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2009年8月10日 (月)

保守右派は自縄自縛に陥っている(1)

<外交は強硬でも追従でも国益を損なう>

「国家」中心の思想を前面に出す今時の“保守”は、判断基準が狭い。
日中戦争から続く大東亜戦争を「侵略戦争」だったと言おうものなら、「売国奴」のレッテルを貼られかねない。

「侵略戦争」はもともと誤訳であって、正しくはアグレッシヴ ウォー、つまり先制攻撃という意味合いを持つ言葉である。日本のアグレッシヴウォーは「自衛戦争」「植民地解放戦争」と保守右派は主張している。戦争を美化することは慎むべきだし、過剰に自虐的になるのも間違っている。だから、私は右も左も感情移入できない。

どこの国も同じ歴史観を持つことはあり得ないことをまず前提として、いくらこちらの正当性を訴えたところで、中国・朝鮮相手では言い訳にしかならない。冷徹な外交戦略あるのみ。外交において歴史認識の正誤はさほど問題ではない。外交とは、国益対国益の緊張緩和と妥協と利害調整が仕事なのである。

日本は戦争放棄している。法律上自国の軍も持たない。なおのこと外交戦略にたけていなければならないのに、主権侵害された敵性国家に対しては制裁を叫ぶのみである。戦争も辞さない態度表明として国家制裁が行われるのであって、武力行使も交渉も米国頼みの日本は、対北朝鮮において自ら退路を断ってしまっているのではないか。

かたや「自虐史観」の持ち主であっても、外交では謝罪してはいけない。村山談話や河野談話が責めを負うのは、彼らの歴史認識そのものではなく、「謝罪した」の一点に尽きる。

クリントン元大統領が北朝鮮に囚われていた女性二人を奪い返した。
きっと大きな見返りを与えたのだろう。北朝鮮は米国との直接交渉の道筋をつけることが目的だったと思うので、双方満足な結果であったに違いない。ひるがえって我が日本政府は・・・と書き出すと、虚しさにとらわれるだけなので、これ以上は書かない。

<民主党は売国集団?>

SAPIOで八木秀次教授が「鳩山『次の内閣』閣僚たちの政治スタンスを徹底検証」を書いていた。

保守の概念は広い。元来、愛国心のある保守は、自ら保守などと名乗らなかった。戦争に向かう過程で、空気のように存在していた愛国の情は、上から規定される愛国心に変質していった。ゆえに保阪正康氏は、あの時代へのアンチテーゼとして、「下からの愛国心」と対比させているのである。司馬遼太郎氏もまた当時の軍国主義を「バケモノ」のように嫌悪していたのである。愛国心は国が要求するものではなく、誰にも干渉を受けないきわめて個人的なものであるはずだ。

昨今の「国家中心」の保守イデオロギーは、自分達が国家に成り代わって価値観を規定している。そこから外れた者は排除する心理をもっているので、彼らのアジテーションには全体主義の胸苦しさを感じる。

八木氏もまた民主党を売国勢力と切り捨てたいようだ。私も「民主党が主導する日教組教育のおそろしさ」を危惧するものだが、八木氏のような分類はしない。今でもじゅうぶん日教組教育が浸透しており、民主党が政権をとれば、文科省と文教族が徹底抗戦するくらいだろう。

八木氏は民主党「政治スタンス」マトリックスとして横軸と縦軸を取り
横軸の右に「国家重視」、左に「市民重視
縦軸の上に「日米同盟重視」、下に「アジア外交重視

保守のめがねに叶うのは、国家重視と日米同盟重視の右上に位置する議員達ということになる。誰が入っているかというと、野田、原口、あるいは線状にいる野田グループの福山、直島、藤村、浅尾(離党)、長浜あたりだろう。左下の最悪wなのは、旧社会党系の横路グループ。最悪最凶に異論はないけれど、それぞれ有権者が選んで当選してくるのだから、民意としてそういう勢力の存在も容認せざるを得ないのではないか。

<政治スタンスマトリックスに欠けているもの>

八木氏の分類を見て、おかしいと感じないか?
国家は否定しようもなく存在しているし、市民重視もコミュニティ尊重という点で正しい。自由主義社会では市民プロ活動も自由である。日米同盟も重要だし、アジア外交も重要なことに変わりない。

この軸に欠けているのは、3次元の立体的な視野である。
それは何か。「国家運営」のあり方である。

国を成り立たせるエネルギーは、民が生み出す経済力に支えられている。エネルギーが枯渇すれば、残るのは国柄ではなく国の殻だけということになりかねない。

国家運営という観点から上から見ると、右の「国家重視」に行けば「国家統制」になり、左の「市民重視」に向かえば「民間主導」になる。否応なく国境なき市場を形成するグローバル化の中で、米国もアジアも同一円周上に存在している。極に分かれているのではなく、すべては現実的な選択の中で収斂されていくものだということがわかるだろう。

>>>分けます。(2)に続く

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