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2010年1月26日 (火)

政治資金規制法違反を甘く見ることなかれ

石川容疑者の父「小沢さんが会見で言ったとおりでしょう。息子が犯したミスでございます」(きっぱり)

会見を設定し、父親がテレビカメラの前でわざわざ息子の虚偽記載(単純ミスではない)を認め、小沢氏をかばうのは一種異様な光景であった。逆にこのきっぱりした様子が、かつての田中角栄・金丸の秘書の結末を想像させた。石川氏は「証拠隠滅」(特捜部の表現)されなくてよかった。家族はいろいろな意味で守られるだろう。

検察幹部「小沢さんは嘘に嘘を重ねて支離滅裂になっているような気がする」(ニュースZERO)

これもリーク?(笑) 記者に対して語った“感想”だね。

小沢氏の言い分は、不動産購入の原資について「献金」「銀行借入れ」「個人資産」と、短期間にこれだけ変遷している。信じろというほうが無理である。

小沢氏はまた「虚偽記載(資金操作)をして私にはなんらメリットがない」と言っているが、当時下っ端の石川元秘書が複雑な虚偽記載をするメリットは、小沢さん以上にない。小沢さんは「慣例的に(不動産取得時に)銀行融資で購入していた」とも弁明している。だから、石川氏に報告を受けても「いつものこと」として了承したと。つまり小沢さんの言い分としては、虚偽記載は石川氏の判断でやったということ。聴取書には「秘書が勝手にやった」として記録され、その書き方に異論はあったが、渋々小沢氏は署名したということだ。

ところで、ツイッターにはあまり時間を取られたくないので、「書きたいことがある時に一人勝手につぶやく」やり方をしていきたい。タイムラインを「読む」のはほとんど諦めている。字数制限もあって、コミュニケーションツールとしてはやりにくくて仕方ない。でも、私のツイートに対してフォロワー以外の人からも「返信ボックス」に入ることが多くなった。丁寧に返事していたんだけど、いやみっぽいコメントも入っているところを見ると、どうやら政治スタンスの違う人達がウォッチしているらしい。

見るのをや~めたってことで、気になったことをブログに書くことにする。

政治資金規制法違反など(微罪なので)単に帳簿の修正をするだけで何も問題はない」という意見が寄せられた。

政治資金規制法違反については形式犯・微罪との通念があるので、そこから検察の横暴という批判が起こり、ひいては恣意的な検察権力の介入ではないかという疑念も起こっている。

私自身も検察のやり方には、日歯連献金事件や鈴木宗男・佐藤優氏の取り調べ、ホリエモン事件等々、大いに疑問を持っている。しかし、小沢氏の問題に限って検察批判の方向に持って行こうとするのは、逆に恣意的な世論操作だと思う。少なくとも捜査中の今は、「検察が悪い」「小沢が悪い」「(小沢さんに都合の悪いニュースを流す)マスコミが悪い」という議論は無意味かつ虚しいことなのである。検察が証拠固めを終えれば、いくら本人が否定していても起訴・立件するし、裁判で決着がつくことである。

政治的スタンスが違っていても、今は誰もが捜査の行方を見守るしかない。

検察にとって最悪なのは、秘書らの「虚偽記載」のみで終わることだろう。ゼネコン汚職立証を狙っていると思われるが、当時職務権限がなかった小沢氏なので収賄罪は無理。そこで斡旋利得罪での立件を視野に入れているはずである。ところが、この証明が難しい。最近出ていたニュースでは、ゼネコン業者に振り分けて規制額以上のパーティ券を「なかば強制的に」購入させていたというものがあったが、どこまで立証できるか…。これ以上は詮索できない。

検察の狙い筋がもし外れたとしても、「故意の虚偽記載は形式犯・微罪にすぎない。修正で済まされる」という方向は、近年では変化している。なぜなら政治家の資金の流れが「法の網の目をくぐる形」で巧妙になっているからである。ほとんどの国会議員は清廉潔白だろう。小沢氏は、どこをどうひっくり返しても真っ黒けである。

法的に犯罪として立証できるかどうかは別として、小沢氏には倫理観が問われることが多すぎる。青木愛議員の秘書達に大久保容疑者が「上納金」を強要していたという、青木氏が参院時代の元秘書の証言もあった。もし嘘なら小沢氏側はこの証言者を訴えればいい。

