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2013年2月25日 (月)

浜田宏一教授の「名目賃金は上がらないほうがいい」の意味。デフレ脱却経路について。

2013.1.20

この内容について補足したいとメモしておいたところ、お約束通り池田信夫氏が、浜田氏は名目賃金は上がらないほうがいいと言っている!トンデモだ!結論、金融緩和は不況の解決にならん!(大筋大意)とブロゴスに書いていた。相変わらず、デフレは不況とイコールと思っているんだね・・・。

(自分のツイートに書き足し)
浜田ゼミにいながらあなたは何を学んだのか。浜田先生をただの時代遅れのケインジアンだと。リバタリアンのあなたには「失業者への思いやり」はなかった。ハイエクの日銀不要論が正しいと思い込んでいるだけじゃないか。。◆池田信夫 blog : 浜田先生の思い出

池田信夫氏は、金融政策も「国家管理」と言い、雇用改善のための金融政策(フィリップ曲線で実証)も「国家社会主義」と言う。彼の説は衒学(上っ面の知識ひけらかし)にすぎない。国が通貨発行権をもっているのだから通貨政策をコントロールのは当たり前だ!

インタゲ政策について、景気を綱に例え「綱引きは引くことは出来るが押すことは出来ない」という批判があった。つまり金融政策は抑制しかできないと。池尾教授が自分が言い出した上手い例えだとツィートしていたのを見たが、抑制は金融引き締め、押すのは「期待インフレ」と財政拡大の一体化政策だ。財政と金融どちらに偏っても弊害がある。

「構造改革派」はとことん財政危機を煽り、財政拡大も金融緩和も反対。無能な正社員をクビにすりゃ需要は拡大するのか?彼らの言う「構造問題」とは、サプライサイドにあると。潜在需要も認めない。ハイパー失業率拡大策を「自然淘汰」とうそぶく「冷血識者」。池田氏なんてデフレ=不況と定義。アウト!

◆超円高とは

まず「超円高」の認識から始めなくてはならない。
野口悠紀雄氏などは、実質実効為替レートでは日本は今でも円安なんだという。いやいや、実質実効為替相場は消費者物価で計算されていることに落とし穴がある。実態は浜田先生が言うとおり

円高でエルピーダメモリがつぶれ、奇跡と言われた高度成長を担っていた輸出産業、ソニー、パナソニック、シャープなどが苦しんでいるのは、超円高のせいです。円高はドルに対して円の価値が高過ぎ、デフレはモノに対して貨幣の価値が高過ぎる。

為替とは言うまでもなく貨幣の相対で決まる。
各国のベースマネーの絶対量を比較するのではなく、変化量を比較しないと、金融緩和が十分か否かを論じることはできません」と浜田氏の言うとおりである。
リーマンショック以後、各国は渾身の金融緩和策を採り、米国もスタグフレーションが来る来るとオオカミ学者に脅されながらも、デフレを回避した。米国の失業率が高いのは移民政策にも関係しているので、日本の失業率の数字とは単純に比較できない。
日本は、時あたかも増税・財政再建至上主義の与謝野が経済政策の実権を握り、サブプライムローンの直接の被害は少なかったにも関わらず、麻生政権はデフレを長引かせてしまった。

今日本が直面している問題は、経済が潜在生産能力のはるか下のところで運行していることです。金融を引き締めし過ぎていて、日本経済は実力を発揮し切っていない。つまり、失業、過剰設備の存在のために需給ギャップがあって、潜在生産能力の一部が失われているのです。

需要(カネ回り)が落ちれば企業収益が悪化し、潜在生産能力も失われる。池田氏・池尾氏のイケイケコンビは、金融緩和してもカネは死蔵されているのだから、これ以上ジャブジャブにしたら金利が上がり、国債暴落、ハイパーインフレになると言っている。国の借金がチャラになるから、いっそ焼け野原になったらいいとさえ言う。国の借金とは国民の資産なのだが、この人は一体何を言っているのだろう。戦後のハイパーインフレの原因は超過需要だったんだけど。

