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2009年8月 4日 (火)

福祉と市場を結びつけるのは「社会正義」や「平等性」(ビル・エモット氏)

ビル・エモット氏は「社会支出のために全体の支出を再配分したり税金をより多く使うことは、ソーシャル・ジャスティス(社会正義)やイクオリティ(平等性)の実現に重きを置いている限りは、反市場的ではない」と言っている。

セーフティネットは、ネットを使う必要がないのが一番好ましい。どこまでネットを張るかは国民一人ひとりの応分負担にかかわってくるが、基本的に「社会正義」に基づく税の再配分が求められているのである。これは社会主義とは違う。日本の場合の「肥大化した政府」は、必ずしも「社会正義」を目的とした歳出拡大ではなかった。最大の問題は、行政組織自体の増殖・肥大化が「大きな政府」として存在しているのである。

エモット氏が指摘するのは、特定の既得権者が囲ってきた聖域を壊すことが「規制を緩和する」ということなのであり、パイを大きくしながら「分配機能を高める」ことがセーフティネットを手厚くする鍵なのである。

順序を間違えてはいけない。持続的な強い経済がセーフティネットを可能にする。市場を歪めたままセーフティネットのみ強くしようとすれば、弱者にも負担がのしかかり、結果として「小福祉・高負担」とならざるを得ない。消費税を社会保障費に充てる財務省発信の議論ほどいかがわしいものはない。消費税は地方分権との整合性で論じなければならない。

民間活力を高めることによる市場の原則を重視すること、すなわち経済成長を促すことが最も効果的、かつ機会の平等が保証されるのである。その意味で、市場経済と福祉は一体不可分のものなのである。

<社会正義に反する政官業癒着構造>

政治が特定の組織や業界の圧力団体を保護することは、社会正義に反する。

与党自民党は、高度経済成長を牽引してきた功績がある。しかし、長く権力を持ちすぎたため、既得権を守ることが政治家の仕事となり、官や特定業界を保護することが自民党の「正義」となってしまっていた。改革とは既得権を壊す作業に他ならない。そこから初めて「公平性」が担保される。これからは、小泉氏が身を以て示したように、「守る」政治ではなく、「戦う」政治になっていくだろう。大きな時代の転換期を意識できる政治家のみが、戦う政治に挑んでいく。利益誘導型の政治は、すでに国民から「族」と軽蔑され、NOを突きつけられているのである。

失われた10年の不況と銀行危機、財政再建が待ったなしの瀬戸際になって、小泉改革が打ち出された。自民党の中で政権交代が起こり、古い自民党が組織型からの脱却を図ろうとしたのであった。自民党内で自浄作用があったので、今まで野党の出る幕はなかったのである。

しかし、麻生政権になって、再び「市場の公平性」が歪められ、不況を逆手に取って「民から官へ」の逆行が始まり、既得権者が跋扈し始めた。
たとえ民主党が政権を取っても、既得権の交代が起こるだけだろう。たとえば日教組が権力に近付けば、右傾化していた文科省が吹っ飛ぶかもしれない。とは言っても、制度疲労を起こしている政官業癒着構造を解体する意義は大きい。民主党が労組系の特定支持母体との癒着構造を作り上げ、再び自民党とは違う形の既得権者保護に走れば、その時はまた自民党への政権交代の機運が訪れるだろう。

ビル・エモット 特別インタビュー
「日本の次期総理は英ブレア前首相の貧困層対策に学べ」

言いにくいことをズバズバ斬ってくれているので、気持ちイィー(笑)

ちなみに貧困率の調査をさぼってきた役所が、ようやく調査に着手するというニュースを読んだ。小泉時代から要求しているのにやっと…だ。

自民党マニフェストは、もう捨てていい。さぼってきたツケを今ごろ「やります」と言われたってバカにされているとしか感じない。

野党のマニフェストが出そろったところで後出しジャンケンをするのだから、断崖絶壁に追いつめられた自民党は、大胆な改革案を歯切れ良く出してくると私は間際まで信じていた。が、霞ヶ関政策を踏襲した「検討事項」ばかりが並んでいた。たとえば高齢者医療制度については堅持するが見直し、そんな文言だったと思う。

政策集のトップに「行き過ぎた市場原理主義から決別します」と謳い、はぁ!?(: ̄□ ̄)となって、完璧に自民党には見切りを付けた。改革派は会議で椅子に座っていただけか?