小沢氏が陸山会代表として不動産を買っていたことの反省として、政治資金規正法が改正され、政治資金では不動産購入はできなくなった。

小沢氏の不動産問題をジャーナリストとして追及してきたのは、長谷川学氏である。不動産疑惑の取材結果を週刊現代に寄せ、その後小沢氏から裁判を起こされたが、小沢氏側が負けている。小沢氏は不動産売買で、奥さんの口座を利用し、家族で資金を回すような“操作”もしているのである。小沢氏は奥さんの任意聴取に難色を示しているという。

霞が関の体質として、御用記者と癒着し、追い落としたい政治家などの悪いことをリークすることは日常茶飯事である。長谷川幸洋氏の「日本国の正体」(山本七平賞受賞)に詳しい。特捜部からのリークが全くないというのもにわかには信じがたいが、基本的にはジャーナリストや記者が資料や関係者から丹念に取材して出てきたものがニュースとなり、雑誌記事となる。スクープ合戦では、トバシも多くなるので要注意である。元共同通信記者の青山繁晴氏も経験談としてそのことを裏付けていた。記者やジャーナリストがしつこく捜査関係者に取材し、「否定しなかったことは肯定なんだな」というふうに感触を得て記事を書くので、報道されていることが全部真実ではないだろうし、嘘でもないのだろう。

一つ言えることは、法で裁くことができない問題は、国会議員なら選挙という手段によって有権者が判断するということである。支持率急落の次は、落選という最も重い“裁き”が待っている。だから、疑惑には真摯に答えなければならないのである。

政治資金は寄付と税金によって成り立つ。政党助成金は国民一人当たり250円の税金によって政治活動が支えられている。公金である限り、これを個人の資産形成、あるいは自分が代表の政治団体を通過させてロンダリングするなどといったことがあってはならない。1円まで公表義務を負わせようとしたのは、民主党自身ではないか。

公金の扱いは、最もシビアなものである。法の抜け道があるならその穴を塞ぎ、法で補えないところは自ら身を正す。これが政治家としての姿勢である。小沢幹事長は、虚偽記載を秘書のせいにするのではなく、関与の証明があるなしにかかわらず、秘書が起訴された時点で責任を取って辞任すべきである。それが民主党を守ることにつながる。清廉潔白な民主党議員達にこれ以上の迷惑はかけるな!!

「修正でいいではないか」と反論する人達は、このような公金の意味をまったく考えていない。近年は重大犯罪として立件する方向にシフトしてきているのである。もちろん単純ミスや悪質でなければ起訴までいくことはないが、政治家の地位を利用して利得を受ける行為が内在している時には、ワイロ罪ではなく、規制法で追及するということだ。田中角栄以来、ずっと金権政治を追及してきた立花隆氏は、政党助成金が不正に流れているとなれば「ワイロ以上の大スキャンダル」だと言う。

サンプロでは、元東京地検特捜部長の宗像氏が番組後に検察批判をしていたとかで、「やっぱり検察がおかしい」と郷原氏らに詰め寄られていたが、宗像氏は不機嫌に「私は中立。(郷原氏に向かって)あなたはバイアスがかかっている」と断じていた。番組中、近年は贈収賄や脱税が政治資金規制法違反として積極的に捜査されるというようなことを言っていた。

坂井隆憲議員(自民党)の事件を記憶しているだろうか。
2003年に献金の不正処理で捜査され、政治資金規正法違反容疑で懲役2年8ヶ月の実刑判決を受けた。控訴したが自ら取り下げ、量刑が確定した。Wikipediaで確認すると「公設秘書給与約2400万円を国から騙し取った詐取容疑」もあった。当時、衆議院本会議にて逮捕許諾決議可決し逮捕され、自民党から除名処分を受けている。自民党は、少なくとも検察に圧力をかけてもいないし、「微罪だ」「検察の横暴だ」とわめいたりはしていない。要請を受けて逮捕許諾決議も可決した。

小沢氏のケースが「秘書が勝手にやったこと」として罪を免れるなら、整合性がとれない。仮にそうであったとしても、厳しく倫理性が問われるだろう。「透明性」に自信満々だった小沢氏が「確認していなかった」と前言を翻すのは腑に落ちない。不動産を買いあさっていた頃からの小沢氏の常套手段だったことは、すでに調べがついているのである。ベテランでもない石川秘書が独断で複雑な操作をするとは信じがたい。今後は、小沢氏の虚偽記載への関与が焦点になってくるだろう。

◇日々是語草◇
ちょっとつぶやく程度に

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