安倍政権で佐田行革相が些細な不祥事で事実上更迭され、副大臣の渡辺喜美氏が行革担当相に格上げになった時、とても嬉しかった。実力の程はよくわからなかったが、無派閥を通す変わり者の中堅改革派として注目していた。
打たれる宿命の出る杭の役目を自ら志願した渡辺氏は、今後世論の波に乗ることができるだろうか。
渡辺氏の寄稿論文は必ず目を通しているので、国家ビジョンもある程度理解しているつもりである。
まずは渡辺氏のホームページより「この国のかたち」
私には3人の子供がいる。もちろん女房はひとりだけ。私の子供たちが私ぐらいの年になる頃、日本は一体どうなっているだろうか、とよく考える。
人口も減り続け、資産価格も右肩下がり、相変わらず官僚統制が続いて、みんなで平等に貧しくなっていく「たそがれの国」と化すか。
メルティングポット社会になり、外国語しか通じないゲットーでは蛇頭やマフィアがヤクザを駆逐し経済はハイパーインフレ、弱肉強食、醇風美俗もヘチマもあるもんか、という「支離滅裂の国」になっているか。
公用語は英語、通貨はドル、弁護士の数がやたら多く、何か起こるとすぐ裁判所にもちこまれ、人口の1%が個人資産の半分近くを保有し、すべて大事な決定はワシントンの指示待ちという「51番目のステート」になっているか。
はたまた、文明の中心地域たる中華の周辺異民族として軍事的な庇護と引き換えに貢物をもっていく「朝貢国」になっているか。
どれもイヤだ。やはり日本は、先祖を大事にする心を失わず、死せる人々が正しく祭られ、自由で活力があり、個人が大切にされ、困った時に助け合う醇風美俗が生き続ける国であって欲しい。
官僚統制は歴史上の話になり、総理大臣が政治の世界のスタープレイヤーとしてひとり平均5~6年はその座にあり、官邸主導の政治を行う。総選挙は各党党首が競い合い、次の総理を事実上決める選挙となる。グローバリズムは相対化され、排除もされないが、盲信もされず、国益を第一義として健全なナショナリズムが共通の認識となる。
人々の埋もれたニーズに気づいて、それをビジネスチャンスに生かすことのできた人々は、ジャパニーズ・ドリームの体現者としてリッチになれる。彼らは国に税金を払うだけでなく、様々な公益を増進する活動に積極的に寄付を行い、人々から尊敬を得る。
(略)
ことさらに「我こそが正しい保守」と力まなくとも、底辺から支える穏やかなナショナリズムは、よりよい日本を創造していく原動力になるのである。日本人の公に尽くす民度の高さは、民を信ずることから始まるのかもしれない。そんなことを渡辺氏の文章から感じ取ることができる。
◇
参考になると思うので、最新のVoiceより「『1940年体制』はこう倒す」を簡単にまとめてみる。(――に続く色違いの箇所は私の感想)
1,世界史的な視点でみれば、現在は「ポスト近代」の始まりという、何百年に一度という転換点に立っている。世界経済が急速に一体化しはじめ、金融資産が以上に膨れあがっていった。そして「ポスト近代」が始まったと同時に金融恐慌で大崩壊を始めた。
2,日本の歴史を振り返れば四百年に一度の周期で大変化が起こっている。日本はすでに金融危機を経験し、冷戦崩壊を「近代の終わり」と位置付けるなら、日本はポスト近代においては先頭を走っていたともいえる。
3,歴史に学ぶことが大切。恐慌時、ルーズベルトはワグナー法によって労働者を保護し、高賃金政策をとった。しかし失業率は改善しなかった。(後に第二次大戦をもってリセットされる)
ドイツではヒトラーが労働組合を解散させ、低賃金政策をとった。その結果、5年後には完全雇用をほぼ達成し、経済は絶好調になった。
4,人心が攪乱する時代に入りつつある時、政治が正しく機能することが大切である。父の渡辺美智雄はこう言っていた。「『この人なら、ある程度まではお任せしていい』と国民が思っているときは、国民と政治家とのコミュニケーションは容易になる。しかし、いったんこの関係が崩壊すると、100万回理屈をこねても、国民はまったく政治を受け入れない」
――「任せてもいい」という数値が内閣支持率なのではないか。危機の時であるほど最低50%はないと厳しいかもしれない。オバマ政権はスタートしていないが、現在支持率82%。麻生政権は自民党に不信感が芽生えた最中でのスタートだったので、アンラッキーだったが、その後の支持率急落は首相としての資質までも問うもので、解散総選挙を遅らせたことが判断ミスであったと思う。
5,今ほど「危機管理」が必要な時はない。官僚主導体制では非常時対応策が平常時モードの延長線でしか行われない。対応が早いのはアメリカやヨーロッパの政治主導の国である。
6,試験選抜エリートではなく、選挙選抜の政治家が国家の命運を懸けた国家戦略を立案・実行できるようにする。
――それには人物本位で選べるような選挙制度の見直しや世襲議員の問題を含めた政治改革が絶対に必要になってくる。議員削減して、質を高めよ!マニフェストを争点にする選挙を徹底する。横峯某のような議員を当選させている現状で政治主導が可能なのか。
7,日本の公務員制度は、試験選抜エリートによる利益共同体を徹底して守る仕組みになってしまった。生涯安心システムの身分保障制度になってしまっている。今こそ日の丸官僚を!
――今のままでは良くないと考える若手官僚が、勇気をもって提言し始めている。しかし、上からの圧力によって悲劇も起きている・・・
8,麻生内閣の甘利行革担当相に公務員の「信賞必罰」「民間並みのリストラ」「天下りの根絶」など、給与法身分保障規定の見直しが不可欠である旨の決議文を手渡した。(しかし、麻生政権はやる気がない) 政府にできなければ、われわれ立法府の人間が議員立法をもってやる決意である。
9,社会保障については「1940年体制」とも呼ばれる、大日本帝国が戦争を効率的に遂行するため作り上げた国家社会主義的戦時体制を改めねばならない。→永続性のある制度にするためには、社会保障制度の抜本的改正が必要
――中川秀直氏の「生活安心保障」とも関連してくる。
10,中央集権から大転換する道州制へ。
分権改革を進め、基礎自治体の強化を徹底して図る施策をとっていく。その先にあるのが道州制である。
11,われわれ政治家に必要なもの。
・直勘「将来を見通す洞察力」
・実感「民の竈がわかる感覚」
・大局観「歴史認識」
◇
さて、渡辺喜美は大化けするか。はたまた出る杭は打たれて折れ曲がってしまうのか。どっちかな。
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旗を立てれば勇気のある有志が集ってくるだろう。
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