小泉改革の内容もわからず、己の野心のみで小泉氏についてきた麻生は、「小泉改革からの決別」と言い切る度胸もなく、骨太2006を反故にした。選挙の洗礼も受けずに方向転換するのは、支持した有権者への最大の裏切りである。「漢字の読み間違いをあーだこーだ言うのは国民の程度(が低い)」だあ!?(細田幹事長) 
歴代政権から並はずれて無能な麻生執行部に「程度が低い」とは言われたくない。

自民党のマニフェストは読んでも無駄。民主党に大スキャンダルでも起こらない限りは民主党が政権を取るので、あんなものはただの紙くずである。なんちゅー資源の無駄遣い。

<エモット氏インタビュー(要点)>

民主党への不安としては、やはり外交を挙げている。インド洋の給油活動を継続するのか撤退するのか鳩山代表はさっそくぶれている。「米国追従からの脱却」は党内をまとめるためのポーズなのか。

(質問)―海外から見て、1年近くに及ぶ麻生政権はどのように映っているのか。ここまでで何か評価すべき点はあったのか。

・日本に追加の景気刺激策が必要だと押し通したことを除けば、功績らしい功績は見当たらない。自民党内の他の誰かが首相をやっていても、同じ決断を下していただろう。

麻生首相は、海外においても、どうしても総理になりたかった人物として紹介されている。昨年の福田辞任後は、首相になる人生において最後のチャンスだったのだろう。麻生氏は首相という立場を果たして楽しめたのか、是非聞いてみたいものだ。

自民党マニフェストの“責任力”という言葉は、これまで約束を果たしてこなかった党の党首の口から出る言葉としてはいくらなんでも不適切だろう。

―各種世論調査では、民主党の優勢が予想されている。自民党から民主党への政権交代の可能性が高まっていることは、欧米ではどのように捉えられているのか。

・そもそも日本の政治は二大政党というわけではなく、劇的な政策の転換はありえない。(不安視していない)

・海外での議論は、政治的なグリッドロック(行き詰り状態)が解消されるかどうかに集中している。今度こそ政策履行能力を持つ政権が誕生することを期待してやまない。

―民主党のマニフェスト(政権公約)をどう評価する?

・方向性は、非常に適切。家計消費の弱体化、15年に及ぶデフレ問題の長期化、格差の拡大という日本の構造問題を考えれば、社会保障給付費に限らない幅広い意味での社会支出を増やし、ウェルフェア・ステイト(福祉国家)を目指す方向性は正しい。特に、政府による貧困層救済のためのシステムの構築は急務だ。

―日本に限らず、世界的に「大きな政府」の機運が高まっている。今回の民主党のマニフェストも、その流れに乗っている。こうした潮流をどう見ているか。

・福祉と市場は分けて考える必要がある。社会支出を増やすことは、アンチ・マーケット(反市場的)なのかといえば、必ずしもそうではないはずだ。社会支出のために全体の支出を再配分したり税金をより多く使うことは、ソーシャル・ジャスティス(社会正義)やイクオリティ(平等性)の実現に重きを置いている限りは、反市場的ではない。

ただ規制緩和の流れを逆行させる、あるいは民営化の流れをひっくり返すようなことがあれば、それは間違いなく反市場主義の発露であり、将来の経済成長の芽を摘む危険な行為だ。日本についていえば、郵政民営化が“リバース”されるようなことがそれに当たる。

.....鳩山民主党も麻生自民党も「アンチ市場主義」だから、どっちもダメじゃん。

<ブレア前首相に学べ>

・市場主義と社会正義とのあいだのバランスを取るための良いターニングポイントだと前向きに考える必要がある。

・一例を挙げれば、1999年の最低賃金制度の再整備とその後の引き上げだ。当時、私は「エコノミスト・ロンドン」の編集長であり、最低賃金の引き上げは企業経営者の雇用意欲を削ぎ、失業率の上昇を招くだけだと警鐘を鳴らしたのだが、結果として、そのような事態には陥らなかった。

最低賃金引き上げについては、私もまったく同じ感想を持っている。
社民・共産の「弱者救済」ということではなく、経済成長戦略の重要なファクターとなり得る。内需拡大には、直接給付が最も公平で効果がある。実際、最低賃金しか払えない企業のパーセンテージはきわめて少ない。(しかし、いきなり1000円は難しいだろう)

・(「負の所得税」の考え方に基づく)勤労者向けの給付つき税額控除制度もそうだし、職業訓練も強化し、あわせて産業活性化策も打った。総合的に練られた貧困層対策をブレア政権は実行したのだ。

・そもそも高齢化という現実を考えれば、好き嫌いは別にして、日本は欧州的な福祉国家に近づいていくしかない。

麻生首相は「中福祉」「中負担」と言いつつ、消費税増税しか具体策を示さない。増税できないからじゅうぶん手当できないという理屈だ。それどころか麻生内閣の「基本計画2009」で社会保障が破綻するおそれがある。

....続く

◆日々是語草◆ 
民主党主導の日教組教育のおそろしさ

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