少子化になろうが、潜在需要は高いのだ。それは非自発的失業者が多いことが証明する。デフレの弊害は、需要が落ちて雇用のパイが縮小することにある。

しかし、そういう人たちは、債券市場だけ見ていて、株式市場や不動産市場を見ていない。20世紀が生んだ大経済学者の1人で、恩師のジェームス・トービンは、企業の資産と市場での評価を測る指標として「q理論」を提唱しました。

この理論では、株式や不動産への投資機運の高まりが、株価を上昇させ、その結果企業がより投資しやすくなるということを指摘しています。日本でもこの効果が、本多祐三教授らによって確かめられています。

◆デフレ脱却の経路について

岩田規久男氏も「担保となる資産価値の上昇」を挙げている。「資産市場が変化することによって、モノの世界の需要が増えるという経路だ」と。

岩田規久男教授の『デフレ脱却のメカニズム』
・日銀が3%±1%のインフレ目標にコミット
・長期国債買いオペによるマネタリーベースの拡大
・予想インフレ率上昇
・予想実質金利低下=実質金利-予想インフレ率
・株価上昇、円安
・消費、投資、輸出増加 貨幣の取引流通速度上昇
・デフレ脱却

◆名目賃金について

 物価が上がっても国民の賃金はすぐには上がりません。インフレ率と失業の相関関係を示すフィリップス曲線(インフレ率が上昇すると失業率が下がることを示す)を見てもわかる通り、名目賃金には硬直性があるため、期待インフレ率が上がると、実質賃金は一時的に下がり、そのため雇用が増えるのです。こうした経路を経て、緩やかな物価上昇の中で実質所得の増加へとつながっていくのです。

  その意味では、雇用されている人々が、実質賃金の面では少しずつ我慢し、失業者を減らして、それが生産のパイを増やす。それが安定的な景気回復につながり、国民生活が全体的に豊かになるというのが、リフレ政策と言えます。

リフレ派が一番声を大にして主張するのが、雇用の改善ということ。

よく「名目賃金が上がらないとダメ」と言われますが、名目賃金はむしろ上がらないほうがいい。名目賃金が上がると企業収益が増えず、雇用が増えなくなるからです。それだとインフレ政策の意味がなくなってしまい、むしろこれ以上物価が上昇しないよう、止める必要が出て来る。こうしたことは、あまり理解されていないように思います。

要するに、デフレでは実質賃金は高くなる。インフレ目標を決めて緩和を始めると、市場が動き出し、円高是正・株価が上がり始める。すると資産価値が上がり、実質金利は低くなり、企業の投資環境が良くなってくる。ここまではまだ賃金は硬直したまま。

実質=名目ー予想インフレ なので、予想インフレ率が高くなれば実質賃金は低い状態になる。名目=実質+予想インフレ率なので、マイナスだった市場の予想がプラスに転ずれば名目も上がっていくが、ちょっと待てと。デフレでは実質が異常に高くなっている。だから需給ギャップが大きくなる一方だった。本当の景気回復は、担保となる資産価値が上がってからなので、企業の投資が始まってからの話。

◆金融緩和と雇用改善

すぐに実質賃金が上がらなくても、投資が始まれば雇用のパイが大きくなっていく。企業の「予想需要率」も高まるからだ。

浜田先生が失業者への思いやりを持たなければ金融政策の意味がないと感じたのは、そういうこと。リフレ派の主張はまず雇用なのである。これは社会主義政策か?だったら国の通貨発行権も取り上げなきゃね、という話よ。雇用を連呼していた総理大臣がいたが、悲しくなるほどデフレ脱却の道筋がわかっていなかった。

繰り返すが、潜在需要は大きいのである。手持ちのカネ(給与)が少なくても、雇用市場が安定してくれば失業の不安もやわらぎ、ローンも組むことができる。カネがあれば、欲しいものはたくさんある。欲しい物を我慢していない?我慢している人が多いデフレでは、「安い物しか買えない」という切実な現実がある。需要も落ちるのは当たり前。この我慢の結果としての需要減だけを見て、日本はもう成長しないと決めつける財政再建派(デフレ維持派)は、本当に誤誘導していると思う。

ということで、池田信夫氏の反論はそもそも為替とデフレの意味がわかっていないので、論評に値しないということである。

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