が起こるだけだろう。たとえば日教組が権力に近付けば、右傾化していた文科省が吹っ飛ぶかもしれない。とは言っても、制度疲労を起こしている政官業癒着構造を解体する意義は大きい。民主党が労組系の特定支持母体との癒着構造を作り上げ、再び自民党とは違う形の既得権者保護に走れば、その時はまた自民党への政権交代の機運が訪れるだろう。

ビル・エモット 特別インタビュー
「日本の次期総理は英ブレア前首相の貧困層対策に学べ」

言いにくいことをズバズバ斬ってくれているので、気持ちイィー(笑)

ちなみに貧困率の調査をさぼってきた役所が、ようやく調査に着手するというニュースを読んだ。小泉時代から要求しているのにやっと…だ。

自民党マニフェストは、もう捨てていい。さぼってきたツケを今ごろ「やります」と言われたってバカにされているとしか感じない。

野党のマニフェストが出そろったところで後出しジャンケンをするのだから、断崖絶壁に追いつめられた自民党は、大胆な改革案を歯切れ良く出してくると私は間際まで信じていた。が、霞ヶ関政策を踏襲した「検討事項」ばかりが並んでいた。たとえば高齢者医療制度については堅持するが見直し、そんな文言だったと思う。

政策集のトップに「行き過ぎた市場原理主義から決別します」と謳い、はぁ!?(: ̄□ ̄)となって、完璧に自民党には見切りを付けた。改革派は会議で椅子に座っていただけか?

小泉改革の内容もわからず、己の野心のみで小泉氏についてきた麻生は、「小泉改革からの決別」と言い切る度胸もなく、骨太2006を反故にした。選挙の洗礼も受けずに方向転換するのは、支持した有権者への最大の裏切りである。「漢字の読み間違いをあーだこーだ言うのは国民の程度(が低い)」だあ!?(細田幹事長) 
歴代政権から並はずれて無能な麻生執行部に「程度が低い」とは言われたくない。

自民党のマニフェストは読んでも無駄。民主党に大スキャンダルでも起こらない限りは民主党が政権を取るので、あんなものはただの紙くずである。なんちゅー資源の無駄遣い。

<エモット氏インタビュー(要点)>

民主党への不安としては、やはり外交を挙げている。インド洋の給油活動を継続するのか撤退するのか鳩山代表はさっそくぶれている。「米国追従からの脱却」は党内をまとめるためのポーズなのか。

(質問)―海外から見て、1年近くに及ぶ麻生政権はどのように映っているのか。ここまでで何か評価すべき点はあったのか。

・日本に追加の景気刺激策が必要だと押し通したことを除けば、功績らしい功績は見当たらない。自民党内の他の誰かが首相をやっていても、同じ決断を下していただろう。

麻生首相は、海外においても、どうしても総理になりたかった人物として紹介されている。昨年の福田辞任後は、首相になる人生において最後のチャンスだったのだろう。麻生氏は首相という立場を果たして楽しめたのか、是非聞いてみたいものだ。

自民党マニフェストの“責任力”という言葉は、これまで約束を果たしてこなかった党の党首の口から出る言葉としてはいくらなんでも不適切だろう。

―各種世論調査では、民主党の優勢が予想されている。自民党から民主党への政権交代の可能性が高まっていることは、欧米ではどのように捉えられているのか。

・そもそも日本の政治は二大政党というわけではなく、劇的な政策の転換はありえない。(不安視していない)

・海外での議論は、政治的なグリッドロック(行き詰り状態)が解消されるかどうかに集中している。今度こそ政策履行能力を持つ政権が誕生することを期待してやまない。

―民主党のマニフェスト(政権公約)をどう評価する?

・方向性は、非常に適切。家計消費の弱体化、15年に及ぶデフレ問題の長期化、格差の拡大という日本の構造問題を考えれば、社会保障給付費に限らない幅広い意味での社会支出を増やし、ウェルフェア・ステイト(福祉国家)を目指す方向性は正しい。特に、政府による貧困層救済のためのシステムの構築は急務だ。

―日本に限らず、世界的に「大きな政府」の機運が高まっている。今回の民主党のマニフェストも、その流れに乗っている。こうした潮流をどう見ているか。

・福祉と市場は分けて考える必要がある。社会支出を増やすことは、アンチ・マーケット(反市場的)なのかといえば、必ずしもそうではないはずだ。社会支出のために全体の支出を再配分したり税金をより多く使うことは、ソーシャル・ジャスティス(社会正義)やイクオリティ(平等性)の実現に重きを置いている限りは、反市場的ではない。

ただ規制緩和の流れを逆行させる、あるいは民営化の流れをひっくり返すようなことがあれば、それは間違いなく反市場主義の発露であり、将来の経済成長の芽を摘む危険な行為だ。日本についていえば、郵政民営化が“リバース”されるようなことがそれに当たる。

.....鳩山民主党も麻生自民党も「アンチ市場主義」だから、どっちもダメじゃん。

<ブレア前首相に学べ>

・市場主義と社会正義とのあいだのバランスを取るための良いターニングポイントだと前向きに考える必要がある。

・一例を挙げれば、1999年の最低賃金制度の再整備とその後の引き上げだ。当時、私は「エコノミスト・ロンドン」の編集長であり、最低賃金の引き上げは企業経営者の雇用意欲を削ぎ、失業率の上昇を招くだけだと警鐘を鳴らしたのだが、結果として、そのような事態には陥らなかった。

最低賃金引き上げについては、私もまったく同じ感想を持っている。
社民・共産の「弱者救済」ということではなく、経済成長戦略の重要なファクターとなり得る。内需拡大には、直接給付が最も公平で効果がある。実際、最低賃金しか払えない企業のパーセンテージはきわめて少ない。(しかし、いきなり1000円は難しいだろう)

・(「負の所得税」の考え方に基づく)勤労者向けの給付つき税額控除制度もそうだし、職業訓練も強化し、あわせて産業活性化策も打った。総合的に練られた貧困層対策をブレア政権は実行したのだ。

・そもそも高齢化という現実を考えれば、好き嫌いは別にして、日本は欧州的な福祉国家に近づいていくしかない。

麻生首相は「中福祉」「中負担」と言いつつ、消費税増税しか具体策を示さない。増税できないからじゅうぶん手当できないという理屈だ。それどころか麻生内閣の「基本計画2009」で社会保障が破綻するおそれがある。

....続く

◆日々是語草◆ 
民主党主導の日教組教育のおそろしさ

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