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2009/07/09

「不毛地帯」は、今の時代とシンクロしている

昼間はダラダラと仕事&雑用、ブログを更新する夜の時間を読書にあてているので、思うようにページが進まない。長谷川幸洋氏の「日本国の正体」も並行して読んでいるところ。あ、SAPIOの百合子たんの論文も読まなくっちゃ。

「不毛地帯」のシベリア抑留時代を読むのはしんどかった。
しかし、歴史の真実は消すことはできないし、忘れることもできない。

小説では、日米開戦の真珠湾奇襲作戦立案にも携わった元参謀が、日本帰還後に商社マンとなり、軍参謀として培った戦略的な手腕をもって新規事業を開拓していく姿を描いている。

防衛庁の戦闘機発注を巡り、政官業癒着の泥沼に自ら足を踏み入れていく。ついには逮捕者を出し、事件はかけがえのない仲間を自殺に追いやってしまう。

商社マンとしての時代背景は昭和34年頃から昭和40年代、日本が繊維から重厚長大産業に転換していく時。パソコンも携帯も小説の中に出てこないのが、時代の流れを感じさせる。家庭を顧みないモーレツ社員が跋扈していた時代であった。

政界、防衛庁を巻き込んだ苛烈なる『黒い商戦』」の2巻目に、こんなセリフがあった。
主人公の元同僚である空幕僚長が、利権をむさぼる防衛庁内局の官房長に向かって言う。

「第一線の苦労を知らずして、あなた方は身の保身、出世のみを考え、都合が悪くなれば人事異動で、将棋の駒のように人を動かし、権力を振るい、政治家と結びついて利権支配のみに汲々としている、腐敗しきった今日の防衛庁の元凶はほかならぬ貝塚さん、あんただ、私は辞めると腹をくくった以上、おめおめとは引き退りませんぞ」

このセリフに溜飲が下がったものだが、貝塚があの守屋事務次官に見え、真に日本の国防を憂える幕僚長が田母神氏に見えたのだった。

あれから半世紀、日本経済は再び産業構造の転換を迫られている。
しかし、防衛庁をはじめ官僚機構は何にも変わっていない、それどころか腐敗が進んでいるではないか。第二のロッキード事件が起こっても不思議ではない。

このセリフを読んだ瞬間、今起こっていることとシンクロしたのである。山崎豊子氏は、まるで今の時代をそのまま30年以上も前に複写していたのである。それは、日本の経済界と政治・官僚機構が、高度成長の果てに動脈硬化を起こしていくことを予見しているようにも私には思えたのであった。

幕僚長がその使命感ゆえに憲法9条に疑問を感じたことは、半世紀たってもほとんど手が付けられていないのである。なんという政治の怠慢であろうか。今後何十年もたって、再び上記のセリフを読んだ時に、まさか「今の時代にそっくり」などと思うことのないように祈るばかりである。

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